○6月4日
久しぶりに感動のアニメ作品を観ました。平均点より上の西部劇も、但しその上が有るのですが。いつものようにバラバラなジャンルの5作品です。
2001年公開のアニメーション映画「千年女優」を観た。監督は「パーフェクト・ブルー」の今 敏。数十年にわたり1人の男性を思い続けた女優の姿を、時間や空間を超えて描くオリジナル長編アニメーション。
芸能界を引退して久しい伝説の大女優・藤原千代子は、自分の所属していた映画会社「銀映」の古い撮影所が老朽化によって取り壊されることについてのインタビューの依頼を承諾し、それまで一切受けなかった取材に30年ぶりに応じた。
千代子のファンだった小さな映像制作会社の社長・立花源也は、カメラマンの井田恭二と共に、かつて一世を風靡した昭和の大女優・藤原千代子のドキュメンタリーを作るため、人里離れた千代子の邸宅を訪れる。
立花はインタビューの前に千代子に小さな箱を渡す。その中に入っていたのは、古めかしい鍵だった。30年前に突如として銀幕から姿を消し、隠遁生活を送っていた千代子は、立花が持参した1本の鍵を見て、思い出を語りはじめる。そして鍵を手に取った千代子は、鍵を見つめながら小声で呟いた。「一番大切なものを開ける鍵…」
千代子の語りは、いつしか現実と映画のエピソードが渾然一体となり、波乱万丈の物語へと発展していく………。
キャッチコピーは、「その愛は狂気にも似ている」
前作で高い評価を得た今敏監督の二作目の映画で、初のオリジナル作品。音楽から映像を描き出す手法を取り入れた、今敏と平沢 進の初のタッグ作品でもある。
製作期間は約2年間。予算は当初、1億3千万円で、最終的には1億数千万円という日本の劇場アニメーション作品としては最低ランクの制作費で作られた。
しかし、国内外で高い評価を獲得し、ドリームワークスにより世界配給もされた。
受賞としては
第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞
宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」と同時に大賞を受賞。
第33回シッチェス・カタロニア国際映画祭・
最優秀アジア映画賞
第6回ファンタジア国際映画祭・
最優秀アニメーション作品賞&芸術的革新賞
第57回毎日映画コンクール・大藤信郎賞
第8回アニメーション神戸作品賞・劇場部門賞
2003年度東京アニメワールド・劇場映画部門最優秀作品賞
夢か現実かお芝居か、過去か未来か現在かと縦横無尽に鍵と恋を追い掛ける、壮大な愛のお話。
戦争映画、時代劇と、ころころ変わる舞台設定に、最初はついていくのが大変でしたが、いつの間にかしっくり来ていました。
日本映画へのオマージュのためみたいなアニメですが、アニメだから出来たような。
鍵を失ってしまってから、ずっと死に場所、死ぬ時期を思い悩んでいた結果、「一番大切なものを開ける鍵」ということが結局は自分の生き様を証明するためのもの、自分を再発見するための箱だったのでは。
声優さんも多彩。主人公藤原 千代子は3世代で声優が変わる。
荘司 美代子(70代)、小山 茉美(20~40代)、折笠 富美子(10~20代)、立花 源也は2世代、飯塚 昭三、佐藤 政道(青年期)。
その他、小野坂 昌也、津田 匠子、鈴置 洋考、山寺 宏一、津嘉山 正種 等々。やはりベテランの声優さんは安心する。
大人が楽しめるアニメ作品。久しぶりにアニメで感動してしまいました。
2016年公開の西部劇「マグニフィセント・セブン」を観た。監督はアントワーン・フークア、脚本はニック・ピゾラットとリチャード・ウェンク。
黒澤 明監督の傑作時代劇「七人の侍」(1954)と、同作を西部開拓時代のメキシコに置き換えてハリウッドリメイクした「荒野の七人」(60)という2つの名作を原案に描いた西部劇。
暴虐の限りを尽くす男、バーソロミュー・ボーグに支配されたローズ・クリークの町の人々は、賞金稼ぎのサムを中心に、ギャンブラー、流れ者、ガンの達人など7人のアウトローを雇う。最初は金のため町を守ることになったサムらだったが、いつしかその目的が金だけではなくなっていることに気付く。ストーリーは今更お話しするまでもない。基の2作と同じ。
今回の7人は、リーダーのサム役にデンゼル・ワシントン、流れ者のギャンブラーで二丁拳銃の使い手ジョシュ・クリス・プラット(そこそこにスティーブ・マックイーンの影が)、フランス系の賞金稼ぎでウィンチェスター銃の使い手グッドナイト・イーサン・ホーク、東洋系のガンマンでナイフの使い手ビリー・イ・ビョンホン、ライフルとナイフが得意のマウンテン・マンのジャック・ヴィンセント・ドノフリオ、コマンチ族のレッド・マーティン・セズメアー、賞金首のメキシコ人でありながら用心棒に参加するバスケス・マヌエル・ガルシア=ルルフォ。
資材を投げうって村の為に用心棒雇うエマにヘイリー・ベネット、ローズ・クリークの土地を狙う資本家バーソロミュー・ボーグにピーター・サースガード。
その他ルーク・グライムス、マット・ボマー、ジョナサン・ジョス、キャム・ギガンデット 等々。
プレミア上映として、2016年9月8日に第41回トロント国際映画祭で行われた。
もし、「七人の侍」も「荒野の七人」も観ていなかったら、この作品は十分楽しめる作品だったでしょう。主役のデンゼル・ワシントンの他、国際的な役者たちが出演しているし、お決まりの対決撃ち合いシーンはやはり凄い。
いつも七人系の作品は最後の戦いで、誰が生き残って、誰が壮絶な死を遂げるかを、観始めてから考えるのがポイントになっています。この作品では、私は外れてしまいました。
初めて七人系をご覧になる方には、十分楽しめる作品であることは確かです。
2021年公開の「ある用務員」を観た。監督は阪元 裕吾。暗殺者という裏の顔を持つ高校用務員の戦いを描いたクライムアクション。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2021」上映作品。
幼少期何者かにヤクザだった父・光男を殺されて以来、日本の裏社会を牛耳る真島グループの総裁・真島善喜に育てられる深見晃。今は真島総裁の愛娘・唯の影のボディーガードとして、唯の通う西翔学院高校で「用務員」として働いている。
そして、真島総裁に訓練を施された「殺し屋」という裏の顔も持つ。真島総裁は、国内から完全撤退し香港へ拠点を置きアジア諸国でビジネスを展開することを部下である西森組長に告げる。反発した西森は親分真島と抗争に。その抗争によって真島が殺害され、唯も命を狙われてしまう。深見の隠された過去が明らかになっていき、更には放たれた9人の殺し屋が唯と深見に襲い掛かかる。
戦場と化した学校から唯を救出するべく、深見は命がけの戦いに身を投じていく。
主役の深見役にこの作品が初めて主演の福士 誠治。唯役を芋生 悠、真島親分に山路 和弘、抗争相手の西森にラッパーの般若。
その他、波岡 一喜、前野 朋哉、一ノ瀬 ワタル、野間口 徹、犬童 美乃梨 等々。9人の殺し屋も渡辺 哲、北代 高士を始めどこかで見た事のある人が……。
アクションは阪元監督なので迫力は有るが、主役がもう少しだったような気が……。最初私は、藤原竜也と勘違いをしてしまっていた。
ごめんなさい。
1968年公開の「狙 撃」を観た。監督は「さらばモスクワ愚連隊」の堀川 弘通、「爆破3秒前」の永原 秀一が脚本。スナイパーを主人公にしたアクションムービー。
お話は、街がまだ眠っている東京の休日。一人の男が、ビルの屋上から眼下にさしかかった新幹線の一等車乗客を狙い撃った。狙撃者・松下徹三十歳。彼の経歴は大学の射撃部に在籍していたことしか解らない。そして今も射撃の訓練に明け暮れ、銃が身体の一部になっているような男だった。
殺し屋の松下はある日、ファッションモデルの小高章子と知り合い、やがて深い仲になる。松下はある日、商事会社の社長から金塊横取りの仕事を引受け、成功させたが、そのことで片倉という殺し屋から狙撃されるなど、命を狙われるようになる。松下は片倉を殺す決意をするが、片倉は小高を監禁し、人質として松下をおびき出す。
主役の松下に加山 雄三、モデルの章子に浅丘 ルリ子、ライバルのニヒルなスナイパー片倉に森 雅之。
その他の共演が、岸田 森、藤木 孝、河合 伸旺、船戸 順、小沢 昭一 等々。
正直、加山雄三はこのような役は似合わないとは思った。育ちが良いイメージのスナイパーでは、ハードボイルド感がない。走行する新幹線お腹の客を狙撃とは、いくら映画でも……。アニメの中のゴルゴ13くらいの腕なのか。
ほとんどしゃべらない殺し屋、森雅之が渋くて良いが、胡散臭い金髪女を連れ歩くのは安っぽい。哲学的な武器調達屋、岸田森も相変わらず見どころがあり。
あれは何的なシーンの浅丘ルリ子と加山雄三のパプアニューギニアの土着人ダンス・ショーは面白いかも。
まぁ、浅丘ルリ子ファンはそれだけで満足の作品かもしれないですが。
2019年公開のロシア映画「アビゲイル」を観た。監督と脚本は、「トラップ・ゲーム」(2018)のアレクサンドル・ポグスラフスキー。SFファンタジー・アクション映画というキャッチが付いている。
1人の少女が消息不明の父親の生存を信じ、特殊能力者たちと協力し合い、父親と他の感染者を探しに行く、というお話。
主人公アビゲイル役にロシアの若手人気女優ティナティン・ダラキシュヴィリ、父親にエディ・マーサン。
その他、リナル・ムハメトフ、ラフシャナ・クルコヴァ、アルチョム・トカチェンコ、グレブ・ボチュコフ 等々。
正直な気持ち、全くこの作品は解からなかった。観客は何処を楽しめば良かったのだろう。唯一の救いは、私の好きなアメリカのテレビドラマ「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」で、レイの兄でパーキンソン病の元ボクサー役テリーのエディ・マーサンが出演していた事だけだろうか。