犬は、古くから、人間と共生し、実に従順で、賢く、人間の心を癒す力を持っているように思えます。

 そんな犬とは、私も、幼い頃から、雑種は勿論、コリー犬、秋田犬、セントバーナード犬など多くの犬たちと親しんできました。

 現在は、M・ダックスやゴールデンレトリバーと暮らしています。


 色々な動物が好きで、「ミニ牧場」にしてしまった私ですが、こうした犬との交流は、心癒されると共に、生き物への愛情を育み、命の重みを幼い頃から育てられたように思います。

 それは、出会いと、別れの繰り返しではありましたが、その都度、命の重みを感じさせられたことは、確かです。


 ですから、5月に、ゴールデンレトリバーの「ラリー」を失った際も、「何で、肺がんなの?」「なぜ、僅か7歳で・・」「なぜ、がんを、もっと早く気づいてあげられなかったのか?」など、後悔の想いが残り、未だに、他の犬たちを庭で遊ばせている時などでも、そんな想いが湧き出てきます。


 「ラリー」の死後、暫くした7月後半のある日、今度は、M・ダックスの「ジャンボ」が、急激に体調を崩し、あまり動かなくなってしまいました。    


 体調の話の前に、その生い立ちを紹介します。

 M・ダックスは、現在、母親の「アイリー」と年下の「チビタ」と合わせて、3頭います。 「ジャンボ」は、我が家で、母親のアイリーが初めての出産をし、生まれてきた子です。

 10年ほど前、出産日と、私の休みが合ったこともあり、出産に立ち会いました。最初に生まれたのが、ジャンボでした。アイリーにとっても初めての出産でしたが、ジャンボを産み落とした直後、「何が起こったのかと、驚き、飛び上がった。」ことを覚えています。


 生まれると、私が、臍のうを糸で縛り、切り離してから、アイリーから少し離した場所に置き、次の出産を待ちました。

 何頭生まれるかは、わかりませんでしたが、続けて、20~30分くらいで生まれてくると言う位しか知識のない私でしたが、ほぼ、その通りに、その後、2匹が生まれてきました。

 同じ作業をしていると、3頭で、陣痛は治まった様に思えたので、母親のアイリーのそばに3頭を置き、乳を飲ませました。

 しかし、2番目の子は、乳が吸えず、暫くして、力尽きて、亡くなりました。人間であれば病院で何とかできたかもしれませんが・・・。


 2頭は、頼りないかと思っていたアイリーが、実に献身的に乳を与え、排泄の世話をしたりして、しっかりと2頭を育てていました。

 そのお陰で、数ヶ月後のアイリーは、体の毛が抜け落ち、みすぼらしい姿に変わっていました。

 当時、こんな小さな犬が、誰にも子育て方を教わらずに、必死で、子どもを育てる姿に、ものすごく感動していました。


 こうして、すくすく育った兄弟ですが、約3ヶ月後、下の妹は、裕福な家にもらわれて行きました。 


 翌年、更に、3兄弟が生まましたが、2頭が貰われて行き、「チビタ」が、桐生家に残りました。勿論、出産は、私が手伝いました。


 家族が増えた中で、ジャンボは、自分がボスのように振る舞っていましたが、母親のアイリーには、良く甘えていました。

 私たちには、常に、注目をして欲しいらしく、教えたわけではないのですが、私たちの前で、仰向けになり、前足を合わせて振るようになり、いつの間にか、私たちも、「上手、上手!」と声を掛ける様になり、それが、唯一の芸となりました。


 そんなジャンボも、10歳になりました。


 ラリーの死後から間もない為、直ぐに、日頃、お世話になっている動物病院に連れていきましたが、「手術が必要だが、うちでは無理。」と言うことで、市内の麻布大学付属動物病院で、診て貰うことにしました。

 診察を受けると、腸捻転と脱腸により「これは、かなり悪い状態なので、直ぐに手術が必要。」となりました。

 いきなりの手術で、私も、少し、動揺しましたが、「一刻も早く」と言われ、病院としても予定外の夕刻からの手術でしたが、お願いしました。

 実際始まったのは、前の手術が伸びて、始まったのは、夜8時過ぎでした。インターンの学生もいたのですが、総勢20人ほどのスタッフが、手術に関わり、約2時間もの大手術でした。私たちも、見学室から見守っていましたが、さすがに、疲れました。

 ジャンボは、完璧な麻酔により、静かに眠ったままでしたが・・・。


 手術後、麻酔から醒めたジャンボは、「何で、僕はここにいるの?」と訴えるようなまなざしでいましたが、無事に終わったことを確認し、私たちも、ホッとして、帰宅。 一週間後の退院までは、合わずに待ちました。


 言葉の通じない動物に、説明したり、様子を聞くことは出来ませんが、徐々に快方に向かっているようです。

 未だ、傷跡は、痛々しいのですが、綺麗に回復しているようなのが、救いです。


 後でわかったのですが、担当して下さった渡辺先生は、副院長だそうですが、動物の外科手術では、有名な方で、全国から、渡辺先生に執刀して欲しいとの依頼があるそうで、中々、受診さえ出来ないとのことでした。


 今回は、色々な好条件が重なり、ジャンボの担当になって頂き、かなりの大手術でしたが、無事、成功し、術後の傷跡も確かに綺麗に直っている事を考えると、良いドクターに巡り会えたと言うことだと思います。そして、こうした病に遭遇した時は、動物だけでなく、人間も同じく名医に診て貰えるかが、運命を大きく変えるのではないかと、考えさせられました。


 子どもを教育する幼稚園も、「星が丘幼稚園に通わせれば間違いなく、よい子に育つ」との信頼を得ることが、何より必要なことであり、その実績を今後も、更に創り上げていきたいと思うのです。少し、話がそれてしまいましたが・・・。