秩父鉱山の水晶 | 屋根裏部屋通信(風の呟き)

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主に、散歩などの記録を写真とともに残したいと思います。
古いものもあるかと思いますが、宜しくお願いいたします。
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秩父鉱山は、他のスカルンの鉱山に比べて水晶の産出が少ないのですが、

歩き回っていると何となく集まってきました。

 

 

(1) 和那波沢(露天掘リ跡付近)

 

長さ30mmほどの、マッチ棒の軸のような細い水晶が小さな沢に流れていました。

横にしてあるものは、両頭の水晶です。母岩付きの標本が欲しくて上流に上って露頭を

探してみましたが、ツルツルの大理石で歯が立ちませんでした。

 

ヒビ割れ水晶  90x80x35

 

これは、上の細い水晶の近く(隣)での産出です。

 

画像のように細かいヒビがあるのに結晶の形を保っているのに不思議さを感じます。

角閃石などのインクルージョンではないようです。

 

 

(2) 渦の沢

 

90x60x70

 

燐灰石の露頭を叩いている時に、小さな晶洞が現れて鎮座していました。

この付近には、石英分が多くあるのですが標本にするような水晶は採っていません。

 

 

(3) 大黒

 

 

大黒では、小さな水晶が硫砒鉄鉱の上に乗っていました。量は豊富なのですが、

1cm未満の小さなものばかりでした。

 

 

(4) 小倉沢・M沢

 

150x150x110

 

100x50x30

 

 

 

長さ65mm    この産地で採集した中で一番長いものです。

 

 

30x40x55  最長50mm

 

80x70x75  最長60mm

 

 

水晶は、この沢の目玉でした。秩父鉱山は水晶の産出が珍しいくらい少ない場所で、

小さなものは沢山ありますが水晶とラベルが付けられるようなものは殆ど見たことがあり

ませんでした。

透明で条線がきれいに入った、いかにも水晶といった姿は満足できるものでした。

 

この場所は、とある春先にK氏を産地案内する時に、私が前年に小さな水晶を見つけていたので寄り道したのです。すると、K氏が斜面に転がっていた4センチほどの美晶を採集しました。その後は、二人して落ち穂拾い状態で分離結晶を採集しながら露頭に巡りつきました。

その露頭は、焼けていて如何にも怪しい石で、前年にも私は見ていたのですが水晶っ気は

全くありませんでした。それと、前年は晩秋の落ち葉の後だったので、斜面の水晶は見つけられず小さな物を拾っただけでした。

露頭には水晶はついていなかったのですが、落ち穂拾いの延長なので基部の柔らかい土を掘ってみました。すると、今度は芋掘り状態で次から次へと出てくるではありませんか。笑いが止まらないとはそういう事だったのですが、この水晶の産状について推測してみました。

 

① 斜面に落ちていたものは、表面だけで掘っても出てきません。

② 露頭の地表部には水晶は見られなかった。

③ 坑口もなく、人が崩したあとも全くありません。

 

以上のことから、この露頭には地表付近に水晶のついた部分があり、それが自然崩落して

そこから分離したものが斜面に撒かれた。地表面にだけ転々と撒かれていたということは、

それほど昔ではないのではないだろうか・・・

(平成11年の台風による大雨で崩れた可能性がある。と、考えています)

また、水晶がついていたと思われる痕跡のある部分(石)もなかったことから、その部分は谷底に転げてしまった可能性がある。

 

そして、谷底にはまだ水晶のついた大岩が転がっている・・・

 

そのように、夢のあることを考えています。

 

 

この産地の思い出の一つにマムシがあります。それは、ある秋の日に水晶露頭のテラスに

とぐろを巻いたマムシがいたのです。それも、赤マムシで昼寝でもしていたようでした。

赤マムシを見たのは3度目だったのですが、この時は赤紫色のきれいな色彩で山の神に

見えました。上に回り込んで木の枝を使って移動していただきましたが、気温の低い時期

だったので、動きが悪くてなかなか遠のいてくれなかったのを覚えています。

 

 

(5) 滝上

 

90x70x65

 

120x70x65

 

拡大画像

 

小さな沢を遡ると焼けた露頭があり小さな晶洞があったので叩いてみると、泥まみれになったチカチカ光るものが出てきました。小さな柘榴石だろうと持ち帰って洗ってみたら、小さいながら緑水晶でした。甲武信鉱山と同様の角閃石入りです。

 

 

(6) 橋掛沢

 

洗浄前  100x60x35

 

洗浄後  90x70x35

 

洗浄後  70x50x30

 

橋掛沢のベスブ露頭の下には、よく水晶が落ちていたそうです。

ある時期に、ここで小さいながらかなり状態の良い燐灰石が産出し、その時小さな晶洞が開いて水晶が出ました。長さ2センチメートルほどでしたが、蓚酸で洗浄したら見栄えのするもの

でした。Vに開いた感じですが、残念ながら微妙に日本式双晶ではありませんでした。

 

 

秩父鉱山は山深いため、コレクターが足の踏み入れていない場所も、まだまだ沢山残されていると思います。石友のK氏は、頭付きではありませんでしたが小指大のアメシスト拾っています。赤岩方面の沢でも、ガマから水晶が採れたという話を聞いています。

 

 

 

「鉱物採集は、水晶に始まり水晶で終わる・・・」

などと昔から言われているのですが、水晶にはそれだけの魅力があると実感しています。

 

 

2015年の春にヤフーブログを始めて、最初に鉱物標本を投稿したのが、

ここ秩父鉱山の水晶のひとつでした。

 

 

秩父鉱山の水晶については以前に別場所でアップしたことがあるのですが、

こちらにもアップさせていただいて、鉱物採集回顧録として始めた風のブログの

締めくくりにしたいと思います。

 

 

短い間ではございましたが、拙い記事にご訪問いただいた皆様には

心から御礼申し上げます。

 

ありがとうございました。m(_ _)m