柳田は現代人を、山の神々との深刻な交渉がなければ成り立たなかった山人の生活に引き入れようとした。


神を信じるということは、実際的な論理的な頭の活動からは生まれない。


どんな太古の人も文化というものを念頭になくして生活はできなかった。


人間という種がこの世に生まれた時に一番大事なことは文化だった。この人生の意味と価値を知りたかった。


山人の狩りという実際的な論理的な精神の活動だけでは、どうしてもこの人生の価値や意味を生み出すことはできない。


そういう活動には限界がある。行くとこまで行けば、その先はダメなんです。


その先は神を信じないと、そういう意味は埋まらない。これは現代も同じだ、と柳田さんは言いたいのです。


小林秀雄講演、信じることと知ること