久しぶりに
百人一首を手に取りました。

感慨深い
99番目の和歌。

人に対して
正直な心情を歌に詠み
今なお受け継がれる
代表的な一首です。


人もをし 
人もうらめし あぢきなく 
世を思ふゆゑに 物思ふ身は




時には人が愛しくもあり、時には人がうらめしくも思われる。

世の中は思うようにならず、苦々しいと思うために、あれこれと物思いが絶えないな、私にとっては。


後鳥羽院


この歌は
後鳥羽院が33歳の時に詠んだ歌とされ、鎌倉幕府との争いに悩んでいた時期と重なります。

武士の世の
始まりとなった
きっかけ

「承久の乱」です。


後鳥羽院

1180年~1239年
高倉天皇の第4皇子。

「承久の乱」で隠岐へ追放され、
現在の島根県で亡くなりました。

新たな戦乱の時代に感じた
人への愛、憎しみを
素直に吐露した心情を
深く感じさせる和歌。


即位した時

三種の神器のひとつ
草薙剣が
平家と共に海に沈み
剣なき天皇として
苦悩した日々が
数多く残されています。


後鳥羽院とは、
後鳥羽天皇(ごとばてんのう)、今から800年ほど前の天皇です。

「院」とは位を退いた後の呼び名で、19歳で譲位した後は、24年間に渡り、天皇を後見する院政を行いました。


鎌倉幕府との勢力争いから
幕府の権力者、北条氏を打倒するため挙兵しましたが、失敗。

隠岐に流され
60歳で
その生涯を閉じました。

文芸に秀で
新古今和歌集でも有名な
和歌も好み
刀剣までも打つ
多芸多才な人柄。

承久の乱の戦場となった
木曽川。

雄大な河川で
武士の世へと進み
歴史が動いた場所は
最高の遊び場で

幼少期、自分がよく
釣りに出掛けた場所。

思い出の
五輪塔が浮かびます。


恨み節、悲しさ、
本音、悔しさ、
悩み、嬉しさ。

人である以上
誰もが持ち得る

喜怒哀楽。

人間には
様々な感情がありますが
本音を言葉にしたり
正直な思いを伝えることが
現代社会ではとても難しく
誰もが口籠る重い空気が
どこかしこで漂っています。

しかし

人間は生きている間
今の気持ちや真実を
正直に
綴らなければならない。

後鳥羽院の
生き生きとした心の歌は
今も強く響き
ます。

本当の言葉でしか
その人自身が
わかるわけがないから。


喜怒哀楽を綴り
ありのままの感情を
言葉で表現することこそ

生きた証。

そしてこれは
匿名では意味がない。

その人全てを表す
実名でこそ
意味があるのです。


百人一首

99枚目の和歌は
後鳥羽院を知る入口。

国宝に指定されている

「後鳥羽天皇筆 御手印置文」

通称「置文」に辿り着く
大勢の人たちが

正直な気持ちを
言葉に表す
本当の意味を
感じると思うのです。


世界が一変した状況に

「生き方改革」

を人類は突き付けられています。

自然と溢れる感情を
まず自分自身が受け容れる。

今なお影響を与える
99番目の歌です。