元日の誓いはどこへやら、ボクはまるで外敵から身を守るように厚い殻の中に閉じこもっている。
そんな風に思われたから、今日は意を決してスト6ランクマに臨んだ。
いわゆる荒療治というヤツだ。
ランクマに行く前にはトレモで基本コンボの練習をする。
昨日はスト6に触れることは出来なかったが、そこで操作感の良さを実感した。
「意を決して」はその通りだが、そんな操作感の良好さからすれば、むしろランクマに臨むべき好機とも思えた。
手始めにカジュアルマッチに臨む。
ウォーミングアップのため、そしてこれに勝利することで勢いをつけ、ランクマに臨もうと張り切った。
しかし。
プラチナプレイヤーに対して4連敗からスタート。
後になって調べてみれば、マスタープレイヤーのサブキャラではあったが、それでもボクは唯一無二のメインキャラであるジェイミーでプレイしている。更に操作感も良いとすればこれ以上のコンディションはなかった。しかし、全力で挑んでも勝てなかった。
勢いをつけるどころか、「自分の実力など所詮こんなものか」という思いばかりが込み上げていた。
ここ数日スト6には触れながらもランクマに臨もうという気にならなかったのは、「そこで勝つ自信」を持つことが出来なかったからだ。
トレモでの操作練習、カジュアルマッチでの対戦経験を積むことは継続的に行えたが、しかしそれはこれまでと何も変わらない努力。実力を大きく落とすことは回避出来るかも知れないが、より強くなる努力ではない。現状維持は後退なのだ。
あれこれと思いながらも、ランクマに臨む決心は揺るがなかった。
初戦のVS.ダイヤ☆4ディージェイに敗北。
負けから始まるランクマッチ。
もう慣れたものだ。
そこからあっという間に連敗となり、ボクのLPはその分減少。
CFNで対戦相手を調べる。
複数マスター達成者のサブキャラだと分かる。
負けても仕方ないと自分を慰める。
そして再びランクマへ。
上述の通り、操作感は悪くなかったが、途中のVS.ケン戦などでよくコマミスもした。
終わってみれば6戦6敗、LPの収支はプラス。
しかし、ボクが得たのは喜びではなく、「恐怖」だ。
ダイヤ☆4プレイヤーの強さ然り、何よりマスタープレイヤーのサブキャラと当たることへの恐怖。
そしてそれは、ここ数日REWARDS欲しさに回したバトルハブマッチで植え付けられた恐怖でもある。
REWARDSの獲得条件である30勝を達成するまでに、ボクはもう、本当に嫌になるくらい敗北を味わったのだから。
先ほど「マスタープレイヤーのサブキャラが相手だから負けても仕方ない」と書いた。
しかし、そんなものは本心ではない。
その場で挫けそうな自分を精一杯奮い立たせるための慰めに過ぎない。
対戦相手がどんなプレイヤーであり、どんなキャラであろうと、ランクマッチで当たるからにはそれがボクに課せられた試練となる。
妬みのような気持ちに従えば、
「複数キャラでマスターを達成するプレイヤーとランクマで当たりたくない」
となるのだが、一方でそれは本心ではない。
相手が誰であろうと負けて良いなどとは到底思えない。
しかし。
ボクはいつからか、この分厚い殻に閉じこもっている。
脱皮し、これまでに出来なかったことが出来るようになり、これまでに勝てなかった相手に勝てるようになりたいと本気で思っている。
しかし、「思っている」だけで、それを叶えるに足る正しい努力は出来ていないようだ。
決して少なくはないスト6プレイヤーの方々が、あの手この手で知恵や技術を与えてくださっているが、ボクはそれを活かすことが出来ていない。
「そうじゃない」ということを何度も何度も繰り返し、それを努力と誤解しているのだ。そして更に悪いことに、それを自覚しながらも抜け出せないのである。
今日のランクマも結局のところ、LPを盛ったところで終えた。
見たいものだけを見て、見たくないものを見ないように立ち回っていないか?
ダチョウの卵。
あの分厚く頑丈なダチョウの卵の殻を、生まれたばかりの雛は突き破って出てくる。
なぜそんな奇跡のようなことが起こるのかについては幾つかのカラクリが存在するようではあるが、何にせよ雛が誕生することには変わらない。
重要なことは、殻を突き破るまで諦めないことだ。
もちろん、その内にクチバシの正しい使い方も会得しながら。
10,000回ダメでヘトヘトになっても、10,001回目には何かが起こるかも知れない。
つづく