○ 8月22日

 8月の戦争映画鑑賞。今回はイギリスを中心に、昔公開された作品を4本。やはり出演者とあらすじだけおご紹介になります。

日本の作品よりも、安心して普通に観られることが有難いことです。喜劇的面も有ったりして、これが戦勝国が作る戦争映画なのでしょう。日本は、勝新太郎さんの”兵隊やくざ”シリーズでさえ、哀しい場面は沢山あります。

 

 1969年公開の「レマゲン鉄橋」を観た。

 ライン河に残された最後の橋“レマゲン鉄橋”をはさみ、5万のドイツ兵に戦いを挑んだ、アメリカ歩兵大隊の凄絶なアクションを描いた戦争映画。映画のストーリーはおおむね史実を追っているが、戦闘シーンの追加など娯楽性を優先した脚色も加えられている。

 監督は「野良犬の罠」ジョン・ギラーミン。脚本はセオドラ・ストラウス「コマンド戦略」ウィリアム・ロバーツ「クロスボー作戦」レイ・リグビーの3人が執筆。

 

 第二次世界大戦末期の1945年2月、連合軍は敗走するドイツ軍を追ってライン川に迫った。ドイツ軍は、天然の要害であるライン川を盾にして防御するしかなく、連合軍もライン川を渡河すべく、無傷の橋を目指していた。

 ドイツ軍のブロック将軍は上司から、担当地区に残る橋を全て爆破するように命じられたが、川の向こうには7万5000人の兵が残されており、この友軍が撤退できるようレマゲン鉄橋をぎりぎりまで残し、連合軍が間近に迫ってから破壊しようとする。将軍は腹心の部下、クルーガー少佐を橋防衛部隊の指揮官に任命し、連合軍が橋の目前まで迫るまで爆破しないように指示する。

 クルーガー少佐が橋に赴くと、書類上では1600名いるはずの兵員が実際はほとんどおらず、爆破のための爆薬すら無い逼迫した状況であった。少佐は、爆破の準備や橋の防衛陣地の構築とともに増援部隊の派遣を要請するが、いくら要請しても生返事ばかりで一向に援軍が来る気配は無い。そうしているうちに、アメリカ軍のバーンズ少佐指揮のアメリカ第27装甲歩兵大隊が橋の間近まで迫った。レマゲンへ向かう途中、指揮官が倒れ、ハートマン中尉が指揮を代理することとなったアメリカ軍は作戦を変更。ドイツが仕掛けた爆薬を取り外し始めた。そして、橋をめぐる攻防戦が始まる……。

 

 出演はハートマン中尉に「名誉と栄光のためでなく」ジョージ・シーガル、ドイツ軍のクルーガー少佐に「0011ナポレオン・ソロ」シリーズのロバート・ヴォーン、その他に、ベン・ギャザラブラッドフォード・ディルマンE・G・マーシャルピーター・バンアイクマットクラークフリッツ・フォードトム・ヒートンボー・ホプキンス  等々。

 デラックスカラー、パナビジョン。

 

 ロバート・ヴォーン演じるドイツ軍将校が、何故かカッコよく見えてしまった。

 

 1969年公開のイギリス・西ドイツ・アメリカの合作映画「空軍大戦略」を観た。監督は「007/ゴールドフィンガー」ガイ・ハミルトン

 第二次世界大戦前期、1940年7月から10月にかけて行われた英本土上空の制空権を巡る英独の戦い「バトル・オブ・ブリテ」が描かれている。戦いの中の様々なエピソードを綴っていく群像劇になっていて、特定の主人公や明確なストーリーは存在していないそうだ。

 

 ダンケルクの撃退など諸戦の大勝利に酔うヒトラーは、スイス駐在の英大使に和平使節を送った。しかし、チャーチル首相下のイギリスは戦闘を宣言した。ここに、イギリス有史以来最大の危機である十六週間が訪れることになった。

 ドイツの英国上陸作戦は苛烈をきわめ、ロンドンへの空爆を始めた。イギリス軍人の公私にわたる生活に影を投げかけた。

 いまや一般市民も戦争の最前線に立たされているのだった。そして母国をナチに蹂躙されたポーランド空軍が、連合軍と共にドイツを迎え撃つことになった。戦争はいよいよクライマックスをむかえた。

 ゲーリング元師の誤った作戦によって英空軍の反撃は容易になってきた。九月十五日、英空軍は今まで最大の爆撃編隊を迎えたが、ひるまずこれに応じ、英国空軍は勝利をおさめた。

 

 本作には、多数の実物の飛行機がほぼ当時の姿で登場する。しかもイギリス側の戦闘機スピットファイアハリケーンだけでなく、敵国ドイツのBf109戦闘機He111爆撃機も、ライセンス生産されたHAー1112とC-2111 ではあるが、実物で登場する。クライマックスの大空戦シーンでは、一切の効果音が消され、音楽に乗ってスピットファイアやメッサーシュミットがスクリーンを舞う。これが凄い!

 子供の頃、プラモデルで全部作った記憶が有る。

なお、イギリスでの公開日は、最後の大空戦が行われた日と同じ9月15日だったそうだ。

 

出演者は大作の名に恥じない豪華メンバーで、

戦闘機軍団司令長官・ヒュー・ダウディング大将

英国映画演劇界の長老   サー・ローレンス・オリヴィエ

空軍・キャンフィールド少佐マイケル・ケイン

スキッパ―少佐      ロバート・ショウ

アーチー少尉       エドワード・フォックス

婦人補助空軍分隊長    スザンナ・ヨーク

キース・パーク少将    トレヴァー・ハワード

駐スイス英国大使     サー・ラルフ・リチャードソン

フォン・リヒター男爵(独外務省の密使)クルト・ユルゲンス

ゲーリング国家元帥    ハイン・リース

                          等々。

 

 

 1961年公開の「ナバロンの要塞」を観た。原作は、1957年にイギリス人作家アリステア・マクリーンが発表したもの。監督は、「北西戦線」J・リー・トンプソン

 第二次大戦下におけるエーゲ海域でのイギリス軍とドイツ軍の戦いを描いた戦争映画。

 

 1943年、エーゲ海は独軍の制圧下にあり、ケーロス島の英軍2000人の生命は全滅の危機にあった。英軍救出の試みは度々なされたが、途中に睨みをきかすナバロン島の断崖の洞窟に据えられた独軍の2門の大砲のため失敗した。

 そこで、この基地を破壊するために、ナバロン島南部の400フィート絶壁をよじのぼり潜入するというのだ。直ちに必要人員が集められた。

 登山家のキース・マロリイ大尉、元ギリシャ軍大佐スタヴロウ、科学者のミラー伍長、ナイフの名人ブラウン無線兵、ナバロン島生まれのパパディモス1等兵の5人。そしてそのメンバーを率いるフランクリン少佐。

 漁船に乗り嵐の夜、ナバロン島に向った。少佐は負傷したが一行は絶壁をよじのぼり島に上陸した。これを知った独軍の追求を逃れ一行は要塞めざして潜行する。

 山頂の古城で一行は男装の2人の女を捕まえる。1人はマリアといいパパディモスの姉だった。もう1人の若い女はアンナ。2人ともレジスタンス運動に従っていたのだが、アンナは1度独軍に捕まり拷問され口がきけなくなっていた。一行は彼女たちを加え進んだが、マンドラコスの町で全員捕まった。しかしスキを見てゲシュタポの隊長を捕らえ、これを囮に独軍の制服を着込み脱出した。しかし重傷のフランクリン少佐はそこへ残された。いよいよ要塞攻撃の日、一行は要塞の間近かに迫った。要塞破壊と同時にケーロス島の英軍救出に向かう英国艦隊が要塞の下を通ることになっている。猶予は許されない。

 部隊は、しっかりと破壊活動は成功するのだろうか……。そして、メンバーは全員脱出できるのだろうか……。

 

出演者は

キース・マロリイ大尉  グレゴリー・ペック

ミラー伍長       デヴィッド・ニーヴン

スタブロス大佐     アンソニー・クイン

ブラウン一等兵     スタンリー・ベイカー

パパディモス一等兵   ジェームズ・ダーレン

フランクリン少佐    アンソニー・クエイル

マリア         イレ―ネ・パパス

アンナ         ジア・スカラ     

                     等々。

 

 1962年の第34回アカデミー賞の特殊効果賞、および第19回ゴールデングローブ賞の作品賞(ドラマ部門)を受賞した。同時に、音楽担当のディミトリー・ティオムキンは本作品において同ゴールデングローブ賞の音楽賞を受賞した。また本作はイーストマン・カラー、シネマスコープ作品として撮影された。

 

ポスター画像

 

 1979年公開の「ナバロンの嵐」を観た。この作品は、1961年に公開された「ナバロンの要塞」の続編の映画化。原作は、同じアリステア・マクリーン。その後、小説としては「ナヴァロンの風雲」「ナヴァロンの雷鳴」と続く。監督は「007/黄金銃を持つ男」ガイ・ハミルトン

 原作と映画のタイトルでは「バ・ヴァ」の表記が違うらしい。

 

 ユーゴの最重要戦略拠点であるネレトバ橋をめぐって死闘をく

りひろげるパルチザンとドイツ軍を描く戦争アクション映画。

 

 第二次大戦中のユーゴスラビアでは、強大なドイツ軍がパルチザン将兵七千を、ネレトバ峡谷に追いつめていた。彼らを救うにはネレトバ橋の爆破しかない。その命令がアメリカ軍特殊部隊〈フォース10〉に下った。

 バーンズビー中佐を隊長とする〈フォース10〉に、ナバロン要塞を爆破したマロリー少佐とミラー曹長が加えられた。二人にはパルチザンに潜入しているドイツのスパイ、レスコバー大尉抹殺の任務もあった。

 部隊を脱走した黒人の衛生兵ウィーバー軍曹を途中で加えたメンバーはランカスター爆撃機で現地に飛ぶが敵戦闘機に襲われ、ユーゴの地に降り立ったのはわずか5名だった。

 彼らは、ドラザック大尉ひきいる王党派につかまり、ドイツ軍に引き渡される。王党派はドイツ軍に協力するゲリラ組織で、パルチザンと敵対していたのだ。だが王党派にいた娘マリッツァのおかげで、マロリーとバーンズビーは脱出に成功。パルチザンと遭遇し、隊長のペトロヴィチ少佐に会う。マリッツァは彼の実の娘だったのだ。

 少佐はネレトバ橋の爆破は絶対に無理だという。二人はともかくレスコバーと一緒に王党派の集落に侵入して、ミラーやマリッツァらを救出してくる。爆破のエキスパートであるミラーは、橋はとうてい無理だが上流のダムを爆破して洪水をおこせばよいと発言する。

 レスコバーがドイツ軍と連絡をとっているのを見たマリッツァは、レスコバーに射殺された。ドイツ軍の武器弾薬庫から爆薬を盗み出したマロリーらは、ダムに向かう。この時、ついにレスコバーの正体はばれて殺される。彼らを追ってきたドラザックは、ウィーバー軍曹に倒された。ダムにしのびこんだマロリーとバーンズビーの仕掛けた爆弾が時間通りに爆発。ダムは徐々にき裂がはいり、やがて壁面をつき破って水がほとばしり出る。水は奔流となって川を下り、折しもドイツ軍が渡り始めていたネレトバ橋を押し流してしまった。

 

 出演者は

バーンズビー中佐     ハリソン・フォード

キース・マロリイ少佐   ロバート・ショウ

ミラー曹長        エドワード・フォックス

レスコバー大尉      フランコ・ネロ

ウィーバー軍曹      カール・ウェザース

ドラザック        リチャード・キール

マリツァ         バーバラ・バック

 その他、アラン・バデルクリストファー・マルコムニック・エルスワースジョナサン・ブレイクマイケル・シアード

                   等々。

 

 今作は、原作とは展開が違っているらしい。主たる任務をアメリカ軍特殊部隊が負っていることなど、マロリーとミラーの作戦目的も含めて原作に対して大幅な改変が加えられている。

 またマロリィとミラーのキャストも一新され、内容的にもコメディ色が強い。名優ロバート・ショウは公開直前に亡くなった。

 

 カッコ良さなら前作だが、楽しくみられるのは今作ではないだろうか。

 観る人の趣味により、評価が変わる作品ではないか……。