〇3月12日

  

 今回は、アクション作品5本です。洋画が4本、邦画が1本。どの作品も、私的には合格点を出した作品です。但し、本当に意見は分かれるとは思いますが。

 

 2013年公開の、シルベスター・スタローンが製作・脚本を務めたクライムアクション映画「バトルフロント」を観た。

 原作チャック・ローガン「Homefront」。監督は「ニューオーリンズ・トライアル」ゲイリー・フレダー

 

 元麻薬潜入捜査官のフィルは、とある事件をきっかけに危険な潜入捜査官の仕事を辞め、現在は亡き妻の故郷であるルイジアナ州の小さな町で愛する娘マディと二人で幸せに暮らしていた。

 ところがある日、マディが学校でいじめっ子と喧嘩をしてしまい、そのいじめっ子の伯父であるゲイターと名乗る素行の悪い男に、フィル親子は目をつけられてしまう。ゲイターは町を裏で牛耳る麻薬売人。

 偶然フィルが元麻薬捜査官であると知ったゲイターは、とある目的を果たすために彼を陥れていく。一方フィルは、愛する娘に危険が迫っていると感じ、ゲイターとの決着をつけることを決意する。

 主演のフィル役は、スタローンとは「エクスペンダブルズ」でもタッグを組んだジェイソン・ステイサム。悪役のゲイターを「スパイダーマンシリーズ」ジェームズ・フランコが熱演。

 

 共演者は、ウィリーナ・ライダーケイト・ボスワースラッシェル・ルフェーブルフランク・グリロクランシー・ブラウンイザベラ・ヴィドヴィッチオマー・ベンソン・ミラー 等々。

 

 普通に、単純に作品を理解できた。日本でいえば、昔の時代劇、アメリカならば西部劇。

 アクションスターだとばかり思っているスタローンですが、脚本家としても凄いです。あのロッキーだってそうなのですから。登場人物のキャラクターがはっきりしていて、感情移入がし易いのが特徴でしょうか。

 ジェイソン・ステイサムのアクションは、観ている人をスカットさせるだけで十分、その上今回は、小さい子のお父さん。お父さんがあんなに強すぎたらどうする?です。

 

 

 2013年公開の「ラストスタンド」を観た。

 今作は、2003~11年まで米カリフォルニア州知事を務めたアーノルド・シュワルツェネッガーの俳優復帰後初となる主演作。「ターミネーター3」以来十年ぶりの作品。「グッド・バッド・ウィアード」「悪魔を見た」などで知られる韓国のキム・ジウン監督のハリウッド進出作。

 

 かつてロサンゼルス市警の敏腕刑事として活躍していたレイ・オーウェンズは、今では第一線を退き、メキシコとの国境に近い田舎町ソマートンで、愛車のシボレー・シルバラードのパトカーで、保安官として静かな生活を送っていた。

 ある日彼の元にFBIから緊急の電話が入る。移送中の凶悪犯罪者が仲間の助けを得て脱走し、時速400キロを出せるシボレー・コルベットZR1の改造モデル車でFBIを振り切り、メキシコへの国境越えの途中に位置するこの町へ向かっている可能性があるという。

 その懸念は、国境付近の老農場主を訪ねたベイリー保安官補が、コルテスの部下たちと遭遇し、射殺されるに至って、現実のものとなる。

 警察やFBIの応援も間に合わないと知ったオーウェンズは、戦闘経験のない部下や町の仲間、銃器オタクらでチームを組み、「最後の砦(ラストスタンド)」となったオーウェンズとその仲間たち、銃器オタクが集めていた新旧の銃器を手に、最新鋭の兵器で武装した犯罪者グループを迎え撃つ。

 

 出演は、レイ・オーウェンズ保安官:アーノルド・シュワルツネッガーの他、バニスターFBI捜査官:フォレスト・ウィテカー、麻薬王ガブリエル・コルテス:エドゥアルド・ノリエガ

 共演が、ジョニー・ノックスビルロドリゴ・サントロジェイミー・アレクサンダールイス・ガスマン、ピーター・ストーメアザック・ギルフォードジェネシス・ロドリゲスダニエル・ヘニーハリー・ディーン・スタントン  等々。

 

 FBIが護送中の凶悪犯組織のボスが脱走し、街に向かっていると知らされ、FBIもSWATも間に合わない中で、田舎の保安官と仲間と共に少ない銃器で立ち向かっていく物語。

 物語としては、正義の味方の保安官が、仲間にも助けられながらも、最後は孤軍奮闘して、敵を追い詰めていく、勧善懲悪なよくある展開。シュワちゃんの復帰作らしい、観客を楽しませ納得させる展開。傷を負い、厳しい状況に追い込まれながらも、ラストは予想通りスッキリと片が付く。

 撮影当時、66歳だったというシュワちゃん。「プレデター」「コマンド―」の時の様な、筋肉ムキムキの体系とは違っていたが、悪を憎むその鋭い眼光とアグレッシブさは、当時と変わりないものを感じました。

 正義は最後には勝つ!です。
 

 

 2014年公開の「キングスマン」を観た。

 今作は、イギリスのスパイ組織のシリーズ第1作目。監督は、「キック・アス」マシュー・ボーン、原作はマーク・ミラーデイヴ・ギボンズによるスパイアクション・コミック「キングスマン・ザ・シークレットサービス」

 

 表向きは高級スーツ店だが実は世界最強のスパイ組織「キングスマン」で活躍するブリティッシュスーツを華麗に着こなす主人公ハリー・ハート。

 ハリーは、かつて命を助けてもらった恩人の息子で、密かにその成長を見守っていたエグジーをキングスマンの候補生に抜擢する。ハリーに教えをこう若きスパイのエグジー。さて……。

 

 諜報機関キングスマンの一員でガラハッドのコードネームを持つハリー・ハートは任務中にミスを犯し、同行していた候補生リーの犠牲によって部隊全員の命を救われる。ハリーはリーの遺族の助けになろうとするが、彼の妻であるミシェルに拒絶されてしまい、仕方なく幼い息子エグジーに1枚のメダルを渡して立ち去った。

 17年後、キングスマンの1人であるランスロットが任務中に亡くなってしまう。彼はある傭兵部隊の偵察中に、拉致されていたアーノルド教授の救出を試みたのだが、それに失敗したのだ。キングスマンのリーダーであるアーサーはハリーを呼び出し、ランスロットの後任選出と任務の引き継ぎを指示する。

 一方その頃、成長したエグジーはロンドンの下流家庭でミシェルとその再婚相手ディーンと暮らしており、現在は街の不良として荒んだ生活を送っていた。

 ある日、敵対する不良グループへの仕返しに彼らの車を盗んだところを逮捕されてしまったエグジーは、幼い頃に手渡されたメダルを取り出し「困ったら頼れ」と言われていた裏面の番号に電話を掛ける。すると、間もなくしてエグジーは釈放された。

 不思議に思いながら警察署から出てきたエグジーを待っていたのは、素敵ななオーダースーツに身を包んだハリーだった。

 エグジーの経歴を知るハリーは、命の恩人で勇敢な男だったリーの息子が、優れた知能や身体能力を持ちながら、それを活かせていない現状に苦言を呈し始める。境遇や環境が悪いとエグジーが反論していると、そこに不良グループが現れてエグジーに絡み出した。不良グループから暴言を浴びせられたハリーは、「マナーが 作るんだ 人間を(Manners maketh man.)」と発言すると、華麗な戦闘技術で不良グループを撃退してしまう。驚いたエグジーは、このことを一切口外しないと約束し、去っていくハリーを見送った。

 

 2015年に、毎年3月に映画雑誌エンパイアにより発表される映画賞の英国映画賞を受賞。

 2017年に続編「キングスマン・ゴールデン・サークル」が公開され、2021年12月には前日譚となる「キングスマン・ファーストエージェント」が公開されているらしい。

 

 主演は、ハリー・ハート役に、「英国王のスピーチ」でアカデミー賞を受賞したコリン・ファース、エグジー役:タロン・エガートン、世界征服を目指すIT実業家ヴァレンタイン:サミュエル・L・ジャクソン、キングスマンのリーダーアーサー:マイケル・ケイン

 その他、マーク・ストロングソフィー・クックソンソフィア・プテラエドワード・ホルクロフトマーク・ハミルジェック・ダヴェンポートビュヨルン・フローバルグ  等々。

 

 イギリスのスパイ映画は、なぜか“粋”さを感じ、ただ単にアクションを前面に押し出していない作品が多く、会話シーンや頭脳シーンにその特徴を顕著に表している。やはり、007で植え付けられたものだろうか。

 この作品も、スパイアクション映画の新機軸を打ち立て、かつての007シリーズにあった荒唐無稽さを復活させ、その上で紳士とは何かを問い、階級社会イギリスへの辛辣な皮肉もたっぷり込められている。

 この映画の言いたいことは、紳士とは生まれの階級ではなく学ぶものだ、という事らしい。「manners maketh man」の決め台詞が象徴的だが、マナーを学びことで庶民もまた紳士となれる。

 全編面白おかしく作っている半面、学びの大切さを内包していたりして妙に教育的な面もある。
 二人を引き立たせているのは、やはり悪役を演じるサミュエル・L・ジャクソンも強烈な存在感かもしれない。


 アクションも洗練した印象すら与え、この辺りも紳士的だ。イギリスのスパイは、スーツが良く似合う。

 この作品が1作目であと2作品あるようだが、機会があれば観てみようかと思わせてくれました。

 

2016年 第39回日本アカデミー賞最優秀外国作品賞

     ノミネート

 

 

 2017年公開のスパイ映画「レッド・スパロー」を観た。

 原作は、実際にCIAの工作員として活動していたジェイソン・マシューズによる同名ベストセラー小説。監督は「ハンガー・ゲーム」シリーズのフランシス・ローレンス

 捜査対象を美貌で誘惑する「スパロー」と呼ばれるロシアの女スパイの活躍を描く。

 

 類稀な才能と美貌を備えたロシアのバレリーナ、ドミニカは、演技中のパフォーマンスパートナーとの事故により左足を骨折し、バレリーナとしての道を断念する。

 手術を終えて退院した彼女のもとに叔父のワーニャが現れる。彼はドミニカに「長くて半年だぞ」と、国家支援の中で生活する彼女とその母の身を案じる言葉を投げかけ、3ヶ月前に起きた彼女の骨折事故の真実を知らせる。

 ドミニカは真実を確かめるために劇場へ足を運び、見てはいけない裏切りを目撃する。怒りに我を忘れたドミニカは二人の裏切り者を叩きのめすが、政府に勤める叔父の力添えにより罪を免れる。

 ドミニカにバレリーナとは別の才能を見出した叔父は、彼女を暗殺事件に巻き込んで逃れられない状況に追い詰めた上で、彼女に“スパロー”(スパイ)としての道を教える。

 国に仕えるか殺されるかの二択を迫られたドミニカは、母を想いスパローへの道を選ぶ。そして、ロシア政府が極秘裏に組織した諜報機関の一員となり、自らの肉体を使った誘惑や心理操作などを駆使して情報を盗み出す女スパイになるための訓練を受ける。

 ドミニカが選んだスパローとしての道のりは険しく、国家に仕える娼婦となるための訓練内容は、彼女の羞恥心やプライドを脅かす。それでもドミニカは、母に言われた「相手に全てを売ってはならない」というアドバイスを忘れず、上官の命令に対し反抗的な態度を見せながらも、他の訓練生とは異なる形で才能を見せつけていく。やがて上層部における叔父の存在もあって、彼女は政府に認められスパローとしてデビューする。

 カテリーナという新しいIDを与えられ、スパイ活動を開始した彼女は、アメリカ人のCIA諜報員であるネイト・ナッシュを標的とする。ナッシュはカテリーナ(ドミニカ)がロシア側のスパイであることを突き止めるが、彼女は逆に自分がナッシュのために二重スパイとして働くことを提案する。

 

 主演のドミニカにはアカデミー賞女優のジェニファー・ローレンス、CIAのナッシュ:ジョエル・エドガートン、叔父ワーニャ:マティアス・スーナールツ、監督官:シャーロット・ランプリング

 その他共演が、メアリー=ルイーズ・パーカーキアラン・ハインズジョエリー・リチャードソンビル・キャンプジェレミー・アインズサキナ・ジャフリーセルゲイ・ポルーニン  等々。

 

 まず、作品鑑賞のスタートラインは、ジェニファー・ローレンスが出演しているという事でからの出発なので、多少問題があってもOKとなる。

 ロシアがモデルの作品なので、赤色が多用されていた。最初のバレエシーンの赤い衣装、初めての作戦での赤いドレス。赤はロシアをイメージさせ、それに囚われたドミニカか。

 ラストのバレエを観劇するシーンでは、赤いカーペットを降りていくドミニカが印象的。今までロシアに乗っ取られていたドミニカが、ラストではロシアが作った道の上を堂々と踏み歩いていく。ドミニカが抱く「特別でいたい」という感情を、ロシアを動かす立場によって成功させているようだ。
 CIAのナッシュがあまりカッコよくは無かったような。完全にジェニファーに負けてしまっていた。

 ロシアVSアメリカという事だが、まぁ、観終わって色々と考えるより、ジェニファー・ローレンスはイイ女だ!が感想でも良いでしょう。

 

 

 2014年公開の「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」を観た。

 原作は、高橋のぼる同名人気コミック。監督:三池崇史、脚本:宮藤官九郎。シリーズの1作目。

 

 正義感は人一倍強いが童貞で、警察学校では史上最低の成績(月間の始末書枚数、ワースト記録樹立)を残している巡査・菊川玲二は、ある日突然、通称「モグラ」と呼ばれる潜入捜査官になるよう命じられる。

 合成麻薬MDMAの密売ルートを暴き、武闘派暴力団組織・数寄矢会の轟周宝会長を挙げることを命じられる。覚悟を決め組織へ潜入した玲二は、闇カジノ「虎ジャガー」に潜り込み、数寄矢会傘下・阿湖義組(あこぎぐみ)の若頭“クレイジーパピヨン”こと、日浦匡也に気に入られる玲二。
 しかし、渦巻く数寄矢会内部での権力闘争、そして関東進出を狙う日本最大の暴力団組織・蜂乃巣会(はちのすかい)との抗争も勃発し、玲二は次から次へとピンチに陥る。果たして、玲二は無事に轟周宝を挙げ、モグラとしての任務を果たすことができるのか…!?

 

 出演は、菊川玲二:生田 斗真、日浦匡也:堤 真一

轟周宝:岩城 滉一、若木純奈:仲 里依紗、月原旬:山田孝之、黒河剣太:上地 雄輔

 その他共演が、岡村 隆史吹越 満遠藤 憲一皆川猿時大杉 漣斉木しげる伊吹 吾郎渡辺 哲的場浩司 等々の個性派ぞろい。

 

 原作コミックスを読んでいないので、映画での初体験。宮藤官九郎の脚本によるものなのか、はたまた三池崇史の演出によるものなのか、とりあえずハチャメチャだが、面白いハチャメチャにはなっている。但し、好き嫌いははっきり分かれるかもしれないですが……。 

 一生懸命頑張っている生田斗真が良いかも。他の出演者たちも、それぞれ自分の個性を目いっぱい発揮している。

 特に堤真一は貫禄の凄さ。彼は、シリアスな芝居より、コミカルな芝居の方が、数段目立つ存在になるのは、今までで経験済みですが。山田孝之も良いです。遠藤憲一、吹越満、皆川猿時、岩城滉一らは安定の布陣。

 

 とりあえず、シリアスな作品ではないですが、役者を観に行くジャンルの作品にしてはどうでしょうか。

 

   シリーズ全作は何年か前で観終わっているのですが、また1作目からのチャレンジでした。