テレビ東京開局60周年記念

記念ドラマで、人の生き死に?

 

 5月6日に放送されたテレビ東京の開局60周年記念ドラマ「生きとし生けるもの」を観た。

 “人生に悩む医者と余命宣告された患者の2人が、人は何のために生き、何を残すのかという永遠の問いの答えを求めながら各地を巡るヒューマンドラマです。”というのが、番宣コピー。パターンとしてはよくある設定の、男二人のロードムービーでした。

 W主役で、人生に悩む内科医・佐倉陸妻夫木聡。また、陸と旅をする癌で余命宣告を受けている男・成瀬翔を、渡辺謙。今回、7キロの減量をするなど役作りをして作品に出演したそうだ。

 オリジナル脚本で、脚本家は「ロングバケーション」(フジテレビ)や「ビューティフルライフ」(TBS)などの脚本家・北川悦吏子

 監督は映画「余命1ヶ月の花嫁」「月の満ち欠け」「母性」などの廣木隆一

  その他出演者は、原田知世、満島ひかり、田中哲史、杉野遥亮 等々。

 

 ドラマとしては、医療作品としては目新しさは無く、また、特別なシーンとかも無かったですが、ヒューマンな感じは出ていて、別に問題はなく、感動をした人も多かったかもしれない。(綺麗な景色は感動する。)

 

 もしこれが、普通の特別ドラマなら何もいう事はないが、私的に一つの疑問が。開局記念ドラマで、人の生き死にを扱うドラマは適切だっただろうかという事。ましてや一人の主人公は死んでしまい、もう一人がその事で自分の次の道を決める。これは、視聴者に希望を与えるのか。

 開局記念であれば、もっと希望が持てるドラマとか、局のイメージを反映させるドラマとか、別の規格の方が良かったかもしれない。

 癌になった人は必ず死ぬ。というイメージは大嫌いだ。これはよく書いている事だが、昔あるキー局のプロデューサーから、「癌は死ぬからそこにドラマが生まれる。だから視聴者は感動し、納得するんだよ。」と。では、癌になった人が全て死ぬわけではない。元気な人もいる。だったら、癌にならないための感動のドラマは作れないものなのか……。私もとりあえず元癌患者なので強く主張したい。

 

 今回の作品の救いは、出演の役者さんたちのお芝居は皆さん良かった。渡辺謙さんの、どんどん力が無くなっていく病人の表情や渡辺さんが離婚後別れ別れになっていた娘の満島さんが、突然訪ねてきた、父親と話をして別れる時の何度も後ろを向くときの表情など、印象には残っている。

 

 でも、テレビ東京の作品は、最後にはいつも納得させる言葉がある。「テレ東だから……。」今回も、観終わってそんな感じか……。

 

 「テレビ東京」昔から好きな局なのですが。私は。