眠らぬ街のシデレラ 廣瀬遼一編 「教会式?神前式?」 | 蜜柑のブログ

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私が密かにハマってるアプリのまとめ。

自分が選択したそのままを載せてるので

ご了承ください。

(あとで確認次第、修正する予定です)

 ※申請した後にメッセ
 送ってもらってもOKです。

無言申請は無効になります。

楽しい食事から帰り、一息ついていると

遼一さんの電話が鳴った。

遼一「・・・見たことない番号だな」

悠里「悪戯ですかね?」

遼一「とりあえず出てみるか」

スマホの通話ボタンを押して

応じた遼一さんが、驚いたように

目を見張る。

もしかして、お父さんとか。

「・・・南原監督?」

ごめん私の脳裏にはお昼の顔の
あの人しか浮かばないわ。


悠里「えっ」

(それって、遼一さんが脚本を断った
 映画の・・・?)

(っていうか、あの巨匠から直接電話が
 かかってくるなんて・・・!)

思わず近づくと、

遼一さんは私にも聞こえるように

スピーカーフォンにしてくれた。

南原『突然申し訳ない。秀談社の担当の
   女性から連絡先を聞いてね』

『廣瀬先生、どうしても今回の話は
 引き受けてもらえないだろうか?』

遼一「すみません。普段書いているものと
   ジャンルが違うので」

『それは重々承知しているよ。だが
 愛が根幹に詰まった作品なんだ』

『私としてはどうしても、心理描写に
 長けた廣瀬先生にお願いしたい』

遼一「監督・・・」

(南原監督からの直談判・・・さすがに
 遼一さんも、これは断りにくいかも)

(私は、新しいことに挑戦する遼一さんが
 見てみたいけど)

『私自身、先生の小説のファンでね』

『今回は最高の作品にしたいから
 執筆期間は長くとってある』

『もう一度検討してみてほしい』

遼一「・・・わかりました。少し  
   考えさせてください」

めずらしく困り果てた様子で

遼一さんが電話を切る。

悠里「遼一さん・・・」

遼一「まいったねえ」




・・・・・




「まいったねえ」

悠里「すごいですね。あの南原監督から
   直々に電話が来るなんて」

遼一「理香子もなんで連絡先教えたんだか」

「まあ、監督に教えてくれって
 言われたら断れないか」

悠里「・・・どうするんですか?」

遼一「あそこまで言われたら、とりあえず
   検討するしかないでしょ」

悠里「じゃあ、引き受ける可能性は   
   あるんですね」

遼一「さあな」

「でも、お前はそんなことまで
 気にしなくていいの」

悠里「だけど・・・」






こんなところにスチルが落ちてた。

ほーら、主人公はこんなドレスを
着てたのか。








遼一「それより、今はこっちでしょ」

そう言って、遼一さんが私を

軽々と抱き上げる。

悠里「ま、まだ着替えてませんから・・・!」

遼一「ならちょうどいいな」

悠里「ちょうどいいって・・・?!」

有無を言わさず、寝室へと

連れ込まれ・・・







ベッドに私を下ろすと、

遼一さんの指がつぅっと背中をなぞった。

悠里「ひゃっ」

遼一「もうちょっと色気のある反応が
   できないもんかねえ」

悠里「あっ、ちょっ・・・」

肩を隠していた布を下ろされ

胸元に口づけられた。

背中をなぞっていた手はするりと

腰へと下りていき

簡単にドレスを脱がしてしまう。

「待っ・・・ん、っ・・・!」

遼一「おや、今度はいい反応だな」

「こんなドレス着てるからエロイ 
 気持ちになっちゃったんじゃないの?」

悠里「このドレス選んだの、
   遼一さんですよ・・・!」

遼一「そりゃ、脱がしやすいドレスに
   してくれって頼んだからな」

悠里「?!」

遼一「いやぁ、セクシーだし脱がしやすいし
   言うことなしだわ」

悠里「なんてこと頼んでるんですか!」






・・・・・





慌ててドレスを押えようとしたけれど

もう遅い。

遼一さんの手は私の柔肌を甘く

追い詰め、弱いところをひと撫でする。

「あぁっ・・・」

遼一「・・・最初からこんなに感じちゃって
   どうするの」

「今日はお祝いだから、少し
 優しくしてやろうと思ったのに」

一瞬、その瞳に劣情の色を宿した

遼一さんが微かに眉をひそめる。





シャツを脱ぎ捨てると、ゆっくりと私に

覆い被さりながら肌を攻め立てた。

悠里「んっ・・・ふ、ぅっ・・・」

遼一「声、我慢しなさんな」

「ベッドの中でしか聞けないんだから」

悠里「ぁっ・・・」

遼一さんの手や唇が動く度に

ゆるい快感が押し寄せて

口から嬌声がこぼれる。

そのすべてを掬い取るようなキスや

愛撫で、遼一さんは一晩中

愛してくれた。






数日後の朝、

仕事へ向かう準備をしてリビングに

向かうと、遼一さんは本を読んでいた。

「朝から読書ですか?」

遼一「んー・・・」

(あれ・・・?遼一さんが読んでるのって
 純文学?)

(めずらしいな。青臭いから苦手、って
 いつも言ってるのに)

千麗芳朗の名義で純文学を

発表して以来、

遼一さんはそのジャンルを遠ざけている。

自分の内面を直視しなければ

ならないのが苦痛だから

という理由らしい。

(私は、また千麗先生の作品が
 読みたいんだけどな)

(ん?あの映画って・・・)

遼一さんの傍らに置いてあるのは

南原監督の映画のDVDだ。

(今の仕事で充分・・・なんて
 言ってたけど)

(やっぱり、監督の映画の脚本には
 興味あるのかも)






・・・・・・




悠里「それじゃ遼一さん、
   仕事行って来ますね」

遼一「ああ。遅くなるようなら迎えに
   行くから」

悠里「ありがとうございます。
   行って来ます」

(でも、監督の仕事を引き受けるも 
 受けないも、遼一さんが決めることだ)

(どんな結論でも、私はその気持ちを
 応援しよう)

そう決めて、家を出た。






一週間後、みんなの都合が付く日に

私の両親が上京した。

空港まで迎えに行ったけど

すでに両親は借りて来た猫のように

なっている。

母「悠里から話は聞いてたけど」

「本当に廣瀬先生とお付き合い
 してるなんて・・・」

悠里「だから何度も言ったのに・・・
   写真も送ったよね?」

父「ああ・・・お前があの北大路兄弟や
  F1レーサーの人と写ってるやつな」

「自分の娘が有名人に囲まれてる写真
 なんて、合成としか思えないだろ」

遼一「合成」

悠里「すみません、おかしなことを
   考える両親で・・・」

肩を震わせて笑う遼一さんに

謝ったとき、ふすまが開いた。

お義父さんとお義母さんが入って来た

瞬間、うちの両親が慌てて立ち上がる。

傑「遅れて申し訳ありません。急きょ
  総理から連絡が来てしまって」

母「総理・・・?!」

父「ひ、廣瀬大臣・・・!わざわざ
  来ていただいて」

傑「いえ、わざわざ来ていただいたのは
  こちらのほうです」

「本来でしたら、私たちがご実家まで
 伺わなければならなかったのですが」

母「とんでもない!大臣はお忙しい
  でしょうから・・・!」

(緊張する気持ち、すごくよくわかる・・・)

(私もお義父さんと初めて喋るときは
 本当に緊張したな)

テレビで見る親子に囲まれ

両親は完全にガチガチになっている。

お義母さんの座るように勧められて

ようやく再び席についた。




・・・・・




傑「作家などという不安定な職業の
  息子が」

「大事なお嬢さんを頂くのは」

「ご両親にとっても不安でしょう。
 本当に申し訳ありません」

母「とんでもありません、廣瀬先生以上の
  人なんてうちの子には」

父「ええ。今回の費用も廣瀬先生に
  すべて出していただいて・・・」

「うちの娘こそ、仕事ばかりで
 家のことが務まるかどうか」

恵子「でもその悠里さんの仕事で
   私たち一家は助けられたんです」

傑「ええ。危険な潜入取材までして
  くださった。本当に感謝しています」

この間の副大臣のスキャンダルのことだと

お父さんとお母さんも気づいたらしい。

父「大臣ほどのお立場になれば
  いろいろと大変でしょうね」

傑「職業上、仕方のないことです」

母「それにしても、お父様が文化省の
  大臣で息子さんが作家さんなんて」

「お父様の聡明なところを、しっかり
 受け継がれたんですね」

傑「・・・・・」

えっ、失言だった?

お母さんの言葉に、お義父さんが

軽く目をみはる。

悠里「お義父さん・・・?」

傑「いや・・・」

「・・・ありがとうございます」

お義父さんが深々とうちの両親に

頭を下げ、

ふたりがこれ以上ないほど

恐縮している。

そんな3人を眺めながら、思わず

お義母さんと目配せした。

(遼一さんは特になんとも思って
 なさそうだけど)

いや、腹の中で色々思ってるってば。

(お義父さんが遼一さんのことを
 話すたび、ハラハラする・・・)

でも、それ以外は終始和やかなムードで

顔合わせは進み・・・

食事が終わるころには、

うちの両親も少しだけお義父さんと

打ち解けたようだった。