ミサ | 彫きぬ雑記帳

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山口県山口市の刺青処、日本伝統肌絵芸術の彫きぬこと衣笠新太郎のブログ

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俺がその娘を見かけたのは、
渋谷のセンター街だった
平成10年、秋も深まった11月ごろの夕刻
当時、センター街を突き抜けた辺りにエビスのジーンズショップがあって、
チェーンステッチで裾上げした品を受取りに行ったその帰りだった

当時から、このセンター街のアチコチに化粧の濃い
10代くらいの小娘たちが屯ろしていたし
やたらと外国人が怪しげなモノを売り歩いていた

その少し離れた所で
娘といっても、どう見てもまだ子供のようなのが
ひとり、しゃがんでいて、
若いアンチャン2人がその前にしゃがみこんで
デレっとしたツラで、一生懸命に話しかけていた
ははぁん。。こりゃナンパだなと思った

その子は黒髪のオカッパ頭で、
顔はまだ、あどけなく、
化粧の気もなく健康そうな顔
一文字に硬く結んだ口元が金太郎みたいで
そこにいるのが場違いな気がした

女の子は相手を睨むような目で見つめて、話し掛けには応じなったが、ガキたちはしつこく口説いている様子。。

見ていて、ちょっとムカつき、近づいて女の子に
『おい、ミサ、帰るぞ』と言った
なぜ、ミサと言ったのかは自分でもわからない
その子はキョトンとして俺を見上げたし、2人のガキはオロオロしだした

そうだろう、このとき俺は上下黒っぽい背広姿で
ネクタイはお気に入りのランバンで
靴、ベルトはイタリア製
髪は前流しのソフトパーマ
どう見ても堅気のリーマンには見えないどころか、
モロにアレだわ (^ ^)

夜から錦糸町で飲みの予定だったので、この格好でジーンズを受け取りに来たのだ

ガキどもは、そそくさと立ち去った
驚いた顔の女の子を立たせ、『おいで』と声をかけ、伴って歩き
スクランブル交差点を渡ったところで
『早く家に帰りなよ』と言ってその場から背を向けた

タクシーを拾おうと立っていたら、
後ろから女の子が近づいて来たので、
ちょっと驚いた
『なにしてんだ?早く帰んなよ』
と言うと、電車賃が足らないという
財布から1枚出して持たせようとしても
『知らない人からお金を借りたくないです』と、
受けとらない  え ( ゚д゚ )?なんだこの子。。
。。。変わった金太郎っ子だ

『家、何処だ?』 『亀戸。。』
なら、これから帰る事務所からも遠くないので
寄り道してタクシーで送ってやることにした

車内で聞けば、中2だという 爆笑
そして『あたしミサではないです』と言う
(勿論、ミサではないだろう 笑)
で、名前は自分から名のった

『おじさんヤクザ?』と聞かれて
俺は思わず笑ってしまったが
金太郎も少し緊張も解けてきたのか
絵が描くのが好きだとか、猫を飼ってるとか
いろいろと語ってくれた
笑うと金太郎も可愛いい顔をしている
なぜセンター街にいたのか、訳は聞かなかったが
『学校にはちゃんと行きなよ』とだけ言っておいた

『連絡先聞いていいですか?』と聞かれので
『ん、良いよ』と言ったが。。
ガキに名刺をやって、親が見て驚いてもいけないので
内ポケットから手帳を出し1枚破いて、
揺れる車内で電話番号だけを書いて、渡した

もちろん、下心なんて更々に無い
(二人の倅の、真ん中ぐらいの歳の子なのだから)
何か相談ごとがあれば聴いてやろうと、そんなとこ

自宅の前まで送り、玄関に入ったのを見届けて
業平の事務所に廻り、
6階の自分の部屋の下駄箱の上に荷物だけ置き
待たせたタクシーにまた乗り、錦糸町まで飲みに出た

酔いが気持ちよくまわるころには
もう金太郎娘のことなど忘れてしまった


この話は、山口に帰ってから、家族にも語った
余分なことを省いて簡単に
『渋谷の細道におかしなガキや、外人が多なったわ
中学生が危なかったんで家に帰してやった』と


その子から、初めて連絡があったのは、
すっかりと、頭の中から忘れてしまっていた頃で
金太郎むすめ、ミサの義務教育の卒業後であった

まさかこの先、ミサと(本名は平凡な◯◯◯)
10年近くも関わりを持つとは、
この時は、夢にも思ってなかった

いや、たまに上京すれば、今でも会うこともある
去年秋に上京したときも、一緒に食事をした
ミサも今は、2児の母である

🐶久々に聞いた江戸噺し
🐱硬派なのよ

🐶この続きを知りたい。。
🐱気が向いたら話してくれるわよ
おじさんは照れ屋だからあまり深く書けないかもね
でも、東京も長いと、東京では江戸弁になるのね
ホホホホホ 笑