年末12月と言えば、まずは忠臣蔵のドラマや映画を観て、中旬からは山下達郎の「クリスマスイヴ」が町中で流れだし、大晦日に日テレの時代劇を見て除夜の鐘を聞く。という事が、私の定番となっていました。

 しかし、まずは日テレの時代劇が無くなり、忠臣蔵のドラマや映画もなくなり、山下達郎の曲も、あまり流れなくなってきてしまいました。

 

 今年は、今年は新しい忠臣蔵が無かったので、録画していた分を観て、季節を感じようとしたのですが。

 

○    12月14日

 

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 1994年公開の東宝映画「四十七人の刺客」を観た。

 この作品は、今までの忠臣蔵物と違い、現代的な情報戦争、経済戦争の視点で書かれた、池宮 彰一郎の原作を映画化。

 監督は市川 崑。脚本は池宮本人(池上金男)と市川監督竹山洋の共同脚本。

 大石内蔵助(高倉 健)と吉良・上杉側の司令塔、色部又四郎(中井貴一)を軸に、内蔵助の人間像を追いつつ新しい視点で描いている。となっている。

 物語の大筋はもう書く事は無いだろう。

 

 日本アカデミー賞で、主演男優賞で高倉 健監督賞市川 崑がノミネートされているが、最優秀賞は助演男優賞に中井 貴一が選ばれている。

 中井の演技は良かったが、健さんファンの私でも、健さんの主演男優賞ノミネートは、役者の名前の力だろうとは思う。監督賞もしかり。

 10代の宮沢りえは、本当に可愛い。りく役の浅丘さんは、時代劇でもメイクは現代風だな、とも。

 

 出演者は、これでもかというくらいに名役者が揃う。これが忠臣蔵の持ち味。

 大石内蔵助・高倉 健、色部又四郎 ・中井 貴一、堀部安兵衛・宇崎 竜童、吉良上野介・西村 晃、柳沢吉保・石坂 浩二、千坂兵部・森繁 久彌、大石りく・浅丘 ルリ子、天川屋儀兵・ 板東 英二、不破和右衛門・岩城 滉一、かる・宮沢 りえ。

 その他、松村 達雄、井川 比佐志、山本 學、神山 繫、古手川祐子、石倉 三郎、石橋 蓮司、佐藤 B作、小林 稔侍、中村 敦夫等々。まだまだいらっしゃいますが……。

 

 映画の感想は最後に。

 

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 2019年公開の松竹映画と吉本の「決算!忠臣蔵」を観た。原作は、東京大学史料編纂所の山本 博文教授の「忠臣蔵の決算書」

 限られた予算の中で仇討を果たそうとする赤穂浪士たちの苦労を描く。監督・脚本は「殿、利息でござる!」中村 義洋。コメディ時代劇。堤 真一とナイナイの岡村 隆史がダブル主演。

 大筋は忠臣蔵だが、この作品がちょっと違うのは、筆頭家老の大石内蔵助は勘定方の矢頭長助(右衛門七の父、普通の作品ではもうすでに亡くなっている)の力を借りて財源の確保などに努めるが、そうした努力や幕府への働きかけも虚しく、お家再興の夢は絶たれてしまう。それでも一向に討ち入る様子のない内蔵助だったが、江戸の庶民たちは吉良への仇討を熱望。しかし討ち入りするにも予算が必要で、その上限の都合上、討ち入りのチャンスは1回きり。予算内で仇討を成功させるべく奮闘する浪士たちだったが……。大石は常に金欠に悩まされる、それを、そろばん侍・矢頭が助ける。二人は幼馴染の設定。

 主演は大石内蔵助に堤真一矢頭長助の岡村隆史のダブル主演。岡村隆史が目立っている。身代わりで死んでしまう時は、コメディー映画では無くなっていた。

 その他、大高源吾・濱田 岳、不破和右衛門・横山 裕(関ジャニ)、堀部安兵衛・荒川 良々、菅谷半之丞・妻夫木 聡、吉田忠左衛門・西村 まさ彦、原惣右衛門・木村 祐一、間瀬久太夫・寺脇 康文、大石りく・竹内 結子、瑶泉院・石原 さとみ。その他、西川 きよし、板尾 創路、桂 文珍、阿部 サダヲ、滝藤 賢一、笹野 高史、大地 康雄、千葉 雄大、鈴木 福、近藤 芳正、浪岡 一喜等々。

 

 12月14日の討ち入りに合わせ、新解釈の忠臣蔵2作品を観た。この作品たちを観て思う事は、やはり忠臣蔵は、ご存じ物のエピソードを連ねた、安心できる内容の方が、日本人、特に年配になってくると断然良いのではないか。

 

 どちらの作品も、ご存じ系のシーンは無い。特に「四十七人~」の方は、それが酷い。悲しくなるほどだった。健さん出演していればそれだけで良いファンの私でも、情けなくなってしまった。チャンバラシーンは盛り上げようとしているのだが。大石まで吉良邸の内部まで入って斬りあっている。

 まだ「決算!~」は、コメディーとして成立させようとしている。

 もう何度も制作されている「忠臣蔵物」は、制作サイドでは新たな視点で作り上げたいのだろうが、たぶん見る方はそれを望んではいない。

 出演役者の頑張りだけを期待するのは、良くない。やはり脚本の良し悪しが重要になって来る。

 年末の風物詩になっている「忠臣蔵」。復活を望むのは、私だけであろうか。

 エピソードを持っている登場人物の数は、山ほど居る。次郎長物と忠臣蔵は、常にオールスターキャストが定番だから……。

 

 良質な時代劇を観たいものだ。