仮面ライダー響鬼
15周年記念~anniversary


放送開始から
15年が過ぎて

あの頃の
少年少女たちが
社会に旅立ちました。

今、どうしてるかな。
寂しくしてないかな。

15年前
既に大人だった
ひとたちも

響鬼は
みんなの心の中に
いますか。

主演として
今も語り合える
素敵な作品に出会えたことに
少し踏み込んで
毎月ファンの皆さんと一緒に
思い出を振り返ります。

今月は

『国民的ヒーローの重責』


ほとんどの
特撮ドラマを見ていたのに
いざ、
自分に白羽の矢が立つと
大きな驚きと迷いが生じました。

重責ある大役

引き受ける迷いや
リスクを感じるのは、
経験値があれば
誰もが浮かぶものです。

仮面ライダーに限らず
特撮番組の位置付けは他の出演番組とは大きく異なり、どの角度からもちびっこの模範となり、熱狂的コアなファンの方々も、同時に深く注視し続けている作品であることです。


『応援』

と、受け取れるものばかりではないネット時代、場数を踏んだ年増の自分が引き受けたら、若手の出演機会を奪ったように見えるアンチ的評価、否定的な意見などは充分に想像できたので、余計辛くなりました。

それが

自己責任の範疇でのことであれば、理解できるかもしれませんが、ハナから受け入れて貰えない難癖、心ない感情論や御門違いな私見に対して、将来に渡りどう対処していくのか

「仕事として
引き受ける覚悟」

が必要な依頼でした。

これは予想通り
15年経過した今も
存在しています。

当時、
事情をよく知る複数のスタッフの方々からも心配の声を頂き、引き受けてもいないのに、想像しただけでナーバスになっていきました。


『実際、細川さんのおっさんライダーは観てみたいけど、仕事として引き受けるなら、過去の作品と比較されたり、無意味に叩かれ続ける覚悟もいりますね、終了後も』

当時たくさんの方々と
交わした会話は
案外重い内容も多く
鮮明に覚えています。

あんまり目立たず
地道に俳優をして
のんびりした自分に
そんな大役を担う覚悟が
決められるのか。

葛藤の末、一旦正式に
お断りしました。


しかし、

NHKのドラマで演じた
『火消し屋小町』での
消防士の隊長役が
響鬼のイメージだと
再度打診され、

『子供の頃ライダーで夢を貰ったなら、今度は与える番じゃないですか?』

と別の方からの進言と
色々な方々の助言とで
ナーバスな気持ちを
無理矢理整理して
気持ちを固めました。


『国民的ヒーローに主演するのなら、これを機に誰よりも「健康」と「高潔の意識」を持ち続けないと』

具体的な心構えを
伝えてくれた意見も
鮮明に覚えています。

決意をしてからも
新たな挑戦、見え方への
過度なプレッシャーが
方々から与えられ
発表の前から
極度のストレスで
押し潰されそうな毎日でした。



徐々に前向きになっていくエピソードは来月以降お伝えします。


主演としての取り決め

一般社会とは異なる俳優界。
先輩方から苗字のみで呼び捨てにされることで、自分の存在を『役者のひとり』として認めて貰えたと、歓喜した新人の頃。

大御所の先輩方が
年下の自分に対して、役名やあだ名で気を遣われ妙によそよそしくなったり、取り敢えず、何となく馴れ合いの代名詞で呼ばれたりすることなく、ひとりの俳優として『苗字』だけで自分が呼ばれた時の、あの当時の記憶。

謙さん、英樹さん
柳葉さん、阿部さん

駆け出しの頃
諸先輩から
苗字で自然に呼んで頂いた時
そんなたわいもない事が
心底嬉しかった。

内輪話になりますが
1年間の作品の中で、大勢出演する若い俳優陣と、敢えて距離間を大切に保ちながら、年齢問わず平等に接したいとの意向をどう実現するか、自分のエピソードや思いを交えスタッフに話した末、作品制作の撮影期間中に限り、基本的に苗字のみで出演者を呼ぶことに皆賛成してくれました。

1年間の作品により良く参加するために、撮影前に色々相談した上で、間違いがないように、細かく取り決めをしました。

同年代、先輩方以外は、役柄に左右されることなく、距離感を均一にすることをわきまえ、1年を通じて共に前を向いて作品制作に向き合っていきたい強い思いがありました。

多くのスタッフがそれぞれの担当場面で、各々の想いを込めて作品制作に携る中で、主演として1年間毎週オンエアされる作品として役柄を演じきるために、必要な取り決めを皆の意見と協力を得て、コツコツ作り上げていきました。

『響鬼座長』

一部のスタッフの方は
裏で座長と呼び、盛り上げてくれましたが、実のところ妙なプレッシャーを感じるだけで、この呼び名は一度もしっくりきませんでした。

撮影前から色々な取り決めを
スタッフと共有していないと
あまりに不安だったので
当時はあらゆる知人を頼り
何度も細かく相談して
多くの方々に時間を割いて頂き
助言を貰っていました。

そうして

作品だけでなく、ファンの方々と役柄を通して向き合う特撮ヒーローとして、自分なりの形を作り上げてきました。


子供たちへのメッセージは

『お母さんを守る男の子になろう』
『強い女の子になろうね』

と決まり、子供たちがマネをしたくなる挨拶、写真の時に使えるような照れ隠しのキメのポーズ

『〆』

が誕生しました。

今でも
やってくれてるかな。

『シュ!』って言いながら。
『鍛えてます!』
って言いながら。

あれは
大人特有の子供に向けた
照れ隠しが裏テーマです。


歴史あるヒーローを
担う覚悟がいる大役の重責。

それは

制約、けん引し取り組むもの、
将来的に諦める役柄など、
引き受けた以上
自分に課すことが多々あり
独自のルール、
リーダーとしての自覚など
自問自答を
たくさんしましたが

未だに
この作品に出演したことで
想像を超える現実に
直面することもあります。



でもみんな
覚えているんだよね。

「デンジマン」
「サンバルカン」

を今でも思い出す
自分と同じように。

特撮から教わった力が
自分の中にもあるから
健全なファンの方々と共に
仮面ライダー響鬼を
語り続けたいと思っています〆



※写真は当時スタッフに配る予定で自らデザインしたチームTシャツ。後にバンダイから販売されました。手元にある貴重品です

(つづく)