私が15年勤めた会社は、

幕末から続く財閥系で、

 

売上高4兆円、従業員8万人の

結構大きな会社でした。

 

 

 

本社は丸の内。

 

 

 

丸の内って、いいよね。

 

初めて歩いた時、

周囲のあまりの洗練ぶりに

身がすくむ思いがした。

 

 

 

 

とはいえ、メーカーなので

殆どの社員は、全国に散らばる

製造拠点に配属されます。

 

 

 

私が配属されたのは、中でも

一、二を争う "弱小"事業。

 

 

産業機械を扱う事業でした。

 

 

 

 

売上高600億円

従業員数1,000人

拠点は、滋賀のド田舎

 

 

 

地味だし、人気もなかったけど、

「あ、いいかも」って思った。

 

 

 

 

他の花形事業って、数千億円の

プロジェクトを、千人がかりで

やったりするんです。

 

 

一人が関わる領域は、ごく一部。

 

 

一方こちらは、1台あたり

3千万~1億円くらいの機械を、

各部署一名が担当します。

営業・設計・製造とかね

 

 

 

「一人で好きにやりたい」

「全体を知りたい」という私には、

合ってる気がした。

 

 

 

そもそも私は、この会社しか

受からなかった。

 

就職できただけで、万々歳よ。

 

 

桜を見ると思い出す。

落ちまくった面接たちよ。

 

 

 

 

当時、全社の男女比率は9対1。

 

1が、女性です。

 

 

 

イマドキ?と思いつつも

 そこまで気にしなかった。

 

 

まぁ、ゴツい業界だし、

女性には人気ないのかな、

くらいで。

 

 

 

 

しかしこれが、実際に働き始めると

なかなか想定外だったのです。

 

 

 

 

*****

 

 

 

私に対する周囲の反応。

 

 

 

それは、

 

 

 

『女の子』が、

やってきた。

 

 

きゅるんっ

 

 

 

 

 

なんと、私はそこで、女性初の

営業マンだったようです。

イマドキ ? (再)
 

 

 

 

後から聞いたけど、配属をめぐっては

 

『女の子』にできるのか!?

 

という議論があったらしいし、

 

 

 

噂を聞きつけた

  先輩方の奥様までもが、

 

『女の子』にできるの!?

 

と心配してくれたらしい。

 

 

 

数少ない女性社員は、

殆どが年配で、庶務担当。

 

 

ここでも

 

『女の子』なのに、すごいね!

 

と言われたり。

 

 

 

 

 

これは、なかなか面食らった。

 

 

 

 

 

 

 

記念すべき配属初日。

 

慣れないPC作業に目が疲れて、

そっとハンカチで押さえたら、

 

 

 

その辺にいる、

全員が振り向いた。

 

「泣いた!」と思ったらしい。

 

 

 

 

 

また、公平に扱おうとする気持ちが

変な方向に走って、

 

 

「お前は男として育てる」

 

 

と言われたり、

 

逆に

 

 

「女性ならではの意見がほしい」

 

 

と言われたりした。

 

 

 

 

 

な、なんのこっちゃ・・!

 

 

 

 

 

私という存在に、いちいち

『女の子』というフィルタがかかる。

 

 

はじめの半年くらいは、

ほんと奇妙な日々だった。

 

 


 

そんな感じで、私はまるで

珍獣になったような気持ちで、

 

社会人生活をスタートしました。

 

・・やっていけるかな。