――言語化の海を泳ぐ
【海王星と言語化の話】
長男の新しい担任の先生は、どうやらイケメンらしい。
若い、顔が良い、面白い、の三拍子が揃った先生は生徒達から人気があって、
長男曰く、「女子達がキャーキャー言いながらひっついてる」そうだ。
その光景を想像すると、チョウチンアンコウが浮かんできた。
深海魚のチョウチンアンコウは、雌の身体に雄がくっつくことで繁殖するらしい。
深海という暗闇の中で確実に種を残すためにそうなったらしく、やがて雄はそのまま雌の身体に吸収され自我を失う。そうして雄と雌は一つの生命体となるのだけど、だからこそモテる雌は複数の雄の屍をひっつけて深海を闊歩しているらしい。
だからきっと長男の担任の先生にもそんなふうに、女子児童がひっついているんだろうなあ~……って。
想像したら笑っちゃって、ついそのまま「へえー。チョウチンアンコウみたいな先生だね」と言ってしまった。
けど、笑っているのは私だけ。長男はぽかんと口を開け、深海に浮かぶ泡のように疑問符を浮かべていた。
その反応を見て、苦笑する。これもまた海王星的な発言だったか……。
ーー昔から、自分の考えを分かりやすく伝えるのが苦手だった。
というよりも、会話中に浮かんだビジョンを伝えるというのは、見たことのない絵画について言葉で説明するようなもの。あるいは、未読の漫画のあらすじから見どころまでを一気に語るような感じだ。
そうなると情報量が多すぎて、伝えるのがとにかく大変。しかも面白くなければ途中で飽きられる。だからといって決め台詞だけ言えば、当然、相手は置いてきぼりを食らうことになる。
さっきの「チョウチンアンコウ」もまさにそうだ。物語の背景を知っていれば爆笑モノの決め台詞だったろうに……本当に惜しいことをした。
私はいつもこんなふうに、実際の会話とは関係ないどこかヘンなところからイメージが下りてきて、口にしてしまうことがよくある。一生懸命話しても「よくわからない」と言われることが多い。
占星術を学び始めてから、これは3ハウスに海王星があるからだということが分かった。
海王星が入ったハウスは、そこに関することで、ぼんやりとした果てしないビジョンが浮かんでは、霧散する。雲を掴むような何かがある場所になる。
3ハウスは、思考、言葉、伝達、情報、分析の部屋。
そこ海王星があり、月(感情)ともぴったりくっついている。
そうなると、イマジネーションが先行して、言葉が追いつけないほどビジョンが広がっていくような感じだ。そしてその広い海の中で、他人に伝えるために必要な言葉を泳ぐようにして探す。
けれど求めていた言葉は、なかなか見つからないし、もう泡となって消えていることもある。だから私にとっての会話は、なかなか陸に持ち帰る事が難しい深海の宝探しのようだ。
最近になってやっと気付いたことがある。スキルを磨きさえすれば、その宝を陸に持ち帰られるようになるのでは?と。なんのスキルかって、もちろん言語化のスキルだ。それさえ身につければ、きっとこの特性は、アーティスティックな才能を開花させるに違いない……ーー
……そんな夢みたいな理想を描いていた矢先、「これはシクロか?!」と思うインタビュー記事を見つけた。
【米津玄師インタビュー!新曲【Pale Blue】への思い、恋愛観、そしてポップソングへのこだわりについて語った】
雑誌VOUGE JAPANが米津玄師に、新曲についてのインタビューをしたものだった。
私は米津玄師が好きだ。
ニューホライズン風に言うとMy favorite artist is KENSHI YONEZUだ。
ちなみにハウスは分からないけど米津玄師の月も山羊座にあり、出生時間次第では月×天王星×海王星が山羊座のサインでコンジャンクションを形成している可能性がある。
そんなこともあって元々勝手に親近感を抱いているのだけど、このインタビュー記事を読んだとき、前世では我々は人魚の双子だったんじゃないかと思った。
ネット記事なので検索すれば出てくるんだけど、ここではそのまま抜き出すね↓
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米「このドラマは、出会いがあって恋愛、結婚、そして離婚という、本来の順番の逆なんですね。結婚、離婚があって、そこから恋愛がある。なんだかイカみたいだな、と」
ーーイカ……ですか?(笑)
米「イカって胴体があって頭があって、足がある。他の生き物と体の順番が違いますよね。そんな、どこかチグハグな感じというか、噛み合わない感じを音楽に出来たら良いなと考えていたのはありますね」
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いや、『チョウチンアンコウみたい』って言った私が言えることじゃないけどさ。
いきなり『イカみたい』って言われても、そりゃ分からんわな。
はぁ……でも、いいな、米津玄師って。
いいな、インタビューって。
だってさあ、コミュニケーションって、一方通行じゃ成立しないじゃん。
たしかに、最初から上手に言語化して伝えられない自分も良くないとは思ってた。
でも、相手も「ねえ、それってどういう意味?」って聞いてくれても、いいじゃん。ね。
……とはいえ、相手を変えることの方が難しいのでね。
聞いてもらえる言葉を見つけるために、今日も私は深海を泳ぎに行きます。