小説「カレーの匂い」第74回~「カレーの匂い」第74回~ 「ジシンが、オオツナミが襲ったんだったら! ナンビャク、ナンゼンニンも流されちゃったんだからねッ」 やたらおろおろした口調で、母親がドアを激しく叩いている。 そんなもん俺に訴えてもどうにもならんだろう。 俺は神様でもないしな、と独りごちながら、星也はやりかけの 腹筋台へ戻ってゆく。30度に設定した斜板の上に横たわり頭 を下に足先をてっぺんへ持ち上げる。血が一気に逆流する、