故郷の駅に降り


いつものように


生家にほうへむかって


歩く


ここ最近


気が向くと



無性に

この道を歩きたくなる


もう

誰も

わたしに気がつかないし


そんな心配もいらない

誰も

もう

ここには

いないんだから



生まれた家は既になく


見知らぬ人が


家を建てて住んでいるし




どんな人たちが住んでいるのかしら





もし  いま  ここから誰か出て来れば


どうしよう


咄嗟に 何か  話しかけてしまうかも知れない



私はここで生まれた者ですが・・・なんて。


いってみたりして。。。




何もかもが  変貌してしまっている景色の中で



あのころと変わらず


迎えてくれるのは


この道だけ



そして


コロコロと無邪気に  


笑い転げながら遊んだ


田んぼ   や 路地   



何がそんなにおかしかったんだろ



半径500メートルほどの


この小さな空間の


何もかもが愛おしい

なにもかもが


辛い思いをしながら

歩いたこともある

道や風景なのに


いまは

すべてが

わたしを

優しくむかえてくれる

あんなに嫌いだった

隣のおばさんまでが

ほら

笑みをうかべて

おかえり!って

いってくれているわ




幼い頃の自分や友達が


あちこちに佇んでいて


この道あの木の周り


あの路地から


顔をのぞかせる



麦畑の麦の皮を剥いて口に含み


田んぼのあぜ道にひそむ 


虫たちと遊びながら


麦の実を噛んでいたら 


ガムのようになった



草の陰に隠れている  


うす紫色の小花を摘んだら


可愛い花弁をひらりと落とした


オオイヌフグリ


摘まなければよかったのにと後悔した


日が暮れるのも忘れて遊んだ



この道のうえで


出逢い


喧嘩もし


この道で別れ


この道を手を繋ぎ


歩いた


愛しいみんな




いまも


げんきで


何処かで


きっと


しあわせに


くらしてくれていたら


うれしい






わたし?



げんきよ





またね。



またね!