かつて、私は父と仲がとても悪かったのです。

父は、母に対してとても冷たい人で、母は辛い思いをしてきました。

よく母から愚痴をこぼされ、そのたびに父を許せない気持ちになっていました。

それでも、学生時代からずっと離れて暮らしていて、

盆と正月に帰省したとき顔を合わすだけでしたので、

そのことが重荷になることはありませんでした。

父は神仏を信じない人です。ですから家の中には、仏壇、神棚の類は一切なく、

先祖のお墓参りはもちろん初詣や神社のお祭りにも一切行くことはありませんでした。

私は、いつまでも仲が悪いままこの人生を終わらせたくない、

父が生きている間に父との関係を修復したいと願いました。

私は、まず、父への不満を箇条書きにして紙に書き出してみました。

次に、父からしていただいたことでうれしかったことを紙に書き出してみました。

すると、うれしかったことが、不満の3倍も多くあったのです。

いままで、不満ばかりに囚われていて、

父の良いところを全く見ていなかったことに気付いたのです。

さらに、母に対する冷たさや神仏から身を遠ざけようとすることが、

父の生まれ育ちの環境の中で作られた心であることも見えてきたのです。

私は、父に手紙を書き、箇条書きにした「うれしかったこと」を全て書いて

感謝の気持ちを伝えました。

3年前の3月に母が亡くなって、一人暮らしを余儀なくされてから父は徐々に変わっていきました。

かつて怒ってばかりいた父が、全く怒らなくなりました。

電話をすると「電話してくれてありがとう。」と言うようになったのです。

父は87歳の高齢です。

私は、父との絆をもっと深めたいと願い、できるだけ早い時期に同居するようにしていきたいと思っています。