彼氏彼女†性同一性障害パートナーの観察日記† -2ページ目

友人との電話

りょう君の結婚話を聞いたのが土曜日。
りょう君のことを責め立てて。
結局、一週間の猶予をもらった。
今週末、大事な発表会がある。
それが終わるまで。
それが終わってから話をしようって。
元々りょう君は、それが終わってから話そうと思っていたらしい。
でも、それを私が聞きだしてしまった。


「発表会が終わるまで、何も言わなかった、聞かなかったことにして欲しい」と私が言った。
「発表会が終わったらまた思い出すから。今は嘘でもいいから別れないって言って」と言った。
「分った」と言ったりょう君の声は優しかった。


次の日さっそく、親友に電話した。
せっかく一週間をもらったのに。
感情的になって、冷静な考えができない。
一週間のうちに、何かできることがないか考えたいのに。


感情的になった私の思いつくことなんて、りょう君の実家を調べ上げ、「この人FTMです!」とか言って家庭崩壊させることくらい。
そんなの、誰も幸せになれない。


友人には、「バンバン泊まりに行って、体使ったら」と言われた。
なるほど、自分は男だと認識させるわけですね。
自分は男だという気持ちを誤魔化せなくさせてしまえということか。


責め立てる私にりょう君は「30歳過ぎたら分かるよ」と言っていた。
友人は私よりも年上。
「29歳と30歳って本当に、周りからの結婚のプレッシャーが全然違うから。りょうさんが心揺れるのも分からないでもない」というようなことを言っていた。
「お見合い相手も、異性として好きかは分からないけど、人としては好きだから結婚しようと思ったんじゃないの?」といわれた。
きっとそうなんだよね。
「だから、他に好きな人ができたって言うのも嘘ではないんじゃないの」と。
全くきつい言葉。


でも、正直な意見を聞きたかった。
正直なことを言ってくれると思ったから電話した。

「りょうさんはほさちのどこが好きだったの?」と聞かれる。
わかんない。
どこが好きだったんだろう。
「でも、ご飯作って仕事から帰ってくるの待ってたりすると喜んでた」と話す。
「そういうの最近してた?」と聞かれて、気づく。
忙しさにかまけて、最近ご飯作りに行ってなかった。
最近の私、りょう君を分かろうとしてなかった。


「私が悪かったんだ」という私に、「ほさちは悪いことはしてないと思うよ。でも、りょうさんが欲しい時に手を差し伸べることができなかったんじゃない?」と友人が言った。
たぶん、そうなんだ。
りょう君が悩んでいる時、私は自分のことで精一杯だった。
りょう君に与えてもらうばかりで、私は何もしてあげられなかったんだね。


本当に結婚するなら、もう別れたほうがいいという友人の意見。
でも、まだ結婚までに時間があるなら、取り返す気持ちで頑張ったらと言われた。
お見合い相手とはまだ期間が短いから。
りょう君が何を喜ぶのか、私の方がよく知ってるはずだからって。


「お願いだから自暴自棄にはならないで」と言われた。
もう発表会終わったら死ぬしかないんじゃないか、なんてそんな気持ちが渦巻いてた。
傷は時間が癒してくれる。
もしかしたら、また良い出会いがあるかもしれない。
そう思おうとしても、まだ頭がついていかない。
男だと思っていたりょう君も、男性を選んだ。
私は男性を好きにはなれない。
これからも同じことの繰り返しなんじゃないか。
りょう君よりも素敵な人になんか出会えないんじゃないか。
もう、ここで終わらせておいたほうが、私の人生幸せなんじゃないか。


マイナスなことばかり浮かんできて、頑張ってそれを打ち消す。
死にたいわけじゃない。
もっと人生頑張りたい。

奥さんになる

今更、もう何年も放置していたのに。

りょう君にブログがバレて。

喧嘩になって。

一度書かなくなったら、疎遠になってしまった。


なんで今更だけど、他に吐き出せる場所が思いつかなかった。


先日、りょう君に「もう付き合えない」と言われた。

付き合いだして4年。

ずっとこのまま、りょう君と一緒にいるような気がしていた。

でも、りょう君はそうでなかったみたい。


両親の薦めるとおり、お見合いをしたりょう君。

その人と結婚するから、私とはもう付き合えないって。


男であるりょう君が結婚して奥さんになる。

一人娘の幸せを望むご両親の気持ちが理解できないわけじゃない。

でも、りょう君の本当の幸せは、結婚して奥さんになることなの?

「誰かが犠牲にならなくちゃいけない。仕方がない」とりょう君は言う。

私の気持ちも一緒に犠牲になっても良いと思われたんだ。

この4年間は、「仕方ない」の一言で片付けられてしまうものだったんだと思ったら悔しかった。

「結婚するから別れよう」なんてそんな言葉、想像したこともなかったから。


カミングアウトは出来ないとりょう君は言う。

デリケートな問題なので、私もどうしたらよいのか、何が正解なのかは分らない。

「ほさちのこと、嫌いにならなくちゃいけない」と言う。


そんな言葉で私が納得できるわけもなく、「別れない」と引かない私。

「だったら、正式に結婚するまで付き合う」と私が言う。

「それは俺の気持ちの整理がつかないからできない」「ほさちにそんなつらい思いをさせられない」と言う。

私、もう充分つらい思いをしてるよね?

自分のことを「俺」とか言っている人が、奥さんになんて本当になれるの?

これから何十年も、今まで生きて来たよりも長い時間を、奥さんとして母親として、女性として生きなくてはいけないんだよ。


りょう君に裏切られたという気持ちでいっぱいで。

でも、自分にも悔しかった。

最近、なんとなく様子がおかしいことには気づいていたのに。

りょう君の悩みに気づいてあげられなかった。

りょう君が両親から受けていたプレッシャー、悩み、一番気づいてあげなくちゃいけなかったのに。

本当はりょう君の一番の理解者でありたかったのに。

一緒にいることが当たり前すぎて、安心しすぎて思いやりの心を忘れていたんだと思う。


駄々っ子のように、引き下がらない私に、りょう君が「好きな人ができたから、もうほさちとは付き合えない」と言った。

その言葉が頭から離れない。

りょう君はきっと、私よりもそのお見合い相手を好きになってしまったんだ。


もうどうすれば良いのか分らなくて。

でも、まだ別れてはいない。

私が引き伸ばした。

そんなことしても、何の意味もないかもしれないけど。


あまりにも、一緒にいた時間が幸せすぎて、もうどうしたら良いのか分らない。

メイド喫茶、ご主人様かお嬢様か

日曜日、りょう君とデートの後、メイド喫茶に行って来た。

私が行きたい行きたい言っていたから。


約一年ぶりのメイド喫茶。

私のお気に入りのメイドさんは・・・いた!

ちっちゃくて可愛いの。

ちっちゃくて可愛いの。

ちなみに、お姉さん系の好きなりょう君の趣味ではないらしい。


注文はオムライスとハンバーグ。

もちろん、オムライスにはケチャップで絵を描いてくれます。

描いてもらったのは、にゃんこの絵。

膝立ちでイラストを描くメイドさん。

イラストの途中でメイドさんの手が止まる。

そしてそのままじーっとりょう君を見つめる。

ちらっと見るとかじゃないよ。

本当に絵の途中で手を止めて、しばらくずっと見てたの。


知り合い?

ニャンコのイラストに何か問題が?

なんなの、なんで見つめるの!?

りょう君じゃなくて、私を見つめてよ!!


メイドさん「お嬢様は、ボーイッシュでいらっしゃいますね。お嬢様より、ご主人様とお呼びした方がよろしいですか?」


あ、男か女か見分けてた?

迷ってた?

賭けに出た?


そっか、やっぱり女だって分かっちゃうのか。

本日のりょう君の服装は、黒のジャケット。

白いTシャツとパンツ。

サングラス。

どっちかというと、これから夜のご出勤ですか?な感じ。


満足したメイドさんは、にゃんこの続きを描きながら、「にゃんこ好きなんですか?あ、鞄もにゃんこですよね」と私に話しかけて、去っていった。

やっぱり絶対、見分けてた。


帰り際、りょう君はさっきのメイドさんに「かっこいいですね」と言われていた。

りょう君ばっかりずるい・・・。

私もメイドさんに何か言われたい。

私のお付き合いできたくせに、おいしいとこ持ってくなんて。

りょう君のばーか、ばーか。


だから、「♪りょう君はね、りょうこって言ーんだホントはね。だけど、ちっちゃいから~」って帰り道歌ってやった。