○11月24日

 洋画5作品ですが、1作品は何度か観ているのですが、その他の作品は今回が初めての鑑賞でした。どの作品もお勧めです。カッコ良いのから考えさせるもの、ほのぼのまで、どの作品も満足度数高いと思います。

 

 2004年公開の「ターミナル」を観た。監督は、スティーヴン・スピルバーグ

 空港内に長期間にわたって足止めされてしまった男と、そこで働く人々の交流を描いたヒューマンドラマ。実話がもとになっている。音楽はジョン・ウィリアムズ

 

 東欧の小国クラコウジアからやって来たビクター・ナボルスキーはニューヨークのJFK国際空港に降り立つが、入国手続きの直前で祖国にクーデターが起こり、パスポートが無効になってしまう。その為、アメリカへの入国を拒否され、祖国にも戻れなくなった彼は、仕方なく空港ターミナル内で暮らし始める。

  最初は言葉すら通じず苦労してばかりのビクターだったが、独学で英語を身につけ、ターミナル内の従業員たちとも親しくなっていく。昇進を狙う国境警備局主任ディクソンは、そんな彼の存在を疎ましく感じていた。

  実はビクターには、どうしてもニューヨークへ行かなければならないある理由があった。

 

  行くあてをなくしてしまったビクターの空港でのさまざまな出来事を描いたのがこの作品。

  ビクターはなんとか空港から出ようと四苦八苦するのですがなかなかうまくいかない。
 母国がなくなってしまうという異常な状況もあり、自分の置かれた状況に苦しむことになるのですがそんな中、空港で出会った人達と絆を深めていく事に……。

 出演は、主人公であるビクターを演じるのは数々の作品で高い評価を受けているトム・ハンクス、偶然知り合ってから、彼の心の支えとなっていていくスチュワーデスのヒロインにはキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。共演は、スタンリー・トゥッチシャイ・マクブライドディエゴ・ルナバリー・シャバカ・ヘンリーゾーイ・サルダナ 等々。


 舞台が空港という狭い空間のこともあって、登場人物はそれほど多くなく、あくまでもビクターを中心に物語は進んでいく。非常に良質なヒューマンドラマとなっていて、ビクターと空港内の人達との触れ合いがこの作品のポイント。

 舞台となった空港はロケではなく、すべてセット。だが、映画を観ていても、これがセットだとはとても思えないリアリティ、しかも空港内のお店などもすべて本物。流石ハリウッド映画というしかないです。

 もう何度目かの鑑賞にはなりますが、いつ観ても、新鮮に感動してしまう私がいます。年齢を重ねるとなおさらです。

 

 

 

 2007年公開のイギリス映画「ラスト・キング・オブ・スコットランド」を観た。

 1970年代にウガンダに君臨した悪名高き独裁者、イディ・アミンの実像に迫る社会派サスペンス映画。

 原作は、原作はジャイルズ・フォーデンの小説「スコットランドの黒い王様」。監督は、スコットランド出身のドキュメンタリー映画の監督のケビン・マクドナルド

 

 強いカリスマ性で民衆の支持を集め、クーデターによって大統領の地位を得たアミンが、次第に残虐な独裁者へと成りかわっていく姿を、彼の主治医となりに重用される架空のスコットランド出身の青年医師の視点で描かれている。

 

 医大を卒業したばかりのスコットランド人青年ニコラス・ギャリガンは、父への反発と冒険心に動かされ、国を出ることを決意する。しかし、どこへ行くかを決めていないニコラスは地球儀を回し、目をつむって適当に指を指す国に行く事に決めた。最初はカナダと出たためにやり直すと東アフリカのウガンダと出た。こうして彼はウガンダ行きを決める。そこが白人の国と違えば何処でもよかったくらいの気持ちで……。

 この時のウガンダは、1971年の軍によるクーデターでイディ・アミンが大統領になったばかりだった。この状況の中、彼は現地の医師であるメリットのチームの一員として淡々とした生活の中、現地の人々の治療に携わる事に。

 しかしメリット医師の妻サラに指摘されたようにニコラスは決して高い志を持ってこの地に赴いたわけでもなく、事実ここでの彼の生活は自分の冒険心を埋める事にしか過ぎなかった。

 そんな時、ニコラスはアミンが村を訪れるというので、演説を聞きに行く。アミンは熱烈な演説で人々を魅了し、会場は民衆の歓声で包まれる。その帰りにニコラスは軍に呼び戻され、事故で怪我をしたアミンの捻挫を治した。

 自己紹介でスコットランド人だというとスコットランド人はイングランド人と勇敢に戦ったと気に入られ、将軍の軍服と下着に着ていたスコットランドのTシャツとを交換する。この縁でニコラスはアミンから自分の主治医へと請われると、最初は断るが、そのカリスマ性を目にしたニコラスは任地の医療設備の整わない村を放り出し、首都カンパラの豪勢な大統領官邸へと出向く。「暗殺しようと毒をもられた」と苦しむアミンがビールとアスピリンを一緒に飲んだせいだと見抜いて感謝され、身の上話もされる。こうして一気に大統領つきの主治医となった彼の生活は一変する。

 そして一主治医から彼の不在中に代理を任されるブレーンとしての役割も担うようになり、アミンの「友人」としての地位が向上するにつれ、

 ニコラスの周りには、政府関係者やイギリス大使館のイングランド人外交官など「白人」の要人たちが集まってくる。アミン政権を支援したイギリス政府の外交官は国益の立場から「友人」の立場からアミンを操作しろとほのめかされる。しかしニコラスは彼ら「白人」が、これから発展するウガンダから甘い汁を吸おうとする存在に映り、とくにイングランド人が嫌いなニコラスは露骨な嫌悪感を隠せないでいた。

 国へ帰ると伝えるが、ずるずると酒と女に囲まれた遊興なものとなり、自堕落な生活に身を落としていく。

 その後、どんどんとアミンの残虐性が出てきて事に悩むニコラスは………。

 

主演のイデイ・アミン に「プラトーン」「グッドモーニング・ベトナム」等のフォレスト・ウィテカー、青年医師ニコラス・ギャリガンにジェームズ・マカヴォイ、アミンの妻ケイにケリー・ワシントン 

 共演は、サイモン・マクバーニー、デヴィッド・オイェロウォ、スティーブン・ルワンギエジ、アビー・ムキービ 、アダム・コッツ、ジリアン・アンダ^ソン等々。

 

 鬼気迫る演技で見事アミンを演じきった主演のフォレスト・ウィテカーは、この年のアメリカの主要映画賞の主演男優賞をほぼ独占した。

第64回ゴールデングローブ賞主演男優賞

第79回アカデミー賞主演男優賞

 

 エロチック映画ではないのだが、アミンの行った残虐シーンがあるためか、R―15指定が付いている作品となっている。

 

 

 

 2008年公開の「アメリカン・ギャングスター」を観た。

 60年代末から70年代初頭にかけてのニューヨーク・ハーレムにアフロ・アメリカン、フランク・ルーカスが作り上げた麻薬王国の興亡と、彼を追うワイロを絶対受け取らない真面目な刑事リッチー・ロバーツの執念の捜査が描かれる実話の映画化。

「24」「ダ・ヴィンチ・コード」のプロデューサー、ブライアン・グレイザーと監督は、「ブレードランナー」「グラディエーター」リドリー・スコット。脚本は、スティーヴン・ザイリア

 キング牧師が暗殺され、ベトナムではテト攻勢で戦争の流れが変わった1968年。ハーレムの名物男で知られた”バンビー・ジョンソン”の運転手だったフランク・ルーカスは、バンピー没後に家族の力を借りて独立、麻薬ビジネスに始めることになる。

 フランクは、従軍している親類を利用して現地でヘロインを直接買い付けるルートを確立、帰還兵を乗せた軍用機を利用してアメリカ国内に運び込む方法で、安価で質の高い麻薬“ブルーマジック”を売りさばき、“カウンシル”を率いるニッキー・バーンズと並び麻薬業界の大物として、一大勢力を築き上げる。

 一方、ニューヨーク近辺では警察組織の汚職が蔓延しており、まともな警官は働きにくい状態となっていた。私生活は乱れきっているものの、悪に屈しない正義感を持つ警察官リッチー・ロバーツは、ある組織の胴元の車から押収した100万ドルを盗まずに全て署に届けた結果、同僚からつまはじきにされる。しかしリッチーのその正直さが評価され、特別麻薬取締局にスカウトされる。リッチーは優秀なメンバーを選出し、“エセックス郡麻薬捜査班”を設立。ハーレム近辺にはびこっているブルーマジックの供給の元締めを検挙することを目標とした。

 一方で、汚職警察官である特別麻薬捜査官のトルーポは、麻薬で台頭してきたフランクに目をつけ、早速賄賂を要求し金のなる木としてフランクを保護しようとしていた。

 リッチーの捜査により、ブルーマジックの元締めとしてフランクが捜査線上に浮上する。だがフランクはバンピーのやり方を踏襲し、あらゆる方面を買収して証拠無しでは検挙ができない状態となっていた。さらに勢力を広げるフランクであったが、成功によって多くの恨みを買い、次第に追い詰められていく。

 さらに追い討ちをかけるようにベトナム戦争が終結、アメリカ軍は撤退となり、ヘロインの密輸送手段も絶たれてしまう。トルーポはフランクが終わったと察するとすぐに手を切り、フランクの屋敷を家宅捜索して財産を奪っていった。これによってフランクはトルーポにより深い恨みを抱く。

 その後、リッチーの執念の捜査により、ブルーマジックの製造アジトを突き止め急襲。リッチー達は麻薬及び証拠を手に入れ、ついにフランクを逮捕した。逮捕後リッチーはフランクに対して、フランクに協力していた汚職警官を密告する取引を持ちかける。トルーポに深い恨みを持っていたフランクは密告に協力し、汚職警察官の一掃に成功する。

 

 主演のフランク・ルーカスにデンゼル・ワシントン、刑事のリッチーにラッセル・クロウ、トルーポにジョシュ・ブローリン。共演は、キウェテル・イジョフォー キューバ・グッディング・ジュニアテッド・レヴィンアーマンド・アサンテ ライマリ・ナダルカーラ・グギノジョン・オーティス 等々。

 

 リドリー・スコット監督で、デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウのトリオとなれば、カッコ良い映画に間違いはないのだが、予想通りの作品となっていた。手に汗握るというわけではないが、男同士の戦いの緊迫差は出ていた。

 デンゼル・ワシントンが、物凄く知的なマフィアに見えるし、ラッセル・クロウがアウトロー的に見える。これも監督の目論見通りなのだろうか。

 

 

 2010年公開のイギリス・オーストラリア合作映画「英国王のスピーチ」を観た。本年崩御されたイギリス女王エリザベス2世の父ジョージ6世の伝記を原作に、トム・フーバーが監督、自身も吃音で苦しんでいた、デビッド・サイドラーが脚本を担当。

 

 1925年、大英帝国博覧会閉会式で、ヨーク公アルバート王子はエリザベス妃に見守られ、父王ジョージ5世の代理として演説を行った。しかし、吃音症のために悲惨な結果に終わり、聴衆も落胆する。アルバート王子は吃音症を克服しようと努力してきたが、誰も改善できた医師は1人もいなかった。

 エリザベス妃はアルバート王子をロンドンへ連れ出し、オーストラリア出身の言語聴覚士であるライオネル・ローグのオフィスを訪れた。

 独自の手法で第一次世界大戦の戦闘神経症に苦しむ元兵士たちを治療してきたローグは、患者と対等な関係を求め、王室に対する礼儀作法に反してアルバート王子を愛称の「バーティ」と呼びつけ、自身のことは「ローグ先生」ではなく「ライオネル」と呼ばせることにし治療を始めた。

 ローグの無作法に反発し帰りかけたアルバート王子に、ローグはシェイクスピアの『ハムレット』の台詞を朗読できるかどうか、賭けを持ちかける。ローグは大音量の音楽が流れるヘッドフォンをつけさせ、アルバート王子には自身の声が聞こえない状態にすると、その声をレコードに録音する。アルバート王子が途中で腹を立てて中断すると、ローグは録音したばかりのレコードを手渡し、帰っていくアルバート王子を見送った。

 

 クリスマス恒例のラジオ中継の後、父王ジョージ5世は、新時代における放送の重要性と共に、アルバート王子の兄ディヴィッド王太子は次期国王に不適格であり、アルバート王子が王族の責務をこなさなければならないと厳しく伝えた。

 帰邸後、苛立ったアルバート王子がローグから受け取ったレコードを再生すると、聴こえてきたのは自分の滑らかな発声だった。アルバート王子は改めてローグに治療を依頼し、口の筋肉をリラックスさせる練習や、呼吸の訓練、発音の練習などを繰り返し行う。やがてアルバート王子は、ローグに自身の不遇な生い立ちや、吃音を兄達に揶揄されたこと、末弟ジョン王子の死去について打ち明けるまでになり、2人の間に友情が芽生えていく。

 1936年1月、父王が崩御し、デイヴィッド王子が「エドワード8世」として国王に即位する。しかし、新国王が王室のしきたりを破り、不適格な発言も有り、元老たちの反対にあい、即位から1年も経ずに退位することになってしまった。

 アルバート王子は「ジョージ6世」として即位するが、彼の吃音症は依然として深刻なままで、王位継承評議会での宣誓は散々なものであった。 

 そんな中ヨーロッパではヒトラー率いるナチス・ドイツが台頭し始めてきていた。イギリスは国民の統一を促す国王を必要としていた。国王の重責に耐えかねてエリザベス妃に不安を吐露したジョージ6世は、再びローグを訪ねると互いに謝罪し、治療を再開した。

 戴冠式の準備が進む中、大主教はローグを国王から遠ざけようと試みるが、国王はローグを臨席させると譲らない。しかし、2人きりで式の段取りを確認する際、身辺調査によりローグにはなんの医療資格も持たないことを知ったジョージ6世は、不安と動揺からローグを問い詰める。するとローグは、彼が目を離した隙に戴冠式で使われる椅子に座ってみせて挑発する態度を取る。

 ジョージ6世は激怒して怒鳴り散らし、ローグによって「私は国王だ。国民に聞かせる声がある」という言葉を引き出される。

 戴冠式での宣誓は滞りなく進行し、ジョージ6世はその様子をニュース映画で家族とともに鑑賞したところ、続けて再生されたアドルフ・ヒトラーの巧みな演説に強い印象を受けていた。

 やがて英国はドイツに宣戦布告、第二次世界大戦が始まる。同日、ジョージ6世は大英帝国全土に向けて国民を鼓舞する緊急ラジオ放送を行うことになる。

 緊迫した状況の中、ジョージ6世はローグと2人きりの放送室で9分に及ぶ演説に挑み、見事にこなしてみせた。放送室から出てきたジョージ6世は、報道用に堂々と原稿を読む姿を撮影すると、エリザベス王妃、そしてエリザベス王女・マーガレット王女とともに宮殿のバルコニーに出て、待ち構える大衆に手を振る。その様子をローグは満足げに見守るのだった……。

 

 主演のジョージ6世にコリン・ファース、ライオネル・ローグにジェフリー・ラッシュ、エリザベス妃にヘラナ・ボバム・カーター、ローグ夫人にジェニファー・イーリーの他、共演は、ガイ・ピアースデレク・ジャコビマイケル・ガンボンティモシー・スポールイヴ・ベスト 等々。


 久しぶりに、二か国語ではなく、字幕で観た方が良かっただろうと後悔した作品だった。

 吃音という特殊な状況は、吹き替えではコリン・ファースの名演技が十分に伝わらなかったかもしれない。ただ、作品としては“素晴らしい”の一言に尽きる。この年の映画賞で大称賛を受けたことは当然の事。

 

第83回米アカデミー賞

作品、監督、主演男優、脚本賞を受賞。ノミネートだけでも、助演男優賞、助演女優賞、撮影賞、編集賞、作曲賞、衣装デザイン賞、美術賞、  

音響録音賞 も。

 

第68回ゴールデングローブ賞
最優秀主演男優賞。ノミネートで、最優秀作品賞、最優秀助演男優賞、最優秀助演女優賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀作曲賞。

 

第35回日本アカデミー賞  外国作品賞
 

 素晴らしい映画であることは間違いない。

 

 

ポスター画像

 2011年公開のフランス映画「最強の二人」を観た。

 パラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまった富豪の男と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年の交流を、笑いと涙を交えて描く実話がもとのドラマ。まったく共通点のない2人は衝突しあいながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく、というお話。

 実在の人物である フィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴとその介護人アブデル・ヤスミン・セローをモデルにしていて、フィリップは、1993年に事故で頚髄損傷となり、2001年に自身のことや介護人アブデルとのことを書いた本「 Le Second Souffle(第二の呼吸)」を出版したものが原作となっている。2003年にテレビのドキュメンタリー取り上げられ、その後映画化された。

 監督・脚本はエリック・トレダノオリヴィェ・ナカシュ

 

 パリに住む富豪のフィリップは、頚髄損傷で首から下の体を動かすことができない。フィリップと秘書のマガリーは、住み込みの新しい介護人を雇うため、候補者の面接をパリの邸宅でおこなった。

 そこにドリスが面接を受けに来る。しかしドリスは職に就く気はなく、給付期間が終了間際となった失業保険を引き続き貰えるようにするため面接を受け、不合格になったことを証明する書類にサインが欲しいだけだった。気難しいところのあるフィリップは、他の候補者を気に入らず、介護や看護の資格も経験もないドリスを、周囲の反対を押し切って雇うことにした。

 試用期間として1か月間フィリップの介護人として働くことになったドリスは、仕事ぶりは少々雑ではあったが、フィリップは自身を病人としてではなく、ひとりの人間として扱ってくれる彼と次第に親しくなっていく。働き始めて1か月後ドリスはフィリップの信頼を得て本採用が決まり、ある晩2人で外食した際に彼の体の障害や亡くなった妻の話を聞くほどに。

 数日後、フィリップが文通相手の女性に出す手紙をマガリーに代筆してもらっていた所、部屋に入ってきたドリスに「相手の女性とはお互いに顔も声も知らない」と伝える。まどろっこしく感じたドリスは文通相手の電話番号を見つけて勝手に電話してしまい、仕方なく電話に出たフィリップは相手の女性と後日外で会う約束をする。数日後、文通相手と会うために助手と2人で待ち合わせ場所に向かうフィリップだったが、自身の障害を知られるのが怖くて会いに行く事をやめてしまった。

 フィリップに電話で呼び出されたドリスは、そのまま2人で飛行機で旅行に出かけ、プロの手を借りたのだが、パラグライダーでしばしの時間大空を舞う。

 フィリップの邸宅に戻った2人だったが、そこに問題を抱えたドリスの弟がやって来て兄に助けを求める。ドリスから実家で暮らす家族の話を聞いたフィリップは、彼との別れを決める……。

 

 タイトルだけで考えると、刑事ものとかサスペンスものを想像してしまったが、実際はヒューマンなお話でありながら、コメディータッチの演出がされている。友達として、お互いありのままに向き合う2人の姿に、どんどん心がホッカリして行ってしまった。


 主演のフィリップにフランソワ・クリュゼ、ドリスにはオマール・シー、フィリップの年配秘書イヴォンヌにアンヌ・ル・ニ、若い秘書マガリーにオドレイ・フルーロ。その他にクロティルド・モレアルバ・ガイア・クラゲード・ベルージトマ・ソリヴェレ 等々。

 

 本作でのドリスはアフリカ系の黒人だが、実際はアルジェリア出身の青年だそうだ。また、フィリップの妻は亡くなっている事になっているが、実際は、ドリスが来て数年後にお亡くなりになっている。

 

 この作品も数々の賞を受賞している。

第70回ゴールデングローブ賞 最優秀外国語映画賞

第36回日本アカデミー賞 優秀外国作品賞

第24回東京国際映画祭 東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)

最優秀男優賞をダブル受賞

第37回セザール賞   監督・主演男優・助演女優・撮影・脚本・編集・音響賞にノミネートされ、オマール・シーが主演男優賞を受賞

 

 フランスでは歴代観客動員数で3位(フランス映画のみの場合では2位)となる大ヒット作となった。日本でも日本で公開されたフランス語映画の中で歴代1位のヒット作となっているそうだ。

 2019年には、ハリウッドでリメーク版が製作され公開されている。機会が有れば、ハリウッド版も観てみたくなってしまった

 

今迄私は全く知らない作品でした。勉強になりました。