「そうね。最後は柔軟宮ね」と彼女は言った。
◆柔軟宮
「柔軟宮のグループも、ある意味切り替わりのタイミングの人たちだけれど、
次にバトンを渡すために、調整するのがその主な役割かな。
活動宮が始めたことを、固定のグループが形にしたり固めたりして、
それがその後も発展したり、続くように調整をしていくのがこの星座さんたちね。
簡単にまとめると、始めるのが活動宮、固めるのが固定宮、それを調整するのが柔軟宮ね」
☆
僕は彼女の話を聞きながら、12星座分の特徴をまとめていった。
「ふたご、おとめ、いて、うお座さんがこの柔軟宮に当たるんだけど、
この人たちはその名のとおり、柔軟性を備えたグループでね、
固定宮の人たちが「頑固者」と称される一方で、
柔軟宮の人たちは逆に「自分がない」とか言われたりすることもあるんだけど、
それは、さっきも言ったとおり、役割の違いよね。
彼らはあえて自分をなくすことで、なにかを調整したり、人に合わせることができてしまうの。
固定宮みたいに自分がありすぎたら調整するなんてできないでしょう?
柔軟宮の人たちはそうやって人に合わせることに喜びを感じる人が多いし、
実際その能力に長けている人が多いのよね。
ダブル・ボディーズ・サインとも言われて、
2つのことを同時並行で行うことができてしまう星座さんたちでもあるんだけど、
一方で自分キッカケで、何かをはじめるのが得意じゃないから、
柔軟グループの人たちがうまくいくには「相手」が必要なのね。
どう? ここまでわかった?」
☆
僕は肯いて、改めて自分のノートを見た。
「タケルくんのノートを貸してみて」と彼女は言った。
僕がノートを差し出すと、彼女はペーパーナプキンで手をぬぐってから、そこに言葉を書き足した。
「火、地、風、水」と僕は言った。音を確かめるようにゆっくりと。
「これがもう一つのジャンル分け。4元素」
「4元素」と僕は繰り返した。
「わたしはエレメントと言ってしまうことが多いんだけどね」と彼女は言った。
「エレメント」僕はまた繰り返した。
彼女は肯いた。「わたしはイギリスで占星術を学んでいたから、英語の方が馴染みがあるのよね」
「イギリスで?」と僕はポテトを持ったまま手を止めた。
「そう。だから2要素はpolarity(ポラリティー)だし、
3区分はquality(クオリティー)だし、4元素はelement(エレメント)なんだけど、
響き的にエレメントだけは、なんだか横文字が言いやすくてね」
「なるほどね」僕は持っていたポテトを口に運びながら言った。
「で、この4元素が次のテーマになるんだね?」
彼女は微笑んでからストローを口に入れたまま肯いた。
◆4元素は「価値観」
「3区分」は「行動様式」を表すんだけど、「4元素」の方は「価値観」を表すの。
「大切にしていること」とも言えるかもしれないわね。
さっきそこにも書いたんだけど、『大切にしているもの』がそれぞれで異なるのよ。
◆火星座
まずは火星座さんね。
彼らは精神性を大切にした直感タイプの人。
彼らに対して行動やアイデアの理由を聞いても、あんまり意味がないのよ。
なぜならその理由はたいてい「なんとなく」とか「直感的に」というものだから。
「おひつじ、しし、いて」の人がそれに当たるんだけど、
良くも悪くも「子供らしさ」をもった「ピュアな人」が多い気がするわ。
情熱もあって、明るくて、前向きで、楽天家さんね。
もちろん人生にはいろいろな側面があるから、
楽天的でばかりはいられないかもしれないけれど、基本的な性質としてね。
ちなみに、「おひつじ座」さんはパイオニア的なエネルギーを持つ人が多くって、
「しし座」さんは自分がいいと思うものを自分らしく表現する才能の持ち主で、
「いて座」さんは、それらのエネルギーを引っさげて冒険に出ていく感じかしらね。
◆地星座
次は地星座さんね。
「おうし、おとめ、やぎ」の人がこれに当たるんだけど、
この人たちは「五感」で味わうのが大好きで、「実感」を重んじるタイプね。
次に紹介する風星座さんが重視する「知識」みたいに「実感のないもの」よりも、
地星座のグループは「形あるもの」や「感覚を使って感じられるもの」を大切にするの。
地星座さん、つまり「おうし、おとめ、やぎ座」さんは、
管理能力や実務能力に優れている人が多くて、
じっくり積み上げていくことに喜びを感じるのが特徴ね。
「おうし座」さんは五感で味わうのが得意で、
「おとめ座」さんは実務のプロで、
「やぎ座」さんはそれらを社会的に認められる形にしていくことに長けているわね。
ここまでは大丈夫かしら?」
僕は軽く伸びをして姿勢を整えてからまた話に集中した。
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