実家を出る時に自分の荷物は処分してきたのですが、

1つだけ置いてきたものがありました。

 

小中高の卒業アルバム。

学校に良い思い出なんてなかったから、ほんとは捨てたかったんです。

かつてゴミ袋に入れようとしたんだけど、あの時は「人としてどうなんだろう」と捨てることに躊躇してしまってそのままです。

希望者だけ購入するシステムにすればいいのにね。

母と絶縁したから実家に帰ることもないのだけど、今なら即処分する。

 

 

高校3年の時、卒業アルバムに載せる写真を撮ったんですが、

カメラマンの意向なのか「生徒を笑わせて撮る」ってスタイルだったんです。

だからアルバムの写真はみんな笑顔。

私は写真大嫌いなんですが、笑いましたよ。

 

完成したアルバムを持ち帰ったんですが、

私の写真を見た母が言いました。

 

「何これ、あんた笑ってるやん。気持ち悪っ。きっしょwww」

 

それ以来、人前で笑うことが怖くなりました。

思わず笑顔を出してしまうと「調子乗ってるやつって思われないかな」って、

ふっと気を許した自分を責めてしまうんですね。

子どもが生まれてからも、子どもに笑顔を向けるのが怖かったです。

 

若い頃、プロの写真家をしていた彼氏がいました。

外国からやってきた芸術家で学者でもあった。

私が現地へ渡る勇気がなくて、そのままお別れしたのだけど、

今なら間違いなくついて行きますね(笑)

 

いつもカメラを携えていて、隙あらば私を撮ろうとしたけど、

なんとしても私は撮らせようとしませんでした。

私は気持ち悪いからね。

 

ある日名前を呼ばれて振り返ったら、その瞬間写真を撮られたんです。

「私は笑えないし、美人でもないよ」って言うのが精いっぱいでした。

 

彼は言いました。

「笑う必要なんてないんだよ。

被写体を美しく撮るのが写真家。

あ、ひなたはそうでなくてもbeautifulだからねウインク

 

私は醜いんだ、美人なんかじゃない。

 

そう反論しかけて思いとどまりました。

この人はプロだ、芸術家だ。

彼の言動を否定することは、彼の感性を否定することになる。

さすがにそれは失礼だなと思って、何も言えませんでした。

 

この年齢になった今でも、「今の気持ち悪くなかったかな」とハッと我に返ることもあります。

母の言動はほんと「魂の殺人」レベルでした。

 

あの発言は明らかに私を蔑むものでしたけど、

何の気なしに子どもの容姿やしぐさを笑う親御さんって結構いると思うんです。

 

たとえ親が他意なくとも、子どもにとっては抜けない楔になることがあるのです。

何年経っても、大人になっても。