1)「はじめに」
 
    弁護団より、本年平成30年度(2018年)のご報告をいたします。
    1年を通じて、細川茂樹さん(以下、本件俳優といいます)が受けた、元委託先芸能プロダクションによる甚大な被害に関して、事実の周知に努めてまいりました。
 
    2017年(平成29年)2月21日、本件俳優が受けた被害(以下、本件事件といいます)が数々の客観的証拠にて明らかになったことにより、東京地裁に全面的に認められたこと、そして委託先による数々の問題ある行為に対しては、通常の業務にて本件俳優の芸能活動の地位保全を行うよう命令が出される司法判断が下され、異議なく終了していることは、お伝えした通りです。
 
    一企業として違法性が問われ、裁判命令が出された裁判決定に一切従わず、法令を遵守するつもりが全くありませんでした。裁判決定後にも高圧的な対応を示し続ける中で、テレビ放送における各番組はでっち上げに利用されました。正確な情報を流せなかった放送局の当該番組、マスメディア全般に証拠を示しながら事実の確認を行い、一定の周知ができたことを、まずはご報告いたします。
 
    協議の末、各番組より公式ホームページに記載された内容は以下の通りです。
 
 
2)「脅迫者の逮捕」
 
 被害の実態解明の過程で、長年に渡りインターネットを利用して、ありもしない悪評を流し続けている関係者の存在が明らかになりました。
 その被害は、2017年(平成29年)1月5日、3年目の継続が決定していたKBS京都「うまDOKI!」番組司会(MC)を、当時のプロデューサーが、本件俳優に何ら関わりのない他タレントの担当者であった本件事件の首謀者の言動に協力する形で、一方的に出演を代役に決定した日を境に、日常生活の安全まで脅かされる状況になりました。
    その後、緊急を要する仮処分審理にて、2017年(平成29年)1月、裁判審理に間に合うよう発売され提出した、週刊誌記事内容が「捏造」であることを証明しました。
   この捏造記事を中心に、本件事件の首謀者はじめ、金銭を直接得ようとした社員および元社員、でっち上げに関与した協力者、便乗した業界関係者らが広めた裁判決定ですでに否定されている「作り上げたシナリオ」の報告内容をもとに、事実にない創作記事、誹謗中傷する記事、裁判や真相の隠ぺいを図る記事をあふれさせました。
    そして、誹謗中傷がエスカレートした末に、本年(2018年)3月16日午後8時35分、本件俳優の公式ブログに殺害予告が届いたことを確認し、本件事件の被害を届けた警視庁に協力を仰ぎ、捜査が始まりました。
 
    5月には犯人が特定され逮捕、2ヶ月間拘留の末、有罪判決が出されております。
 
3)「放送番組の倫理」
 
   2017年2月(裁判決定報道)と、同年4月(契約報道)の誤報を扱った時期に、正確な放送が出来なかった番組とは、放送倫理番組向上機構(以下、BPOといいます)を通じて「放送による暴力」「放送ハラスメント」の被害を、番組責任者の方々へ詳細に報告しました。
 
    2017年(平成29年)4月裁判決定報道に関して、放送法を踏まえ留意するよう忠告する中でも、放送で扱いたい意向を示した放送局には、委託先から受けていた被害の事実を詳細に伝えました。

    しかしながら、協議の段階において高圧的な姿勢を続け、放送の非の指摘を聞き入れることなく、放送倫理の土台が欠落していると言わざるを得ない一部の放送局、数番組との無駄な協議は早々に見送りました。各放送局番組関係者、及びその代理人の威圧的な裏側の実態を知ることとなり、記録を提出しました。
 
   上記の放送内容の協議を行うにあたり、放送倫理を最低限持ち合わせる他の番組に絞り、2017年(平成29年)5月から2018年(平成30年)2月にかけて、番組責任者および代理人弁護士と、丁寧に本件事件と裁判決定の事情説明報告を行い、放送された内容の事実確認の上での対応協議を繰り返しました。
 
4)「出演決定していた番組先の対応」
 
 2017年(平成29年)12月26日、本件俳優と本件俳優の代理人弁護士の元に、委託先より一方的な解約を通知する文書が、複数の通信手段を用いて同じ書類が何通も送付され、現行の契約を一方的に破棄してきました。

    新たな関係性を構築しようとした代表取締役社長と女性取締役に対して、社員による虚偽の報告理由で、契約書の破棄はできないこと、そして対等な法人契約とは言いがたい、不当な合意書に同意することはできないことを伝え、適切な対応を行うよう求めましたが、一切無視され強行されました。
    そして、本件事件の首謀者が出演決定していた数々の番組への連絡を実行しました。
    本件俳優には、西日本で放送されている競馬中継番組の司会を、解約通知書が届いたことにより「番組側から降板の決定をした」と、当時の担当者であった入社まもない社員名でメールが届きました。
 
    その後、2018年1月5日以降の他の出演決定番組とは、本件俳優が直接連絡をして、芸能活動を行いました。それらの番組に関しても、委託業務を全て放棄し、債務不履行を続けた委託先は、出演料のみ得て、契約に基づく支払いも行いませんでした。
 
    番組担当者、制作者、関係者の皆様方は、裁判決定にて通常の芸能活動の地位を保全する命令が出された仮処分決定の重みを十分に理解した上で、現在もその問題に向き合わずに、社会的に問題のある行動を続けていることを認識し、適切な対応をして頂きたく存じます。
 
5)「ネットの誹謗中傷」
 
    本年も同様に、マスメディアによる放送による暴力をはじめ、膨大なネット配信への違反報告、及び削除対応に取り組みました。
 
    いわゆる、動画サイト、まとめサイト、掲示板と称するネットサイトは、事実を把握していないユーザーが、正確な情報も理解しないまま安易に書き込み、乏しい伝聞による間違った憶測と私見を残しています。
 
    これらは削除しない限り、そのまま間違った情報が残されてしまいます。インターネットの検索エンジンで上位に表記され続けるそれらの過去記事、また投稿は、裁判決定が出されてから約2年の月日を経てもなお、閲覧できる状況です。
   ゆえに、本件事件に関して、我々の真相報告による事実の上書きや更新が進まず、誤解を生じ続けます。
   これらのサイトの削除対応を行っていますが、悪質な書き込み、及びダメージを与える内容について今後は、責任の所在を特定し司法判断にて対処する所存です。
 
6)「被害の真実」
 
    本件事件の本質は、元委託先による金銭目的で始めた企図が、音声データをはじめとする、ゆるがない事実に基づく証拠を我々が多数提出して東京地裁で証明されましたが、金銭目的で起こした事件の失敗を隠すための手段として、マスメディア全般が悪用されてしまったということです。
    裁判決定後も、一方的な新契約書となる、あらたな合意書への捺印を執拗に強要されましたが、泣き寝入りしなかった本件俳優のイメージを、恣意的に毀損する狙いがあったことから、ネットで拡散された誹謗中傷の被害は計り知れないものでした。

    当然、元委託先に属する当時の首謀者らも、個人が特定されており、それぞれの長年に渡る目論み「チーフ」「補佐」という存在しない肩書を勝手に名乗り、業務に介入しては妨害していたこと、創作したシナリオを報告書にして、経費や賠償請求名目でそれぞれが金銭を得ようとしたことなど、全て調査報告を終え、関係行政含む各第三者機関へ、実名で実態の報告を詳細にそれぞれ済ませました。
 
7)「不可解な取材」
 
 裁判審理中も、本件俳優は自ら番組スタッフと連絡を取り合い、出演業務の全てを行っていました。
   実のところ契約期間中も度々、担当者になりすまし、業務に横やりを入れる被害を受け続けていました。
    2017年(平成29年)5月、本件俳優は委託先とは期間にて全ての契約上の関係を解消し、現在は独立して芸能活動を通常通り行い、代理人弁護士を通じた健全な環境で仕事の依頼に応じています。
 
 しかしながら、本年2018年10月取材と称し、誌面とweb掲載の取材インタビューがあったものの、web掲載への必要な説明が一切ないまま、なぜか無許可で勝手な掲載を企図した事案(以下、本件事案といいます)の対処にあたりました。

    ECサイトへの誘導コメントに文章の一部を変更して流用し、強制的に業務の仲介を「クリエイター」と称し始めようと試みた出版社関連の本件事案について、これらの内容の違法性を指摘し、回答を求めましたが、無回答だったため当該取材における本件俳優のweb掲載は、差し控えております。
 
8)「不適切な表現の配信」
 
    過去の出演作品「仮面ライダー響鬼」に主演した、本件俳優の画像を二次利用したい旨、ニュース配信サイトから、画像許諾の連絡が女性編集者からありました。
    しかし、掲載された他タレントのコメントに、仮面ライダー響鬼に関して不適切と判断する内容があったため、ご説明したところ、感情的と言わざるを得ない心無い女性担当者からの回答があり、腹いせと受け取れる記事配信、すなわち、本件俳優の画像のみ使用せず、指摘した不適切な内容は配信する旨一方的に通知され、その後返信が途絶えました。
   本年12月14日付当該記事は、同月18日にサイト記事として二社より配信されたことを確認しています。
   
   本件事件のネット被害を増長させる内容は、真相周知の過程にて徐々に揶揄の形を変え、過去の出演番組である作品を用いたり、他の芸能人と一括りにしたりして、本件俳優の社会的評価を下げようとする意図が見受けられました。
    周知の通り、本件事件の真偽は裁判審理で明らかになっています。
    裁判決定を理解せず、デマを書くことが無いよう、出版社、及びライターの方々にも丁寧にお伝えしています。
     マスコミ、メディア、ネット配信者、投稿者の皆様方は、社会人としての責任を問われる行為には十分配慮し、自覚して頂きたく存じます。
 
9)「キャスト、スタッフからの誹謗中傷」
 
    ネット被害の調査で、特定した同業者による誹謗中傷のTwitterコメントも拡散されていることが、明らかになりました。
    その中には、長年に渡り本件俳優の誹謗中傷行為を首謀者らと行い続け、業務妨害を行っていたため、関係を解消したラジオ番組制作会社と関わりのある家電ライターによる投稿も確認されました。
    当該制作会社のラジオディレクターは以前、本件俳優を誹謗中傷する目的でバラエティ番組に出演しました。
   そこでは、本件俳優が長年携わっていたラジオ番組での内容を題材にして、あたかも女性ゲストに対し、横暴な対応をしたかの様な演出をしました。
   一方、本件俳優には「ラジオ出演時のエピソードを女性ゲストが話しても良いか」と担当マネージャーに説明させることで許可を得ました。
    実際には、本件俳優名を司会者にのみ話し、意図して本件俳優の誹謗中傷につながる話題になることを目的とした番組構成にし、ディレクター自身は顔にモザイクをかけ、出演していました。
   その後、テレビ放送内容に便乗してネット配信、記事化され、憶測を呼び、事実にない内容で誹謗中傷が拡散しました。
  2017年より始めたネットの被害を調査する過程で、この詳細が確認されました。
 
   調査の結果、アクセス数、クリック数、閲覧数、注目度をアップさせる目的、そしてそれに伴う広告収入目的で、内容を変更しながら、過去のものをリンクさせて誘導するなど、意図ある配信が確認されました。また視聴率を上げるために、そしてインターネット上の話題にするために、揶揄する表現で誹謗中傷を恣意的に行う、同業者の事例も見受けられました。
 
    通常に活動していた本件俳優が、突然不当な金銭を要求される新契約を強要され、東京地裁に申立て認められたことにより、陥れようと意図的に汚名を着せられ、イメージを低下させようとして名誉も毀損されましたが、社会的に良識あるスポンサー、制作者、支援者の方々に被害の事実への理解が深まり、回復傾向にあります。
 
    我々は、法人として司法判断が下されたにも関わらず、法令遵守を全くせず、下請法違反等にあたる多額の未払金を放置し続け、社会的秩序が欠落した環境であったことこそが、本件事件の真相であることを第三者機関へ報告いたしました。
 
   裁判所に平然と虚偽を提出し、担当でもない素性のわからない「社員」と名乗る人物が応対したり、冗舌に答えることを疑うことなく信用し、信憑性のない情報を、なぜ全国放送したのかを指摘しました。
 
   裁判決定が出されており、常識を踏まえているのであれば、裁判に関わった代理人、もしくは代表取締役が応対するのではないか、そう疑問を持つべきです。
 
  これらの事実を、協議した方々、代理人、マスコミ関係者の多くの方々が深く反省し、納得されました。
 
10)「仮処分裁判の意味」
 
    仮処分裁判を選択した理由は、緊急性が高く、迅速な決定を求めるのと同時に、計画的な捏造や創作を防ぐ必要があったからです。
    想定通り、裁判決定が下された後、元委託先が「準備不足だった」とコメントした内容を、週刊誌記事にて確認しています。
 
    司法の下、事実に基づき、客観的証拠の合理性を持つ本件俳優側に、東京地裁で正しい判断がなされました。
 
    客観的証拠が全て揃っているにも関わらず、主張した元委託先の言い訳には整合性すらなく、捏造で塗り固めたものが裁判で認められることは一つもありませんでした。
    元委託先が提出した物証、陳述書、報告書は捏造と創作であったため、当然、異議申立てすら出来なかったのです。
 
 
11)「捏造の証明」
 
 裁判所で認められなかった捏造と創作でも、マスメディアを利用し騒ぎ立てれば、世間の注目を集め話題となり、誘導された情報で、誰もが社会的に被害を受け、地位を奪われてしまいます。
    本件事件は、「パワハラだ」と主張する側に清廉潔白さの土台がなく、本件俳優が客観的証拠を多数提出し、金銭を不当に得るための契約が目的であった事実を、東京地裁にて証明しました。それでも未だに未払金は残されたままです。
 「パワハラ」という主張は、使い方によって悪用できるということは、すでに周知されています。本件事件にて「パワハラの悪用」行為が、芸能人を陥れることに使われました。
   証拠もなく、認定もなく、「パワハラ」という言葉を悪用して騒ぎ立て、裁判決定を覆そうとした行為が明らかになっています。
    現在までに、弁護士間のやり取り、司法判断、テレビ放送を始めとするマスメディアとの事実確認を経て、隷属的な新契約を強要された被害の全容が周知され、本件事件は「パワハラを悪用した捏造である」ことが明白になっています。
 
12)「放送のルール」
 
    地上波放送(ラジオ含む)は認可事業であり、放送法に守られ規制されています。
   従って、司法判断の下された情報を正しく報道する必要があり、間違った情報は許されないのです。出演する立場にあっても、これらを念頭に置いたルールを意識し、正しい放送人に教わり、本件俳優は長年番組出演に携わってきました。
 
  放送から受ける正確な情報を、視聴者、及び受信者らは保証されており、放送に携わる番組制作者らは、必ずこのルールを遵守しなければならない、責任と義務があります。
   すなわち、報道、情報、バラエティー番組等、それぞれのジャンルは、視聴者の了解の上で番組内容が成り立っていると言えるのです。
 
   今般、放送による情報の間違いや、疑問を抱く番組内容が際立つ事例も見受けられます。視聴率や注目を集めたいがために事実を伝えず、ましてや裏付け取材をしながら、本件俳優が受けた被害の真実を熟知した上で、陥れる結果を生む放送をすることは「言語道断」であり、決して許容される内容ではない放送番組について、現在、名誉回復措置を講じています。
 
13)「結び」
 
 「パワハラ」という言葉は、事実無根であっても、社会的信用を失墜させる効果があり、使い方次第では誰もが悪用でき得る主張です。本件事件が金銭目的であるのは音声データからも明確であり、裁判で証明し認められながら、世間の方々には問題ある人物に見せかける意図で汚名を着せ、この言葉が悪用されました。
   全く異なる目的があったことは数々の客観的証拠からも明確でありますが、今のマスコミの風潮なら何とかなると企図し、実行されました。
 
    本件俳優がなぜ、弁護士を必要とし、裁判所も必要とし、BPOが受理し放送倫理の審理にまで進んだのか。
    そして、あれだけの横暴な理由を主張していながら裁判所で何も認められず、本件俳優が司法決定で認められたのか。
    騒ぎ立てられた情報を、冷静に分析すれば誰もが理解し得る事件です。
 
    情報間違いの内容で、騒ぎ立てておきながら、いまだ事実を伝える放送はされませんが、今後も必要に応じて証拠書類および音声データにて明らかにする準備を進めています。しかるべき時に、しかるべき場所で真実の周知を行い、皆様方にお伝えしてまいります。