友人との電話 | 彼氏彼女†性同一性障害パートナーの観察日記†

友人との電話

りょう君の結婚話を聞いたのが土曜日。
りょう君のことを責め立てて。
結局、一週間の猶予をもらった。
今週末、大事な発表会がある。
それが終わるまで。
それが終わってから話をしようって。
元々りょう君は、それが終わってから話そうと思っていたらしい。
でも、それを私が聞きだしてしまった。


「発表会が終わるまで、何も言わなかった、聞かなかったことにして欲しい」と私が言った。
「発表会が終わったらまた思い出すから。今は嘘でもいいから別れないって言って」と言った。
「分った」と言ったりょう君の声は優しかった。


次の日さっそく、親友に電話した。
せっかく一週間をもらったのに。
感情的になって、冷静な考えができない。
一週間のうちに、何かできることがないか考えたいのに。


感情的になった私の思いつくことなんて、りょう君の実家を調べ上げ、「この人FTMです!」とか言って家庭崩壊させることくらい。
そんなの、誰も幸せになれない。


友人には、「バンバン泊まりに行って、体使ったら」と言われた。
なるほど、自分は男だと認識させるわけですね。
自分は男だという気持ちを誤魔化せなくさせてしまえということか。


責め立てる私にりょう君は「30歳過ぎたら分かるよ」と言っていた。
友人は私よりも年上。
「29歳と30歳って本当に、周りからの結婚のプレッシャーが全然違うから。りょうさんが心揺れるのも分からないでもない」というようなことを言っていた。
「お見合い相手も、異性として好きかは分からないけど、人としては好きだから結婚しようと思ったんじゃないの?」といわれた。
きっとそうなんだよね。
「だから、他に好きな人ができたって言うのも嘘ではないんじゃないの」と。
全くきつい言葉。


でも、正直な意見を聞きたかった。
正直なことを言ってくれると思ったから電話した。

「りょうさんはほさちのどこが好きだったの?」と聞かれる。
わかんない。
どこが好きだったんだろう。
「でも、ご飯作って仕事から帰ってくるの待ってたりすると喜んでた」と話す。
「そういうの最近してた?」と聞かれて、気づく。
忙しさにかまけて、最近ご飯作りに行ってなかった。
最近の私、りょう君を分かろうとしてなかった。


「私が悪かったんだ」という私に、「ほさちは悪いことはしてないと思うよ。でも、りょうさんが欲しい時に手を差し伸べることができなかったんじゃない?」と友人が言った。
たぶん、そうなんだ。
りょう君が悩んでいる時、私は自分のことで精一杯だった。
りょう君に与えてもらうばかりで、私は何もしてあげられなかったんだね。


本当に結婚するなら、もう別れたほうがいいという友人の意見。
でも、まだ結婚までに時間があるなら、取り返す気持ちで頑張ったらと言われた。
お見合い相手とはまだ期間が短いから。
りょう君が何を喜ぶのか、私の方がよく知ってるはずだからって。


「お願いだから自暴自棄にはならないで」と言われた。
もう発表会終わったら死ぬしかないんじゃないか、なんてそんな気持ちが渦巻いてた。
傷は時間が癒してくれる。
もしかしたら、また良い出会いがあるかもしれない。
そう思おうとしても、まだ頭がついていかない。
男だと思っていたりょう君も、男性を選んだ。
私は男性を好きにはなれない。
これからも同じことの繰り返しなんじゃないか。
りょう君よりも素敵な人になんか出会えないんじゃないか。
もう、ここで終わらせておいたほうが、私の人生幸せなんじゃないか。


マイナスなことばかり浮かんできて、頑張ってそれを打ち消す。
死にたいわけじゃない。
もっと人生頑張りたい。