6月26日~29日迄、中国上海に研修及び視察に行ってきました。

 

 今回は、「アジア幼年教育者交流会」が行われ、現地には、日・中・韓三か国のピアジェ教育を推進する幼稚園関係者代表が、各国のピアジェ教育の現状を報告し合いました。


 参加しての第一印象は、中国・韓国共に、教育への意識の高さです。

 特に、中国は、一人っ子政策や、高度成長による高学歴社会の現状に、幼児教育、特に、幼稚園教育の重要性を認め、我が子も、それに乗り遅れまいとする家庭の想いを強く感じました。

 

 視察をした上海「東展幼児園」(幼稚園)は、中国では、中の上くらいの規模と経費のかかる私立の幼稚園でした。

 在園児数は、12クラス、300人。他に、0歳から2歳までの園児を150人ほど、別施設で預かっているとのこと。費用は、平均ですが、月21000円の保育料に、給食費が月7500円、他に、送迎バス代、延長保育料等がかかります。一般的な会社員の給与が、月25000円~30000円という現状からすると、かなり高額所得者の家庭が通わせているのでしょうが、それでも、かなりの負担を覚悟で、幼稚園に通わせていることになります。


 中国は、国家統制の厳しい国の為、国の決めたカリキュラム以外は、正規の保育時間には出来ないとのこと。そんな中で、ピアジェ教育は、保育後の延長保育中に、希望選択制により、「めざましあそび」や、「ファーストシリーズ かずあそび」等の指導を園児は、受ける事になっています。

 従って、体育や音楽、書画などを学ぶ園児もいます。


 しかし、近年、ピアジェ理論による「めざましあそび」への関心が高まり、中国全土で、続々と取り入れる幼稚園が増えているのです。


 「めざましあそび」は、体験や、手先を使うことを重視すると共に、園児の自ら考える力を伸ばす教材です。

 単なる答えを求めるドリル式にて、知識を詰め込ませても、身にならない事をピアジェは、指摘し、この「めざましあそび」では、答えは、考え方で、いくつもあるような作りをしています。又、遊びの中に、「まよわせカード」なるものが入っていて、わざと直ぐに答えがでないようになっています。

 当然、園児は、間違えることが増えますが、間違えたり、悩んだりする事により、園児の思考力を育む絶好機なのです。

 更に、互いに教え合う事で、学ぶ楽しさを知り、友だちとのコミュニケーションを深めていくことも、この「めざましあそび」教材の特徴と言えます。


 正しい事だけを学ばせ、余計な疑問は持たせずに知識を身に付けさせる合理的な学習を推奨している英才教育がもてはやされていますが、そこが、ピアジェ教育との大きな違いでしょう。


 園児の「思考力」を育てることは、「生きる力」を育む事です。これらは、本園教育活動の大きな柱でもあります。


 中国のこれまでの教育は、国家の高度成長に合わせるように、高学歴社会を創り上げてきました。しかし、知識偏重に偏った幼児教育の弊害に気づき始めて来たように思います。他人との交流も滞り、信頼や協力も得られない孤独な人間教育を、見直していこうとする証かもしれません。

  

 中国は、ピアジェ教育の導入は、まだ3年ほどです。

 しかし、既に、200園ほどが、ピアジェ教材を利用しているそうです。

 しかも更に、広がりを見せています。ちなみに、日本は、現在約150園。

 良いものは、良いとの評価がされると、その勢いには、圧倒されてしまう中国の教育界!


 このままだと、幼稚園教育の日本絶対優位は、簡単に覆されそうです。

 そうさせない為の、真の幼稚園教育を、我が園でも創り上げていきたいと心に決め、私も精進したいと思います。