――その山羊座も、全員夜型。
サブタイトルは【早寝早起き。規則正しい生活リズムを意識したらメンタルを病んだ話】。
昔から、朝早く起きられないことが悩みだった。
「大人になると長く眠れなくなるから、自然と朝早く目が覚めるようになる」というありがたい話を100人ほどから聞かされたが、だとしたら私は一体いつ大人になるのだろうか。
私は蠍座の女なのだが、ホロスコープの蓋を開けてみると山羊座がとても多い。なんと4匹もいる。もう立派な山羊牧場だ。
山羊座は社会的で、現実を生きる力が強く、計画性に長け、コツコツ努力を積み重ね、成果を出す、という硬さが最高にクールな地のサインだ。
それが4つもあるのだから、本当は自分もそういうことが得意なのではないだろうか。実はやればできる子なのではないだろうか。むしろ早寝早起きをして、規則正しい生活のルーティンを身につけることこそが、我が土星山羊座先生から与えられた課題なのではないだろうか。しからばやるしかないのでは……?そう思い立ち、挑戦することにした。
結論から先にいうと、半年後にメンタルを病んだ。
原因は、早起きをすることで丸一日ボーッとして終わる生活になってしまったから。
朝、無理やり起きて、具合が悪くてボーッとする。
昼、なんとかご飯を食べるが眠くてしょうがない。
夜、やっと身体が慣れて眠気が飛ぶ。けれどやる気が起きた頃にはもう0:00。寝なければいけないため、寝る。
そして翌朝、また眠気と戦う一日が始まる。
もう、朝なんて来なければいいのに。
夜になんてならなければいいのに。
ただ、朝に起きて夜に眠る。それだけのことが何故こんなにも息苦しいのか、生きづらいのか。
そんなことばかり考え、成果を上げることも達成感を味わうこともなく過ぎていく日々。そしてその数だけ、後悔と自責の念がコツコツと積み重なっていく。これではもう、山羊座に対する冒涜である。この時期、私が毎日口にしていた台詞がある。
「まじで生きてる価値、ねえな」
そんな生活から抜け出すきっかけになったのは、やはり占星術だった。
忘れもしない、11月の誕生日。
改めて自分のホロスコープの山羊牧場を眺めていた時、ふと数年前に出版されたマドモアゼル愛先生の「月の教科書/月の欠損」を思い出し、手に取った。その次の瞬間、私は星の世界にいた。
机の上には本、本、本の山。ノートやパソコンにメモをしたり文章に纏めたり……夢中になって勉強して、自分がご飯を食べたのか寝たのかも分からない生活が気付けば一ヶ月続いていた。
途中、肉体に限界が来たのか、知恵熱を出して倒れたのだけど、その時もうわ言で「星、おもしれぇ……」と呟くくらいにはこの生活に充実感と満足感を抱いていた。
それ以来、無理な早寝早起きは止め、規則正しい生活を意識することもやめた。やはり私は、何事も夜が捗るということが分かったからだ。
きっとあの時の山羊たちは私に「自分を社会の型にはめてコツコツ努力しろ」と言っていたのではなく「コツコツ続けられる方法を身につけるためには、自分の星のリズムを知って生きることが大切だ」と教えようとしてくれていたのかもしれない。だとするとあの苦しみは、私にそのことを気付かせるための愛の鞭だったのだろう。ありがとう、土星山羊座先生たち。
もう一度自分のホロスコープを眺める。天体が12、1、2、3ハウスに集中している。ICが真夜中。Ascが日の出。つまり私のホロスコープは真夜中から明け方にかけて星の輝きが増す配置になっている。昼間に輝く天体など最初からなかったのだ。
それからしばらくして、クロノタイプ診断という、個人の身体的な周期を知るための診断ツールの存在を知った。やってみた。
オオカミ型。思いっきり夜型だった。