体幹の役割(2) | 堀 啓のブログ

体幹の役割(2)

前回、体幹をひとつの塊として固定することが重要だという話をさせていただきましたが、ここには注意しなければいけない落とし穴があります。


体幹を固める為には腹筋や背筋、横隔膜など、体幹の様々な筋肉に力を入れて筋力を拮抗させる必要があります。

しかし、身体の中心にある体幹に力を入れて固めると、その影響で手足も力みやすくなります。

手足が力んで動きが悪くなり、スピードが落ちたり攻撃の伸びがなくなってしまってはいくら体幹を固めても逆効果です。

何よりそんなに全身に力を入れたまま動いていると、ものすごく消耗が激しくなり、あっという間に疲れてしまいます。

つまり、体幹をしっかり固めながらも、手足(特に股関節と肩甲骨)は自由に動かせるようにする必要があります。

その為には体幹部分の筋肉に力を入れながら、いかに手足の力を抜けるかがポイントになってきます。

パンチやキックの動作では、右ストレートなら右腕、左ミドルなら左脚と、技を出す際に実際に相手を攻撃する"武器"となる部分を、

当たる瞬間までは身体の中でも特にリラックスさせておく必要があると思います(当たる瞬間には力を入れて固めます)

イメージとしては塊となった体幹を使って、手や足を相手に「投げつける」、「振りまわす」感じでしょうか。

投げつける、振りまわすだけだと正確性のない雑なパンチ、キックになってしまうので、最低限の力で角度や軌道をコントロールします。

こうやって体幹を固めつつ手足を適切に使うことで、全身を効率よく使ったシャープで力強いパンチ、キックが可能になります。

僕も指導の際に体幹のエクササイズを取り入れる事がありますが、体幹を固めつつ手足を大きく動かすメニューを意識しています。


そしてもうひとつの落とし穴はスタミナ面です。

手足をリラックスしていても、体幹をずっと固めたままだと、やはり相当なエネルギーを消費します。

体幹を固めて動きが少ない分、呼吸も難しくなりさらに消耗が激しくなります。

そのため、パンチを打ったり、キックを蹴ったりする瞬間はは体幹を固めますが、その瞬間以外はうまく体幹の力を抜く必要があります。
(一流の選手にはディフェンスしている時も非常にリラックスしていて、相手の攻撃を受け流している選手もいます。)

パンチ、キックを打つときはしっかり体幹を固めて打ち、それ以外のときは身体の力を抜いてなるべくリラックスする。

こういったメリハリをつけていく事で、動きにリズムが生まれ、自然な動きの中で体幹を有効に使うことができるようになります