宇都宮 彫耀

宇都宮 彫耀

日々の出来事や想いをブログに綴ります。

2月15日

久し振りとなる八王子へ出張彫りに向かった。

少し早めに到着したので、昔住んでいた近辺を1人で散歩しながらブラブラ歩いてみた。

くみとの思い出が溢れる街だから、辛くなるのも多少覚悟はしていたけれど…

あの頃とあまり変わらない風景や空気感が、懐かしさと共に優しく心を包んでくれた。


くみと犬達3匹、毎日一緒に散歩した道を10数年振りに歩く。

いつものスーパー、椿公園、ステーキのどん、十二社神社、散田小学校、ガスト、八王子西郵便局、月極駐車場、そして住んでいたマンション。

あの頃に戻ったような感覚になる。

今でも3階のあの部屋の扉を開ければ、くみと犬達が居て、息子がたくさん友達連れて来てワイワイ騒いでいそうだ。

今の現実を意識しなければ、まるで時がそのまま止まったままのように思えた。




少し足を延ばせば高尾駅や陵南公園がある。

どちらも思い出深い場所で行きたかったけど、日曜日で混雑してるから今回はパスする事にした。

八王子駅前に向かいホテルに近いパーキングに駐車する。

15時にチェックイン、出張の時にツインの部屋を選ぶのは広さを重視しているから。

ゆっくりと支度をしてお客の到着を待つ。

お客と言っても長いお付き合いの後輩なんだけどね。


友達1人ワンポイント彫る予定もあったけど、2週間前くらいに来れないとの連絡があった。

どんな理由があれ出張時のキャンセルは酷くモチベーションが落ちる。

これはコチラの立場になって考えないと絶対にわからない事。

昨年はそんな理由で連泊の出張を取りやめてるし、その後も言葉と行動が伴わない人達への対応が続いてしまい、結果自分の引退を考えるきっかけにもなった。


何らかの理由でキャンセルは仕方ない、それは誰にでも起こる事だとは思うから。

大切なのはその後の言葉や次への意欲や対応じゃないのかな…

それが出来ない人が多すぎる。

今までは溜息をつきながらも、また次でいいかなとか、いちいち気にしないようにと自分自身へ容認してきた。

でも今は違うね。

引退を決意してから残された時間を無駄には出来ない。

やる気と行動できる人を最優先することが当然だと思う。



引退後も彫ってもらいたい、そう言ってもらえるのは本当に嬉しい。

そこを続けられたら、もう彫師とお客の関係じゃないとも思う。

俺にとっては一生付き合える人間関係となるよね。

お客さん達も先を見ている。

夏までに、年内に、来年3月までにと、それぞれが目標を立てて次の予約日を必ず入れてくれる。

中には、毎週1回2〜3時間で1年間ビッチリ通うと言ってくれた人がいた。

でもそうなると1年間常に刺青の痛みが続くという事にもなるから、さすがにそんな無理はさせたくないかな。

月に4回予定を3回にしてみたりして、来年3月までに終わらなくても引き続き完成まで俺も頑張りたいと思う。

先日の話だと、たぶん総身彫りまで行きそうな感じだった。


懐かしい八王子の街

ここから人生が変わった。

八王子の出張彫りは今年限り…

そんな事を思いながら眠りに落ちて少し夢を見た。

くみが何故かふて腐りながらも笑ってさ、きっと俺が何かふざけて悪戯をしたんだろうね。

目が覚めるとホテルのベットの上で朝7時半を少し過ぎていた。

何が夢で現実なのか、自分でもわからない時がたまにある。

本当に現実を受け入れているのか、そうではないのか。

くみと会えてないだけ、話せてないだけ。

2年以上経った今でもそう感じるのは不自然な事なのかな?


最近よくYouTubeの無料映画を観ていて、昨日は【洗骨】【ゆずりは】を立て続けに観た。

たまたま偶然なんだけど、どちらの映画も妻を亡くした男が主人公だった。

洗骨を観て感じた事は、その風習に自分も重ね合せて直接触れてみたいと思った。

火葬していない遺骨は生々しくも、それでいて生きた証しとして、とても美しく感じたからだ。

ゆずりはでは涙がこぼれた。

もう枯れ果てたと思っていた涙が溢れ出した。




そしてエンドロールで流れた主題歌の歌詞が、心に優しく寄り添ってくれた。


楪〜yuzuriha〜


泣かないでここにいるよ

この姿見えなくても

うつむいた肩先にそっと

寄り添う風になり

はらはら舞い散る木の葉

芽生える夢のプロローグ

これからのふたり並んだ道は

例え途絶えても 

君は歩いて行くんだよ

新しい朝に向かって

ずっとずっとず〜っと

頬の涙拭いて


柔らかな陽がそそぐ

凍てついた闇を溶かしながら

書きかけのスケッチに

君が春色の色を足す

きらきらきらめく星の

彼方から君を見守っている

いつでも固く結んだ指は

例え離れても

永遠につながっているんだよ

思い出の糸を束ねて


はらはら舞い散る木の葉

芽生えよ君の夢

顔をあげて行くんだよ

眩しい朝に向かって


はらはら舞い散る木の葉

芽生えよ君の夢

僕がゆだねる思いをうけて

ずっとずっとず〜っと

永遠に命を繋ぐ

ゆずりはのように


歌詞/砂川風子

歌/森本ナムア


女性アーティストの歌でこんなに心揺れる歌を聴いたのは、中島美嘉の雪の華と、JUJUの奇跡を望むなら…以来だ。

ユズリハは植木職人をしていた若い頃に何度か剪定をした事がある。

大きめな常緑樹で、公園や公共の施設によく植えられているね。

この木には子孫繁栄や生命を繋ぐような意味合いがある。


そのユズリハを自分に例えると、大きなユズリハ自体が生命を繋ぎ続ける道なのかもしれない。

ご先祖から伸び続けている幹と枝の道、俺はその枝についているユズリハの葉なのかな。

一つの葉ではなくて、何枚、何十枚かの葉を今までも落として生きてきたのだろうなって。

そしていつかは…

自分の全ての葉を散らして次に繋げるのだろうね。

それが人生ってやつなのかなって思ったんだ。


たまたま観た映画から、こんなにも深く思い考えさせられるとは思わなかった。

見ること、聞くこと、伝えることが本当に大切なんだと感じる。

それは生きている時だけしか出来ない事なのだから。