眠らぬ街のシンデレラ 続々編 響編「夫婦になれてよかった」 | 蜜柑のブログ

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自分が選択したそのままを載せてるので

ご了承ください。

(あとで確認次第、修正する予定です)

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 送ってもらってもOKです。

無言申請は無効になります。

すぐに手配したチケットで

ニューカレドニアを発ち

日本に着いたのは午後。

空港に着くと響さんはすぐに仕事へ

向かっていった。

残された私は、一人マンションへと

向い――




悠里「よし、作りますか」

途中で買ってきた食材の入った

袋をキッチンに置く。

にんじん、じゃがいも、玉ねぎに牛肉。

久しぶりに見る日本の食材に

テンションが上がった。

「カレールウなんて久しぶり」

「向こうでも売ってるけど、割高だから
 つい諦めちゃうんだよね」

「あ、それから・・・」

キッチンパントリーの棚を開き

奥から瓶の保存容器を取り出す。

「らっきょう、美味しく漬かってるかな」

「日本に戻って来た時用に残して
 おいたけど・・・」

蓋を開けて箸でひとつつまんで

口に入れてみる。

シャリシャリとした歯ごたえに

しっかりと味がしみ込んでいた。

「んっ・・・いい感じ、
 好きそう、好きそう」

「これがあれば、疲れも吹っ飛ぶよね」

「NYじゃ漬ける暇なかったから・・・」

懐かしいキッチンを前に、

腕まくりをする。

響さんの喜ぶ顔を思い浮かべながら

カレーを作り始めた。







響「・・・・・」

シャリ、シャリ、シャリ。


もうすでにカレーではなく
付属のらっきょうが好きとか。


小気味いい音が聞こえて来て、

にこっと微笑む。

某牛丼屋で紅ショウガを大量に
食べる私のようだ。


「どうですか?」

響「・・・・美味い」

「ホテルの料理に文句はなかったが
 お前の料理で十分だな」

おっ、誉めてる。

「特に、このらっきょう・・・
 実家よりお前の味の方が落ち着く」

(よし!)

胃袋は完全に掴んだな。

悠里「毎年、響さんの好みに合わせて
   漬けてきましたからね」

「あ、もしかしてこれが我が家の味
 ですか?」

響「普通そういうのは、肉じゃがや
  味噌汁で言うものだ」

悠里「肉じゃがもお味噌汁も
   手抜きだから・・・」

「でも、らっきょうはこだわってますよ」

響「まあ、そういうのがお前らしい
  かもな」

そう言いながら

響さんはシャリシャリとらっきょうを

食べ続ける。

 

 

 

 



夕食を食べ終わると、いつものように

コーヒーを淹れた。

悠里「どうぞ」

響「ああ・・・」

「疲れてるのに、悪いな」

悠里「響さんこそ、打ち合わせで
   気が抜けなかったんじゃないですか?」

「今日はもうお風呂に入って
 休んでください」

「あ、お風呂入れてありますから」

響「ああ、そうさせて――」

ピカッと室内に光が入り込む。

悠里「あれ、雷?」

「帰って来る時、天気悪かったですか?」

響「そういえば・・・」

響さんの声を聴きながら

立ち上がり、窓に向かう。






・・・・・





外を見ると、勢いよく雨が降っていた。

「わ、すごい雨・・・」

「遠くで光ってますし・・・
 今夜は荒れそうですね」

響「・・・・」

え、なんで機嫌悪いの。

(さっきまで天気よかったのに)

いや、そういえば、って言ってたじゃん。

(早めに日本に着けて良かったかも)





夕食の片づけを終えても、

相変わらず大雨が降っている。

ソファにもたれながら

ぼーっとテレビを見ていた響さんの

肩に手を置く。

悠里「響さん、寝そうですよ」

「先にお風呂どうぞ」

「私、後から入りますから」

響「後から?」

え、一緒に入れと?

「そんな必要ないだろう」

やっぱり!

「どうせ入るなら一緒でいい」

一人で入れ!

悠里「えっ、ちょ・・・」

(一緒に?!)

(響さんからそんなこと言うなんて――)






チャポン・・・

お湯につかりながら

響さんと向かい合う。

響「・・・・・・」

悠里「珍しいですね。響さんが一緒に
   入ろうなんて」

「いつもの、邪魔だ。疲れが取れないって
 いうのに」

響「今日は特別だ」

悠里「ハネムーン中だからですか?」

響「・・・そうだ」

不機嫌そうに答えながら、

なぜかソワソワしている。

あ、もしかして雷がこわい?

(あー、そういうことか・・・)

悠里「私はてっきり、雷が怖いのかと」

お前も怖いもの知らずだな。

響「・・・は?」

あからさまに表情が険しくなった

響さんに笑ってしまいそうになった。

悠里「ほら、覚えてませんか?」

え、なんかあったっけ?

「私がここに来たばかりの頃
 響さんが――」

ピカっと視界が点滅する。

次の瞬間――




プツンと明かりが消えた。

(あ・・・消えた)

響「!!!」

これが怖いわけね。

悠里「わっ」

お湯が大きく揺れたかと思うと

迫って来た響さんに抱きしめられる。

普通逆じゃね?

悠里「え、あの・・・響さん?」

響「動くな」

こわいからw

悠里「でも、これだと原因が
   わかりませんよ」

「ブレーカーかもしれませんし・・・」

響「ブレーカー・・・」

さあ、全裸でブレーカー上げに行くんだ。

悠里「目が慣れたら見て来ます」

置いていくのか!(響、心の声)

「あの、ちょっと苦しいので・・・」

響「っ・・・動くなと言っただろうが!」

それは逆ギレと言います。

悠里「だけど、動かないと明るく
   なりませんよ」

響「っ、だめだ・・・」

(暗いのが怖いのは相変わらず
 なんだな)

悠里「大丈夫です」

「どこにもいったりしませんから」

響「子供にするようなあやし方をするな」

「別に怖い訳じゃ・・・」

はいもう一回ピカッとください。

悠里「はいはい」

「じゃあ、少しだけ離れてもらえますか?」

響「・・・・・」

納得いかない顔。これですわwww











腕は緩まるが、完全には

離してもらえない。

「ブレーカー見て来ます」

主人公つええな。

「一時的な停電なら戻るかも
 しれませんけど・・・」

その時、パチッと音がしたかと

思うと明かりが戻る。

なんだよ、もう戻ったのか。




・・・・・・







響「あ・・・・」

悠里「戻りましたね」

(雷で停電してたのかな)

「・・・・・」

分が悪い響。

見上げると、私に抱きついていた

響さんはバツが悪そうな顔をしていた。

悠里「ぷっ・・・ふふ・・・」

響「何がおかしい」

悠里「だって、前と同じだから」

「ちょうどその話をしようと
 思ってたんです」

「そしたら、ブツッて暗くなって・・・」

響「・・・・」

悠里「でも、おもしろいですよね」

「あの時、私のこと散々、色気がない
 って言ってたのに・・・」

(あ・・・)

お湯の中でお腹に何かが当たる。

悠里「・・・・」

お宅のご主人大丈夫か?
この状況で。


響「・・・・・」

悠里「・・・せ、生理現象ですしね」

ていうしかない状況。

響「っ・・・そうだ」

「だが、前とは違う」

(えっ)

ほんと「えっ」だわ。

ザバッと勢いよく立ち上がる音と

一緒に、私の身体は

響さんに抱き上げられていた。

「ひ、響さん。こんな状態で
 どこに・・・」

響「決まってるだろう」

「夫婦なんだ、ちょうどいい」

その言い訳止めなよ、
ちょうどよくないわ!


「このまま部屋に行く」

悠里「えっ、ダメですよ!
   部屋が、ベッドが濡れます!」

超現実的。

響「知るか」

カビる。

響さんは私を抱き上げたまま

バスルームを出る。

向かった先はもちろん、

寝室だった――







・・・・・・





悠里「ぁっ・・・響さん、待っ・・・」

バスルームからベッドまで運ばれると

濡れた身体のまま押し倒される。

あたためられて柔らかくなった身体を

何の準備もなくつなげられて驚いた。

「い、いきなり・・・!」

響「――・・・十分、受け入れられたな」

悠里「っ、ん・・・・っ、あ・・・」

圧迫感に息が止まりそうになる。

ゆっくりと突き上げられては、

引きずり出される繰り返しに

身体が応えはじめていた。

響「しかも、もう感じているのか」

悠里「や・・・苦し・・・」

響「まだ半分だ」

悠里「あっ・・・あ・・・だめ・・・
   響さん、待って・・・」

浅く、送り込まれる熱にじれったさを

感じる。

わざとあおるように、響さんは

ゆっくりと腰を沈めていた。

(そんな・・・急にこんなのない・・・)

響「どうした」

悠里「っ・・・ん・・・こんな・・・
   あっ・・・」

響「動かすな」

悠里「違っ・・・・」

動いてなんていない。

そう言いたいのに、恥ずかしくて

切なくて、言えなかった。

そうしている間にも

堪らなくなってくる。

(もっと・・・もっと深く・・・)






・・・・・・





「あっ・・・・・」

響「急に乗り気になったな」

「いきなりは嫌なんじゃなかったのか?」

悠里「んっ・・・・っ・・・」

少しでも動けばビクリと反応してしまう。

しっとり身体を濡らしているのが

お湯なのか汗なのかわからなく

なっていた。

「疲れてるんじゃ・・・」

響「お前が一番よくわかってるはずだ」

悠里「あっ」

強いくらいに腰をつかまれながら

押しまわされていく。

ひどく感じる場所をいじられると

全身が甘く痺れていき

頭の中が真っ白になる。

「響さん、・・・好き・・・」

「あっ、・・・好き・・・」

響「その程度なのか?」

(違う・・・)

(でも、言葉なんて・・・)

悠里「っ、愛して・・・ぁッ・・・」

響「ハネムーンなんてどこで過ごしても
  同じだな」

「お前さえいれば・・・」

「・・・愛してる、悠里」

耳元でささやかれる言葉に激しいうねりが

身体を襲う。

何度も抱かれながら、少しだけ

手加減して欲しいと

初めて思った夜だった。








悠里「ただいまー」

予定通り2週間、私と響さんは

NYへと帰った。

ニューカレドニアでの1週間。

日本での1週間。

振り返ってみれば充実した

ハネムーンだった。

「また明日から仕事ですね」

響「ああ」

悠里「慌ただしいハネムーンでしたけど」

「このくらい波乱万丈なくらいが
 わたしたちっぽくないですか?」

響「そういうところが
  へんちくりんなんだ」

(そうなのかな?)

悠里「結果オーライってことですよ」

響「・・・・・・」

「悠里、少しいいか」

なんだ、改まって。

悠里「?」

響さんに呼ばれてスタジオへと向かう。







「どうしたんですか?」

ああ、スタジオ。曲が出来たのか。

「帰って来たばかりなのに、
 もう仕事するんです?」

響「いいから、ここに」

ピアノの前に座った響さんは

隣に立つように椅子をたたく。

そこは私だけの場所だった。

悠里「何か弾いてくれるんですね」

響「うるさい」

「さっさと座れ」

悠里「・・・・はい」

(もっと優しく言ってくれればいいのに)

 

ほんとそれ。


隣に行くと、響さんは

鍵盤に手を置いた。

胸を高鳴らせて待っていると

流れて来た音に、

一瞬で心をつかまれる。

(この曲・・・・)

透明な音はまぶしいくらいに

キラキラと輝く。

浮かぶのは――青い空、白い砂浜

紫から青に変わる空。

飛び散る水しぶきに照り付ける太陽。

それに、これは――





・・・・・





悠里「なんだか楽しい気持ちに
   なる曲ですね」

「こう、わくわくというか、
 どきどきというか」

「つい笑顔になるような・・・」

響「俺とお前の曲だ」

「ハネムーンは無駄じゃなかった」

「お前といると音がどんどん
 浮かぶからな」

悠里「ずっと仕事してたんですか?!」

響「お前ががそばにいると
  嫌でも音が浮かぶ」

「無意識に、お前と過ごす時間を音に
 して残しておこうとしているのかもな」

悠里「私との時間・・・」

響「このスタッカートの部分」

「お前の笑い方みたいじゃないか?」

楽しそうに指を跳ねさせ

響さんは笑う。

「それに、このスラーは怒っているとき」

「トリルは拗ねているときだな」

えっと、ご自分が、ですかね?

悠里「ちょっ恥ずかしい曲
   作らないでください」

響「こんな曲を俺が作れるように
  なったのはお前のおかげだ」

悠里「そんな・・・響さんはもともと
   素晴らしいんです!」

響「いや、こんなは俺の中になかった」

「お前がそばにいて、笑ったり
 言いあったり」

「騒がしいのに楽しくて・・・」

「そんな毎日が俺に音を教えて
 くれたんだ」

「だから、ふたりの曲・・・・」

「これなら子供がいても楽しめそうだ」

おっ、子供に言及した。

「きっとまた新しい音が生まれる」

悠里「子供って・・・」

響さんを見つめてしまう。

なんかこの流れだと響が
「子供ができたの」って言いそうな
場面だな、ありえんけどw


響「そういう時が来ても大丈夫だって
  ことを言いたいだけだ」」

悠里「え、響さんがパパになるって
   ことですか?」

響「問題でもあるのか?」

悠里「あります!」

真っ向から来やがった。

「だって、ちゃんと育てられます?」

響「お前・・・俺をなんだと思ってるんだ」

「大事にするに決まってる」





お、おおお!これは最高に素敵な。















響さんは弾くのを止めて

私を抱き寄せて微笑む。

「一生、俺の傍にいるんだろう?」

「だったら、そのへんちくりんな顔で
 一生、隣で笑っていろ」

「俺が見ていてやる・・・」

悠里「響さん・・・」





どちらからともなく近づいて唇が

重なる。

唇を離すと、響さんは微笑んだまま

またピアノを弾き始めた。

(幸せの音だ・・・・)

(ああ、私・・・今、本当に思う)

(響さんと夫婦になれてよかった・・・)

大好きな人の隣で、大好きなひとの

音を聴く。

どんなに時間が過ぎても

この気持ちだけは変わらない。

ふたりの未来は、

私が幸せにしてみせる――・・・・









fin――




これにて響、続々編終了です!

最後の方、かなり過激で・・・。

思わず斜線。

次はー、最近やっと続々編が出た。

小説家へと行きます。

てか、小説家は29歳設定だったのか。

そうかそうか・・・。

よし、では準備しますのでお待ちを。