上がれもしなければ下がれもしないし


上がったとしても降りてこれない


降りたとしても上がれる場所もないし


どっちにしろどこにもない


いつまでたっても未解決


解決できないまま


過ぎる


だってどこにも


その音に適した音がない


その音に適した演奏法がない


出せない


どこにもない音をどうやって出す?


今手元にある この楽器の


その中のどこにもない音を


さてどうやって出そうか?


出せるはずのないものを探し続けたって


ないものはないんだよね


諦めてできるところだけ


探して演奏する


だってないものはないもの


そういう制限があるものではないのに


なぜ制限の中に居ようとするんだろうか


もったいないね


できること なんてたくさんあるのに


だけどこの楽器の中でずっと探すんだ


その中でできることを


それは曲自体を変える


あるいは楽器を持ち変える


そもそもその音が出せる楽器に変更してしまう


そうしない限り再現なんて難しい


でも人間はほとんどの音を出そうと思えば出せるんだよ


全音域を網羅することはできないけど


でもある程度の音は出そうと思えば出せるんだ


その楽器で演奏することすら難しい音をね


音程を移動させることだってできる


どこの音を出す?


これはあれに近いね


ありよりのありなしよりのありのような


シ寄りのド、ド寄りのシ


でもそれはどのくらいシに近くて


どのくらいドに近いのかなんて知らない


でももちろん楽器でしかできない音の出し方もあるけどね


人間は一つの音しか出せない


何かの楽器を使えば話は別だけど


さすがにたった一人で、自分の声だけで音と音との重なりを表現しようと思っても無理


そういう制限はあるけど


でも音程って変えられるからね


自由自在に


そんな風にさ


自由なのにね


なんでそうあらねばならないなんて思うんだろうか


形式にこだわらなくてもいいんじゃない?


形ばっかあったって


中身が伴ってなくちゃ意味がないんだから


輪郭だけ残して中身空っぽなんてさ


何やってんのって話じゃん


自分たちが何やっているのか本当に理解してそれを行っているのか


私にとっては謎なんだ


何のためにそれをやってるんだろう?


不可思議