NHKドラマ10

「天使の耳・交通警察の夜」

 

 NHKドラマ10で放送された「天使の耳・交通警察の夜」を観た。この作品は2023年3月20日にNHK・BS4Kで放送され、また、同年6月にBSプレミアムでも放送された作品を再編集して放送となった作品。今回は全4回となっている。

 原作は、東野圭吾の短編小説で、1992年に「交通警察の夜」で実業之日本社より単行本が刊行され、1995年には「天使に耳」に改題され、講談社から文庫版が発売されている。

 原作がしっかりしている作品となっている。

 NHKフリークの私としては、昨年に2回放送されていることを全く気付かずにいて、新鮮な気持ちで観てしまった。

 

 誰もが身近であり、決して起きてほしくないもの、それが交通事故。無自覚な行動が、不幸な事故を引き起こす。

 しかし交通事故は、その“瞬間”を目にしていなければ真実はわかりにくい。 捜査員たちは、自分たちの無力や法律の壁に憤り、被害者や遺族の悲しみに苦悩しながら、奔走したったひとつの些細な可能性から真実を突き止める。

  しかし、たどり着いた真実の先には、さらなるどんでん返しが待ち受ける。

  交通課捜査係のバディ捜査官が、交通事故という非日常が浮き彫りにする人間の業をあぶり出す。(ドラマHPにて)

 

○あらすじ

 陣内瞬(まどか)は、総務課から交通課に配属されたばかりの新人交通警察官。 巡査部長の金沢行彦を教育係にバディを組んでの最初の交通事故は、深夜の交差点での衝突事故。

第一話

 外車の運転手は青信号を主張。一方の軽自動車の運転手は病院で死亡。両車両ともドライブレコーダーを装備しておらず、どちらが信号無視をしたか不明になるところ、死亡した運転手の妹が青信号だったと主張する。

 妹は目が不自由だった。事故当時、後部座席に同乗しており、カーラジオから流れていた松任谷由実の「リフレインが叫んでいる」の歌詞のタイミングで証明するというが…。

第二話

 前を走っていた車からポイ捨てされた空き缶で失明をした婚約者のために、その車を探す行動が思わぬ事件の解決へとつながる。

第三話&第四話

 あおり運転に遭い事故を起こしてしまった若葉マークの女性が抱えていた真相。

 心無い路上駐車が巻き起こす不幸ど、日常に起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を、バディ捜査官の奮闘を通して描く。

 

 そして― 事件を追うなかで、陣内は金沢の抱える悲劇に突き当たるが…

 

出 演

新人交通警察官・陣内瞬(まどか):小芝風花

陣内の教育係・金沢巡査部長:安田 顕

斎藤交通課長:檀れい

15年前に病死した金沢の妻・絵美:星野真里

その他

泉 里香中村ゆりか飯沼 愛前川泰之溝口琢矢

吉 住石田ニコル足立梨花植木祥平小松利昌

前田航基阿部亮平森迫永依草川拓弥(超特急)、

稲葉友小栗基裕高島豪志ノモガクジ内藤理沙

川瀬莉子大河内浩窪塚俊介中島ひろ子山下容莉枝東 貴博  等々。

 

 原作は6編からなる短編集だが、今作は、その中の5編を組み合わせて再構成している。

 

 交通課の巡査という、警察ドラマの中ではわりとサブのサブ的な扱いしかなかったポジションに光を当てた作品。

 でもしっかりと推理ドラマ的謎解きの部分もあり、視聴者をドラマの中に吸い込んでいくような。

 最後に金沢巡査部長の心の闇的な部分が明らかになり、演じる安田顕の静かでグッとくる演技に感動していく。私は金沢の気持ちはよくわかってしまう。

 主演の小芝風花は、若手女優の中では私は一押しだ。よく、浜辺美波と比較されているが、私は小芝風花の方が演技幅が広いような気がする。

 

 成長した陣内瞬をまた観たくなってしまった。ただ、その時は金沢巡査長は居ないのだが……。