私の農業の先生、神谷成章(かみやせいしょう)先生を紹介します。成章先生は無農薬、無化学肥料の「セイショー農法」の指導者です。日本中、行ったことがない所はないと言うくらい各地で指導されています。日本だけではなく、農業先進国のオランダやニュージーランドでも、また、インドネシア、ベトナムなど十数カ国でも指導しています。
農業だけでなく、水産業(養殖)でも特許技術を持ち指導しています。
さらに微生物の研究や科学技術の分野でも27件の国際特許を持ち、さまざまな産業に貢献されています。最近では、カーボン技術に関する特許をいくつか取得され、国産旅客機MRJにも採用されていると聞いています。
成章先生は、昭和2年生まれの89歳。たいへんお元気で、ご指導、ご講演、研究開発に365日、
1日も休まずご活躍されています。健康の秘訣は、自分で作られた米・野菜を毎日食べることだそうです。栄養学にも精通しておられ、お米はもちろん、重要な野菜(人参、たまねぎ、大豆、黒豆など)は毎日食べるように作っています。視力も衰えることなく、老眼鏡も不要です。眼には、米の胚芽と黒豆が良いとおっしゃっていました。特に、胚芽に含まれるビタミンEは白内障を予防し、黒豆のアントシアニンは視力(網膜の健康)に良いそうです。
 セイショー農法の一番の特徴は、たいへん美味しくて、栄養価が高い野菜が収穫できることです。どんな作物でも、微生物の力がなければ育ちません。微生物が土を耕し、栄養を分解して植物の根が吸収しやすいように働くのです。成章先生が開発した有機肥料は微生物の働きを飛躍的に高めて理想的な土壌を作って行きます。この有機肥料の力で、ふかふかの土壌ができます。土がふかふかになりますと、水はけが良く、同時に水持ちが良くなります。雨が降っても水はドンドン吸収され、雨が止むと表面が短時間で乾きます。このため草が生えにくくなります。草の種は土の表面が湿っていないと芽を出すことができないからです。農薬の中で最も毒性の強い除草剤を使わずに済みますから、安全な作物が出来ます。
 また、この有機肥料を使うと、土壌が徐々に酸性になっていきます。微生物が有機肥料を醗酵させると酸を出すからです。(乳酸菌は醗酵すると乳酸というかなり強い酸を出します)この酸によって、土中の病原菌や、害虫の卵が死滅してしまいます。センチュウなどの害虫も生息できなくなります。
したがって、病害虫駆除のために農薬を使わなくて済みます。
 このように、セイショー農法では、農薬や化学肥料を使わなくとも、雑草や病害虫の被害に遭わないだけでなく、微生物が作り出す植物のための栄養のおかげで、美味しくて栄養価の高い作物が出来るのです。
 かつて、ゴルフ場の芝に撒く農薬がゴルファーやキャディーさんの健康に良くないという問題が起こりました。成章先生は、日本で約1100箇所のゴルフ場の芝を無農薬化したのです。競技場、ラグビー場、サッカー場の芝もほとんど成章先生の手がけたものだそうです。
(写真は、2015年5月3日 筆者とのツーショットです)