ウメハラこと梅原大吾氏のランクマ配信を視聴した。


彼がどれだけ優れた選手であるかについては改めて語るまでもないだろう。


ふと配信に目をやると、そんな彼はひたすら昇竜拳のコマンド練習をしていた。


右向きの昇竜拳を何発打っただろう。


ボクもコマンド練習はするが、あれほどの数を練習したことはない。


しかし、氏はそれで終わらせることはなく、続けて左向きでも昇竜拳コマンドを練習された。


その光景を見て、ボクは自分の甘さを実感した。


彼がそういう練習をしていることを知らない訳ではなかったが、スト6ももうAct3を数える。


もう散々プレイしてきているスト6のはず。

ましてや彼ほどのトップ選手がたかが昇竜拳のコマンドをそれほど練習する必要があるのか?


そう思った時点で、ウメハラ氏とボクには埋めようのない大きな差があるのだろう。


そしてウメハラ氏は徐ろにランクマを始める。


使用キャラはケン。

Outfit3のブラックカラーだ。


開始されたランクマ配信を視聴する中、ボクが注目したのは試合内容ではなくウメハラ氏その人だった。


集中力。


そして緊張感。


それにボクは釘付けになった。



もちろん、ボクにはその時のウメハラ氏がどういう心境だとか、どんな状態だとかは知る由もない。


だからこれは、あくまでもボクの感じ方であるのだが、ウメハラ氏の息遣いの様子を見ていると、とてつもない緊張が彼を支配しているように思えた。あるいはそれはプレッシャーと言っても良いかも知れない。


あの世界のウメハラが野試合でプレッシャーを?


少なくともボクにはそのように感じられた。


間もなく開催されるCAPCOM CUP Xともなれば、賞金もかかった仕事だ。


しかし、今夜ボクが観たのは野試合のランクマッチ。


もちろん、スト6でランクマッチをプレイする多くのプレイヤーにとってLPやMRが持つ意味を知らない訳ではないが。



以前、ボクシングの元世界チャンピオン辰吉丈一郎さんが「 RED Chair」という動画の中でこう語っておられたことを思い出した。


「相手に勝ちたいから怖いんです。

もう負けてもいいと思うと、怖くないんです」


そんなセリフだったように思う。


その言葉が今夜、強烈にボクの胸を貫いた。


今日、日中に回したバトルハブやカジュアルマッチ。

そこに恐怖はあったか?


全くなかった。


ただ何となく対戦を重ねていただけだ。


勝負勘や操作感がせめて衰えないようにと、いわば現状維持を目指してやっていたことだ。


勝とうという意志を持たずに重ねる対戦は酷いものだった。


相手の動きをよく見ることも出来ておらず、従って同じ状況で何度もダメージをもらい、自分は自分で当てたい攻撃を当てようと無理な状況でもなりふり構わず技を振るっていた。


そんな動作で勝てるはずもない。


ボクは必然に従って連敗を重ねていた。


そんなところでウメハラ氏の配信、辰吉丈一郎さんの言葉。


刺さったよね。


そこからのカジュアルマッチはめちゃくちゃ集中できた。


目の前の相手が誰であろうと勝ちたかった。


日中にはなかった恐怖心があった。


絶対に負けたくなかった。


今夜はそんな恐怖心を持てたおかげで、ランクマにも臨めた。


たった1戦1勝だけだが、ボクにとっては価値あるランクマだったと思う。



対戦相手のリュウはボクと同じダイヤ☆3。

後になって分かったのだが、複数キャラでマスター昇格を果たされているプレイヤーのサブキャラだった。



落ち着いてよく勝てたと思う。


ただし、ミスも色々した。

最後は流酔拳の1発目からのSA3で試合を終えられたはず。手癖でそこで必要ではない流酔脚を入力してしまった。相手がサブキャラだから許されたが、マスターキャラが相手であったなら、そこでトドメを刺せなかったことで逆転負けだって起こったかも知れない。



さて、ダイヤ☆4まであと3勝だ。

マスターリーグに到達する目標を達成するべく、もう一つ階段を登れそうなところにいる。


そう思うとそれがプレッシャーにもなり、ランクマが怖くて怖くて堪らなくなることもある。


真剣になればなるほど、勝ちたくて仕方なくなるほど、その怖さもまたより大きくなっていく。


しかし、それは対戦相手も同じ。

彼らだって怖いのだ。


きっと、そういう恐怖心を無くすことは出来ない。


従ってやるべきことは、恐怖心を持ちながらも、打つべき時に昇竜拳を打つことだ。


それこそがウメハラ氏の何百発、何千発もの昇竜拳の意味なのだろう。



やるぞ!!



つづく