~ 空はどこまでも空で ~

 

       心地よい風が何処からともなく

       やって来て私の頬を撫でて

       緑あふれる丘の向こうへと

       通り過ぎてゆきます

       小川のせせらぎが近く遠く聴こえて

       こころも体もひも解かれてゆきます

       山や川が人のこころを捉えるのは

       山や川が黙って見てきた

       歴史のページをそこに見出すから  

       なのでしょうか

       風景は見たり眺めたりするものでなく

       体験によって内在化するものでしょうか

       あなたもきっと気付いているはずです

       自然の中にぽつんと佇んでいる時

       いつの間にか深く柔らかな息に

       なっていることを・・・

       空はどこまでも空で

       山も川もそれを眺めています

 

 

 

                 ** 著作 けしごむ **

 

 

*この詩は 連載中の隔月刊誌に発表した作品です。 写真は 掲載のものです。