才能溢れる俳優が
居るべき場所に
別れを告げて一年。


容姿、才能、人となり
磨き上げた努力、
そのどれもが

耀きを放った。


春の風吹く日、
劇場で鑑賞した。


スクリーンで
輝く瞳、存在感、迫力
その全てに
躍動感があった。

国際舞台を見据え
外国語で語るシーンでは、
相当な特訓の賜物を形に残し、
無限の将来性、
内に秘める可能性、
その、アジア級の逸材。

類い稀な潜在能力の高さは
大きな国際的評価も掴み
日本俳優界をひときわ輝かせる
寸前だった。


未だに襲われる
失わずにいられた瞬間が
あったかもしれないという
深い思い。

だから

身近な人たち、
希望を託した
思慕を抱く人たちの
喪失感がやむことはない。


あれから一年、

同じ世界のひとりとして
理解できる境遇の中、
うちに咲くネジバナ、
花言葉に驚きながら
ずっと思っている。


『生きることは試練』


それは、人それぞれ
向き合わされている環境が
本当に辛いということ。

生命は大切だと
わかっていても、

『生きる』

ということが
これほどまでに辛いのかと
誰もが不安な夜に襲われる。


情熱ある誰かが
自分を待っていて、
どこかに自分の居場所があると
信じ続けるしかない。

でももう誰も、

彼の本心に、
触れることができない。


誰しも弱る時がある。

心にも
寿命がある。

ひとつでいい、
いつでも話せる場所、
ひとりでいい、
自分をさらけ出せる相手の
必要性。

何気ない一言で

別のきっかけを
得たかもしれない、僅かな
可能性。

彼の中でそれが
存在しなかったことが
悔やまれる。


信頼できる人にだけ
弱音を吐いて、
吐き出した声が支えになって
人はバランスを保つ。

毎年、毎日、
容赦なく襲いかかる。

自然災害、人災、新型コロナ。

ある日突然、
築き上げた全てを取り上げられ
打ちのめされ、押し潰される
心境だから、

遠慮せず、

たくさん
弱音を吐くしかない。


独りで抱えたまま
もう、誰の目にも映らない
選択しかないのは

悲しすぎる。

笑顔を見せ合い、
生きているだけで
充分だったのに。


本当は
報われない芸能という社会。

世に出られるのも
世に出てからも
努力と運を
引き寄せ続けなければ
ならない。

内輪内側は、
妬みや嫉妬が渦巻き過ぎて、
誰かの指先ひとつで
やじろべえのように揺れ動く
極度に不安定な職業、
社会的弱者な職業。


無我夢中で追い続け、
ひとつひとつを丁寧に実現させ、
長くやり続けたら、
無心者、有毒者に囲まれる。

システム上、

自分の手元には
僅かばかりの売上げで
大して稼げない現実なのに。

説明のつかないそんな世界で
大きな流れ星の如く一閃、

旅立った。


美しく、清々しく、
精一杯進んだ。

類い稀なる多才な人、
その溢れる光と人柄は、

誰からも高く評価され
これからも大勢の人が知る
伝説の俳優、伝説の
エンターテイナーとして
未来へ生き続けていく。


天馬の翼。


何度でも聴きたくなる
魂から湧き出る歌声、

今宵、chを合わせ
再び鑑賞したい。


最高の表現者が携わる
素晴らしい作品は、
色褪せることはない。

永遠に感動を与えてくれる
大切な財産。

声が届くことを願う
たくさんの人々が毎日
どこででも語り継いでいく。


何も背負わず不器用でいい。


多彩な才能は、
あまりにどれも凄過ぎて、
止むことのない賞賛の声で
君の名誉を守るから。

もう二度と、誰からも
『嫉妬心』
を持たれないように〆