和の会能楽師インタビューPart2. Vol1.宝生流シテ方 和久荘太郎さん | 和の会 BLOG

和の会能楽師インタビューPart2. Vol1.宝生流シテ方 和久荘太郎さん

好評につき第2弾!
能にかける思いから、舞台裏やプライベートの話まで。

宝生流期待の若手能楽師5人の生の声を週替わりでお届けします。

Vol1.宝生流シテ方 和久荘太郎さん


Q1.能楽師になったきっかけを教えて下さい。
私の父は能楽師ではなく、会社勤めをしているサラリーマンでした。
小学生の頃から日本舞踊や茶道を習っており、他にも剣道や居合道といった武道も習っていて、実は当初舞踊家を目指していたんですよ。しかし、他の習い事や武芸をたしなむ中で、日本の伝統の奥深さに気付くと共に、これら全ては能の精神に凝縮されていることが分かったんです。能の舞台って禅の精神や他の芸事にも通ずる要素が色々あって、そこで興味や関心が強くなりましたね。
高校は名古屋にある名東高校に進学したのですが、ここで私にとって大きな出会いがありました。高校では珍しい能の部活があり、そこで能を構成するあらゆる謡や仕舞、囃子などを習うことが出来たのです。また名古屋市はオーストラリアのシドニーと姉妹都市にあるのですが、部活のお陰で日豪交流メンバーにも選ばれました。それをきっかけに、今は亡くなられてしまいましたが、師匠である辰巳孝先生に稽古をつけて頂くことが出来たんです。玄人の先生から本格的に習うことで能楽師になりたい!と強く思いました。そこから芸大受験の準備をし、大学入学を期に内弟子生活も始まりました。
水道橋と大学を行き来する生活は、とにかく辛かった。大学で勉強してから先輩方に教えて頂き、そのあと更に個人での勉強や稽古があったので、あの頃は毎日寝不足だった気がします(笑)でも大変だったけど下手に遊ばなかった分、多くのことを学び得ることが出来たと今は思いますね。


Q2.休日はどのように過ごしていますか?
休みが殆ど無かったんですよ。息つく暇もなくて、遊ぶことは出来ませんでしたね。ただ、3月いっぱいで務めていた芸大の助手の任期が終わったので、今までよりは少し余裕が持てるかも。手始めに自宅の庭の手入れからしていこうと思います!


Q3.今後の抱負を聞かせて下さい。
とにかく自分の芸を追究していきます。能をあまり観たことのないお客様に興味を持ってもらえるような舞台を作ること、そして「古典」の本質を見てくれるファンを増やせるようにしたいですね。
今年数え年で40歳になるのですが、多くの方のご支援の元、有り難いことに自分の演能会を開くことが出来ました。「不惑の四十」ということで、これからも日々精進していきたいと思います。


プロフィール
1974年横浜市生まれ、名古屋市出身。
東京藝術大学音楽学部邦楽科能楽宝生流専攻卒。大学在学中、宝生英雄18世宗家の内弟子となる。 初シテは2004年の『小鍛冶』。2005年、宝生英照19世宗家の許しを得て独立。
現在、東京・名古屋・大阪の定期能、各地の薪能などに出演するほか、能楽普及のための公演をしている。