先日、お久し振りの客人Fさんが来てくれた。
たぶん6年振りになるけど、2年前くみの訃報はLINEで伝えてあった。
お供えの花と御佛前を仏壇に供え、手を併せながらくみに声をかけてくれる。
すぐに来れなくて悪かったねと。
しばらくリビングで話をした。
くみが旅立つ前の事と後の事、Fさんは涙を落としながら俺の話をずっと聞いてくれた。
Fさんとはもう長いお付き合いで、元々は現場仕事で知り合った。
後になって俺が副業で彫師をしてる事を知り、8年くらい前に和彫りの依頼を受けたんだ。
両腕胸から七分袖で龍と菊散らしを1年程で完成させて、背中の不動明王の筋が途中のまま期間が空いていた。
とにかく豪快で面白く、一本筋の通った性格で礼儀もしっかりしている人。
Fさんが彫りに来ると、くみも楽しそうにおしゃべりに加わって、みんなで馬鹿笑いしていたのを思い出す。
明るくて優しかったね
料理が上手かったね
大胆だけど繊細だったね
本当に凄いおかぁちゃんだ
天晴だよ!
そう言ってくみの写真を見ながら最後は笑ってくれた。
少し霊感があるとの事で
スピリチュアル的な話も共感できた。
俺は少しでもネガティブな言葉には耳を塞ぐ癖がついてるけど、Fさんの言葉は俺の感覚に近いものを感じる。
リビングの穏やかな空気感、この時もくみが一緒にいるような気がしていたんだ。
「Fさん来るの遅いよ〜!」
って、くみがほっぺた膨らませて笑ってる顔が目に浮かんだ。
仕事部屋に移り、背中上部の額部分をフリーハンドで下描きする。
不動明王本体は途中のままだから、次回からステンシルを用意してから彫り進める事にした。
実質2時間くらい筋を引き、後は長々とお互いの話をしたんだ。
6年振りとなると積もる話がたくさんある。
そしてFさんに言われた。
先生変わったね。
前は自分の世界をしっかり守っていたけど、今は心が開いてるよって。
気持ちがいい方向に向いて、必ず運気が上がってくるからと。
確かに自分でもこの数年で大きく変わったように思う。
早くも、来年1月の予約を2日連日入れてくれてやる気が伝わる。
それにキチンと期待以上に応えたいと思った。
彫耀としての引退の話もした。
このままズルズルやるのではなく、ひと区切りつけたい理由も。
年明けには馴染みのお客さんへ連絡をして、続き彫りの今後の相談をさせてもらう。
Fさんのように期間は空いたりしても、必ず最後までやり遂げる意思のある方のみに限り、引退後も責任持って個別に対応したいとは思う。
LAST DANCE
ブランキー・ジェット・シティのラストライブDVD、そのソリッドなサウンドに包まれながら深夜の高速道路を走る。
辿り着いた港で煙草に火をつけた。
紫色に染まる空を見上げながら色んな事を思っていた。
最後は踊りたくなるような気持ちで終わりにしたい。
でも終わりは次の始まりだからね、その先には何かまた違う新しい事が待っているのかもしれない。
2025年12月
今年も彫耀のブログをご覧いただき、ありがとうございました。
来年も皆様にとって素晴らしい一年になりますよう、心より申し上げます。
宇都宮 彫耀


