和の会能楽師インタビューPart2. Vol.3 宝生流シテ方 澤田宏司さん
好評につき第2弾! 能にかける思いから、舞台裏やプライベ ートの話まで。
宝生流期待の若手能楽師5人の生の声を 週替わりでお届けします。
Vol.3 宝生流シテ方 澤田宏司さん
Q1.能楽師になったきっかけを教えて下さい。
僕は能楽師の家系に生まれた訳では無いのですけど、母親が渡辺三郎先生について、ずっと宝生流を習っていました。
それで母親について先生のお宅に伺って稽古を見ているうちに、興味がわいたのでしょうね、小学2年の時に仕舞の稽古を始めました。
渡辺先生の素人会で子方も2番勤めたのですが、小学6年で一旦やめてしまいました。学校のクラブ活動なんかが始まって、そちらに興味が移ってしまったのですね。
高校生までは全く能楽に触れる事も無かったのですが、大学で京都に行って、サークルを探している時に「能楽部宝生会」を選んでしまったのです。
今から思えば、「体育会系は厳しそうだし、能楽部なら一応経験者だから、ちょっと楽にできるかも‥」という程度の理由だったと思います。
それが、その京大宝生会が非常に熱心なサークルで、365日24時間使い放題の舞台もあって、2回生になる頃にはすっかりのめり込んでしまったのです。
大学の講義には行かず、Boxと呼ばれる部室に毎日行って、謡ったり舞ったりしていました。
大学院にも行ったのですが、途中でどうしても能楽の道に進みたいと思い、師匠の故辰巳孝先生に相談して、東京芸大を受験した訳です。
芸大卒業が30歳、内弟子を出たのが39歳でした。
おそらくこれまで最も遅い経歴なのではないでしょうか。
Q2.休日はどのように過ごしていますか?
1日休み、という日は殆ど無いのですが、ちょっと時間があると、古本屋を見るのが好きです。
地方でも、渋い古本屋を見つけると、つい入ってしまいます。
色々見て、結局100円の文庫本を買ったりするのですが‥。ジャンルは雑多で、今はバイコフというロシア人が書いた虎の話と、何故か「妖怪アパート」シリーズを平行して読んでいます。
それで、移動が多いので、新幹線などで謡を覚える合間にそれらの本を読むのが、一番の楽しみですかね‥。
こう言うと地味な感じですね。
本当は山歩きやダイビングも好きで、いつかまとまった休みがとれたら、また行ってみたいです。
Q3.今後の抱負を聞かせて下さい。
先程も言いましたが、始めたのが10年遅いので、人よりも不利な事もあります。
しかし逆に、他の人に無い経験も10年分あると思うので、それらの人生経験がいつか舞台に生かせたら、と思います。
それから、やはり大学生の能楽サークルは僕の故郷なので、今後も大学の宝生会活動が盛んになるように、力を尽くしていきたいです。
プロフィール
1969年三重県生まれ。
京都大学農学部卒業後、東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。
宝生宗家の内弟子として修行後、2008年独立。
2011年「石橋」、2012年「道成寺」披キ。
iPhoneからの投稿
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Vol.3 宝生流シテ方 澤田宏司さん
Q1.能楽師になったきっかけを教えて下さい。
僕は能楽師の家系に生まれた訳では無いのですけど、母親が渡辺三郎先生について、ずっと宝生流を習っていました。
それで母親について先生のお宅に伺って稽古を見ているうちに、興味がわいたのでしょうね、小学2年の時に仕舞の稽古を始めました。
渡辺先生の素人会で子方も2番勤めたのですが、小学6年で一旦やめてしまいました。学校のクラブ活動なんかが始まって、そちらに興味が移ってしまったのですね。
高校生までは全く能楽に触れる事も無かったのですが、大学で京都に行って、サークルを探している時に「能楽部宝生会」を選んでしまったのです。
今から思えば、「体育会系は厳しそうだし、能楽部なら一応経験者だから、ちょっと楽にできるかも‥」という程度の理由だったと思います。
それが、その京大宝生会が非常に熱心なサークルで、365日24時間使い放題の舞台もあって、2回生になる頃にはすっかりのめり込んでしまったのです。
大学の講義には行かず、Boxと呼ばれる部室に毎日行って、謡ったり舞ったりしていました。
大学院にも行ったのですが、途中でどうしても能楽の道に進みたいと思い、師匠の故辰巳孝先生に相談して、東京芸大を受験した訳です。
芸大卒業が30歳、内弟子を出たのが39歳でした。
おそらくこれまで最も遅い経歴なのではないでしょうか。
Q2.休日はどのように過ごしていますか?
1日休み、という日は殆ど無いのですが、ちょっと時間があると、古本屋を見るのが好きです。
地方でも、渋い古本屋を見つけると、つい入ってしまいます。
色々見て、結局100円の文庫本を買ったりするのですが‥。ジャンルは雑多で、今はバイコフというロシア人が書いた虎の話と、何故か「妖怪アパート」シリーズを平行して読んでいます。
それで、移動が多いので、新幹線などで謡を覚える合間にそれらの本を読むのが、一番の楽しみですかね‥。
こう言うと地味な感じですね。
本当は山歩きやダイビングも好きで、いつかまとまった休みがとれたら、また行ってみたいです。
Q3.今後の抱負を聞かせて下さい。
先程も言いましたが、始めたのが10年遅いので、人よりも不利な事もあります。
しかし逆に、他の人に無い経験も10年分あると思うので、それらの人生経験がいつか舞台に生かせたら、と思います。
それから、やはり大学生の能楽サークルは僕の故郷なので、今後も大学の宝生会活動が盛んになるように、力を尽くしていきたいです。
プロフィール
1969年三重県生まれ。
京都大学農学部卒業後、東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。
宝生宗家の内弟子として修行後、2008年独立。
2011年「石橋」、2012年「道成寺」披キ。
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