エジプト 創始の話を考える | 正しい人の喰い方マニュアル

エジプト 創始の話を考える

皆さんはエジプト王家創始の話となるオシリス神話をご存知だろうか。
もしエジプトの歴史に少しでも興味を持った事があるならば
これらの一説を一度か二度読んだ事がある筈だ

オシリスは地上の王となり、イシスを妻にする。
彼は人間に農耕や牧畜を教え、よく治めた。これをねたんだのが弟のセトである。オシリスを箱に閉じ込め、ナイル川に流してしまう。妻イシスは嘆き悲み、オシリスの遺体を探しに出掛ける。
 遺体は地中海に達し、ある地の岸に流れ着いていたという。イシスはオシリスの遺体を連れ帰った。これを知ったセトは、遺体を十四に切り刻んでエジプト中にばらまいてしまう。
 イシスは悲しみにくれながら、バラバラになった夫を探し回っては集めた。とうとう完全な体にし、ミイラの夫に命を吹き込んだという。そしてオシリスの子ホルスを授かるのである。


河北新報社
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe114/20020620_04.htm

表現は翻訳者によって違う。
が、この一説はエジプトのカニバリズムの本質的な部分を
ついているのでは無いだろうか

上記の訳は一般向けのかなり柔らかい感じに纏められている。
遺体を十四に切り刻んだ後、実際はこのような文章が続く。

オシリスの男根は、オクシリンコスという魚が食べてしまった

と続く。
このオクシリンコスというのは殺したセトの化身であると言われており
つまりセトは地位を簒奪しその者を食べたという事なのである。

無論エジプトでも飢饉の時人肉を食べたというのは勿論であるが
それ以外に地位の高い人間が死んだ場合
その力を自分の物にする為に好んでそれを食べていたのだ

この風習を嫌った時のファラオが
尊い身分の人間の遺体が暴かれる事を防ぐ為に
食べる事が出来ぬよう? 薬品に漬けて
ミイラ化させる技術を開発したのだという
最も初期の段階ではミイラ化させたのは
人肉を長持ちさせ、長期保存を可能にする為であったのかもしれない

アン・ライスの小説「呪われし女王」には
能力継承の為脳みそを喰わなくてはならないと
重ねて記述している

アン・ライス自身はファラオが遺体を暴かれるのを嫌ったからではなく
強い能力を平民に継承させたく無かったからと述懐して
小説を書き綴っている。

私自身まさかエジプトで人喰いが行なわれていようとは考えつかず
この小説の一説を読んで
真実を求め必死に資料を探し回った経緯がある
八百万の神が居るエジプトには確かに人喰いの神 
女神メウト、ネヘベト が居る
ハゲワシを擬人化した神であるが
メウトは主神アメンラー神の妻であり
この事からも人喰いが卑しい習慣ではなく
かなり価値の高い行為であった事が伺えるのでは無いだろうか

この時期エジプトで珍重されたのはアステカ同様
心臓、脳みそ、性器であったようだ

ミイラが作られた数百年後
日本ではそれらを粉末にし
薬として珍重する事になるのだけれど
これらの話はまた後日に譲りたいと思う



著者: アン ライス, Anne Rice, 柿沼 瑛子
タイトル: 呪われし者の女王〈上〉―ヴァンパイア・クロニクルズ



著者: アン ライス, Anne Rice, 柿沼 瑛子
タイトル: 呪われし者の女王〈下〉―ヴァンパイア・クロニクルズ