社会人になったと同時にレッスンに通いチェロを始めた24歳。

当時は会社の技術研修でホテル生活。最初の頃はそのストレス軽減になっていた。
若い女性の先生に指導してもらい、東京に戻ってからは好きなチェロ奏者の先生だった人に師事。
他の楽器をずっとやっていたのでアドバンテージはあったが、身体が小さく苦労した。
オケでは高齢のおじいさんに向いてないんじゃないかと嫌味を言われたこともあったが、跳ね返して毎日10分は必ず触るというルールを作っていた。
いつの間にか習ってもいないビブラートがかけられるようになり、楽しくなってきた。

オケだけでなくアンサンブル団体を立ち上げ、趣味でやっていた編曲が実際の演奏になり病院や学校、野外イベント、コンサートホールなどでたくさん演奏してきた。
仕事とのメリハリがついて、同年代の友達とも定期的に寄与度が高く生産的な活動ができる、ということがモチベーション向上に繋がっていた。

チェロを始めたおかげで良い思い出が出来た。

しかし同時にこの楽器には元恋人との思い出が詰まりすぎている。運んでもらったり、置いてもらったり。部屋にあると辛くて泣いてしまう。
もう、弾きたくないのだ。罪はないのに。

加えてあと2週間でここを去る。
手放すか、持っていくか、譲るか、誰かの家に保管してもらうか、悩んだ。何しろ存在感が大きい。(身長がそんなに変わらない)ともなるとそれだけ思い出のフラッシュバックがあり。しかも時間もあまりない。

今後弾く時は借りよう、それでいい。
そう決断し、全てを買い取ってもらった。

後悔がないかといえば嘘になるが、今はない方がいい。また本格的にやりたくなったら、300万のチェロを買うのを目標にする。

買取価格はケース、弓代は入らないと言われ、本体価格の1/5から修理代を引かれたため、1/8程度にしかならなかった。
自分の価値と重ねてしまい、少し悲しい気持ちになりつつも、お別れ。チェロは人の形に似ている。

今週末は、友人に別れを告げなければいけない。
お別ればかりだが、儀式として乗り越えよう。