和の会能楽師インタビュー Vol4.東川尚史さん
能にかける思いから、舞台裏やプライベートの話まで。
宝生流期待の若手能楽師5人の生の声を週替わりでお届けします。
Vol4.宝生流シテ方 東川 尚史さん
Q1.能楽師になったきっかけを教えてください。
A1.父が能楽師だった影響は少なからずあります。
ただ、東京芸大3年生の時にバンド活動に誘われてからはすっかりバンドにはまっていました。CUFFS(カフス)という名前のバンドを結成して、ラジオなんかにも出演してインディーズデビュー寸前まで活動していたんですよ。本気でバンドの道へ進もうと思い、両親に話したところ、やはり怒られて反対されました。でも父は途中から「やりたいことを、やりなさい」と言っていましたね。
一年半ほどバンド活動をしましたが、結局能楽の道へ戻ることにしました。暫く能楽から離れて、改めて能楽の良さがわかったんです。能楽という伝統芸能の奥深さや、真の美しさ、難しさ等を実感して、本気で能楽師になろうと決心しました。
大学4年生の卒業前から、先代の宗家である宝生英照先生のもとへ内弟子として入門しました。21歳の時です。同期に亀井雄二くん、藪克徳くんがいて心強かったです。7年間内弟子として、頑張りました。
内弟子生活で得たものはとても多く、普通のみなさんのように会社勤めがない代わりに、他の内弟子たちと寝食をともにし、諸先輩方について能楽師としての心構えや、所作、芸の道の厳しさ等教えて頂きました。今から3年前の29歳の時に内弟子生活を卒業、独立し現在に至ります。
Q2.休みはどう過ごしていますか?
A2.休みの日は、ギターの演奏や読書をしています。
好きな作家さんは、東野圭吾さんや横山秀夫さんです。
おすすめの本があれば、ぜひ教えてください!
Q3.今後の抱負を聞かせてください。
A3.結婚したばかり…ということもありますが、子供を育ててあたたかい家庭を築いていきたいです。子供には「好きなことをやりなさい」と、言いたいと思います。
プロフィール
1980年生まれ。父は宝生流シテ方能楽師 東川光夫氏。東京芸術大学在学中より、シテ方宝生流第19代宗家宝生英照氏の内弟子となる。初シテは2007年の「草薙」。2009年に独立し、現在は東京を中心に各地の能楽公演や、ワークショップなどの普及活動にも積極的に取り組んでいる。