新司法試験に合格してから俄然忙しくなった。

たくさんの人に祝ってもらった。

弁護士の先生や先輩と飲みに行く機会も増えた。

学校や同期や後輩から声がかかることも多くなった。

ちょっとした講義や答案添削依頼も増えた。

修習に向けた勉強会も始まった。

ただ、

忙しくなればなるほど気がかりなことがあった。

それは、

じいちゃんへの報告。

家族やばあちゃん達とは会う機会があったが、じいちゃん達の墓参りは時間がなくてしていなかった。

今年私が新司法試験に合格できたのは、私の力ではない。

じいちゃんを含むご先祖様の力によるところが大きい。

だから、早めに直接報告しないといけないと考えていた。

それが、昨日、かなった。

日帰りになってしまったけれど、ここしかないと思い飛び立った。

じいちゃん達の墓を全部まわることができた。

合格の報告と感謝と決意を述べてきた。

ばあちゃんにも会ってきた。

ばあちゃんの家には、じいちゃんの写真がある。

合格発表前の8月に写真を見たときは、じいちゃんは迷っているように見えた。

私に笑っているのか、私を戒めているのか、わからなかった。

私を前に進ませるのか、それとも、もう少し止まらせるのか、迷っていたのかもしれない。

結果として、じいちゃんは、私を前に進ませた。
昨日またじいちゃんの写真を見た。

やはり私に笑っているのか、私を戒めているのか、わからなかった。

でもそれでよい。

じいちゃんが笑っているのか、戒めているのかは今後の私しだいなのだろう。

じいちゃんは、なぜ私を前に進ませたのか。

私はその答えを探し続ける。

じいちゃんの判断が間違っていなかったことを証明してみせる。

じっちゃんの名にかけて。






『私は必ずうまくいく』