合格発表から1週間が経ち、いくつかの答案練習会の答案添削依頼が来た。


答案練習会には、私もお世話になったので、自分の勉強をしながらも出来る限り協力しようと思っている。


昨日、今日で論文2時間問題、数十通の答案を添削した。


そして、また一つ、気づいたことがあるので、したためておく。




それは、


『答案の1枚目を読めば、その人の力が分かる』


ということである。


もっと言えば、最初の数行で、その人の実力がわかってしまう。


これは、新司法試験論文に限らず、ローの小論文、その他の論述試験にもあてはまる。


答案の1枚目は、書き始めであり、時間も頭も余裕がある。


一番状態の良い時である。


その状態で、どれだけ書けるか。


1枚目から、字か汚かったり、文章が長く、表現が稚拙で、正しい日本語でなかったりすると、


最初から印象が悪い。


また、1枚目から、内容にまとまりがなく、何を言いたいのかわからなかったり、法的思考が示せていないと、


これまた印象が悪い。


1枚目を読み終わる前に、この人は、できてないだろうなと、悪い推定が働く。


このように、論文、論述式試験は、答案の1枚目で評価が決まる。


おそらく採点委員も、そう思っているはずである。


採点委員は、膨大な量の答案を採点するので、読み方がパターン化していると思われる。


ただ、裏を返せば、


1枚目をうまく書ければ、できる人の推定が働くということである。


1枚目がうまく書ければ、その後にちょっとしたミスがあってもスルーされる可能性もある。


では、どうやれば、1枚目をうまく書けるのか。


まず、見切り発車はしないことである。


なんとなく、1枚目を書き始めないこと。


もちろん時間の制限があるので、どこかで必ず書き始めなければならない。


しかし、許される時間内で、しっかり、答案構成をすべきである。


先が見えないまま書き始めると、1枚目で不合格となるかもしれない。


いつも自分は、時間がなくて結局見切り発車だという人は、そもそも実体的な知識、インプットが不足していると考えるべきだろう。


次に、あまり、だらだらと書かないことである。


丁寧に書こうとすると、時間が過ぎるだけでなく、文章が長く、冗長な内容になってしまう。


そうなると、かえって読み手は、読みにくい。


必要なことを必要なだけ書くこと。


これができない人は、参考答案など他の人が書いた答案と自分の答案とをしっかり見比べて、一文の長さ、表現の仕方、書く内容の順番、量などを学ぶと良いと思う。


その時、できる人の答案、参考答案を1文1文線で区切って、なぜこの人は、この文章の次にこの文章を書いたのだろうか、なぜこの人は、1文の長さをこれくらいにしたのだろうか、などと考えながら比較すると良いと思う。


最後に、とことん採点者・出題者のことを考えることである。


受験生が合格するか不合格となるかは、受験生によるのではない。


採点者・出題者によるのだ。


彼らによって、受験生の合否は決まる。


だから、とことん採点者・出題者のことを考えると良い。




新司法試験の論文は、人によって1科目3~8枚書く。


私は、4枚しか書けない。


私は、8枚も書ける。


色んな人がいる。


だが、実は、たった1枚で合否が決まっているのかもしれない。






『私は必ずうまくいく』