自分の人生で一度だけあった大学入試を無事、乗り越えてから、50年が過ぎた。50年前と今とでは、見える世界がかなり違う。

 

50年前、大学に入る時は、群論のような抽象数学を勉強したいと思っていた。これも奇妙な事で、自分が中学生の時は、社会思想や経済学には興味があったが、数学には全く興味が無かった。高校生の時も、高校の数学、つまり大学受験の数学には、まったく面白みを感じなかった。あの頃は何か、抽象数学に、自分の可能性が潜んでいるのを感じていた。

それが、大学に入学して1年、2年、3年と経つうちに、理数系の計算や作業があまり面白いと感じない自分に気づくようになった。新しい視点、新しい発想には、ものすごく関心があったが、そうでない事には、まるで興味が向かなかった。いろいろあって、4年で卒業と同時に就職してしまった。

 

1年前から、ASD の診断テストをいろいろやってみているが、意外と自分は数とか日付に対するこだわりが、あっけないほど無くて、アスペルガーの傾向は、世の中の平均とあまり変わらないみたいだ。数学の研究者には、もともと向いていなかったらしい。当然、IT関係の技術者にも、それほど向いてなくて、学生の頃は ITの技術(OS とか、コンパイラとか)には全く興味が無かったが、若いうちに就職してプログラミングを習得したおかげで、失業せずにここまで来れた。

 

高校生の時に群論にハマったのは、掛け算が可換でない世界に理論の本質があって、未知の世界に足を踏み入れた感動があったからだが、大学生になってから読み始めた「テンソル」は、環の乗法が可換であってもなくても、本質にはあまり関係無くて、そこが、学ぶ意欲を無くしたきっかけだった。「トポロジー」の本も読み始めたが、正多面体とかの具体的な個々の対象には、さっぱり興味が湧かなかったので、そのうちやめてしまった。

新しい発想には、ものすごく興味を持つが、少し深入りして行くと、いつの間にか興味が無くなってしまう。理工系の研究には、自分はもともと向いていなかったのかも知れない。

 

MBTI と言う性格類型診断があって、若い人がやるとわりと当たるらしいが、社会生活が長くなると人間の表面の性格が変わって来る。ENTP と言うのがあって、頭の回転は速いが、飽きっぽくて無責任で、会社員にはあまり向いていない、とある。学生時代の自分がそんな感じだったが、当たっていない部分もある。16タイプのどれかにすっぽり当てはまる人もいるだろうが、実際はそうでない人が多いと思う。