驚いたというよりも久しぶりに衝撃すら感じてしまった。
「年輪経営」で社員の幸せと会社の永続を目指せ!
寒天の国内シェアトップの伊那食品工業。この会社の塚越社長は、完全に今の時代を逆行する「年輪経営」で48年連続の増収を達成している。
しかも伊那食品工業では会社の売上げから発生した利益は、出来る限り社員のために還元していく方針で、「利益は健康な会社から出るウンチ」とまで言い切っている。これは株式会社の仕組みを否定するやり方とも思えるが、それでしっかりとした成果を出し続けているのだから何も文句は言えない。
さらに伊那食品工業では、定年退職者向けの農場まで経営し、働きたい要望さえあれば、いつまででも働き続ける事が出来る環境まで整えているらしい。
至れり尽くせりとはまさにこの事で、当然のようにこの会社で働く多くの社員は会社に大きな感謝の念を抱き、この会社で働くことに大きな意義を見出している。
とはいえ、
このような経営方針は本当に正しいのだろうか?
アメリカのGMにしても日本のJALにしても、社員の待遇を極限まで引き上げる経営方針を取り続けた事により、経営を圧迫し結果経営破綻を招いてしまった。
このような日本的「終身雇用」「年功賃金」が社員の緊張感を無くしてしまい、国際的競争力を失ってしまうという意見もある。
しかし、老後まで見据えた安定した年功賃金が見込めるのであれば、子育てや住宅購入の意欲も自然と高まってくるもの。そうなれば、少子高齢化の歯止めにもなり、景気も上向いてくるのかもしれない。
日本的「終身雇用」「年功賃金」は、既にオワコンとも思われた仕組みだが、伊那食品工業の成功例を見ると、今後また新たに見直されるべき制度なのかもしれない。