平成から令和へ。

平成最後に相応しい
語り継ぐべき人間の言葉を
選択しました。

「臆病者」

と揶揄され
笑い者にされた弱点を
合理的で
大胆な思想に変化させ

「真の覇王」

とまで言わしめた
稀有な武将がいました。

そこには
父親の存在がありました。


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「勝って兜の緒を締めよ」



二代目当主  北条氏綱公

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子供の頃
臆病者と揶揄された
後北条三代目当主となる
北条氏康公。

父、北条氏綱公の有名な名言は
端午の節句にも
相応しい言葉です。

幼少の頃
気弱な経歴を持つ
そんな息子を父、氏綱公は
臆病者とは捉えず

「思慮深く、慎重な性格だ」

と判断し
個性を伸ばす教育として
当時は家臣や商人が学んだ
算術を教えました。

政や戦にも重要な
算術を学び、
合理的、大胆に考える
マネージメント能力を
伸ばすことで
臆病な弱点から開ける道を
歩んだ氏康公。


1530年、16歳の初陣
小沢原の戦いで大勝を納め
算術を生かす
概念に捉われない
類まれな戦法で
勝利して以降
破竹の快進撃を続けました。

勝利しても
油断するなという教え、慎重な自分の原点を忘れるなと父、氏綱公からの遺言を晩年に至っても忠実に守り、関東を主導する北条家の家名を高め、盤石にしました。

「表は文、裏は武の人、当代無双の覇王である」

臆病者と揶揄された男
氏康公は、個性を伸ばし
その力を発揮して
覇王とまで言わしめた人物です。


平成から令和に
移りゆく時代の中

時代が変わろうとも
語り継ぐべき言葉や
教えがあります。

二代目当主、北条氏綱公は
五箇条の訓戒状の中で

「不要な人間はいない」

と息子、氏康公に残しています。

そして
義を重んじ、油断せず、驕らず、人を大切にしなさいと記しています。

誰にでも個性と弱点は
あるものですが
それは考え方次第で
最大の強みにもなる
ということです。

慎重で思慮深い個性を
勝手な価値観や判断で
臆病者と決め付けず
強みに変える教育をし
真の覇王にした
父、氏綱公。

「勝って兜の緒を締めよ」

この名言の裏側に
勝つ事は前提であるけれども、常に油断するなとの意味と共に、戦に限らず己にも勝つこと、あらゆる困難な局面で負けることなく次に備えよと、親だからこそ我が子の未来へ願いを込めた、広い言葉とも受け取れる気がしています。

人を尊重し、個性を認め合い
弱い相手には愛ある言葉を与える教えを説いた父、氏綱公の言葉は、世襲を越えた優しさと深き愛がある、本当の師となる教えの言葉であり、後世に生かす教訓だと思っています。

人をどう見るか。
人とどう接するか。

常に
油断してはならぬと言う
北条家の教え。

歴史に残る言葉
次の時代へと語り継ぎ、言葉から学ぶべきことは、まだまだあると感じながら

新元号「令和」

を迎えたい、
そんな心境でいます。