身体は環境に適応する | 堀 啓のブログ

身体は環境に適応する

例えば、筋トレをして重いバーベルを持ちあげれば筋肉がつきます。

これを科学的に分析すると、「筋肉に負荷をかけると筋肉に微細な傷がつき、男性ホルモンが分泌され、適切な栄養と休養を摂る事で云々」

となりますが、つまりは、重いものを持つために筋肉が必要で、トレーニングを続けていれば身体が「この人は重いものを持つ人なんだ」

と判断し、重いものを持つのに適した状態に身体を適応させていく、という事なんだと思います。

そのため、身体は筋肉を増やそうと働き、僕たちはそこに筋肉を作る材料であるタンパク質や炭水化物などの栄養素を摂取し届けてあげればいいのです。

そして、筋肉を作っている間は静かに見守る(=休息をしっかりとる)ことで、身体はより重いものを上げられるよう、太くたくましい筋肉を作るのでしょう。


また、ランニングの場合も同じことが言えると思います。

ランニングのような体重移動を伴なう運動は、自体重が運動の負荷となります。

そのために必要になってくるのは、自分の体重を支え、走れるだけの筋力や、その筋力を持続して出し続けられる持久力です。

しかしそれとは別に、まずはその負荷となっている自体重を軽くすれば、ランニングしたときに身体にかかる負担も当然軽くなります。

したがって走るために効率の良い身体というのは、走るのに必要な体力、筋肉が付きつつ、

走るときに負担となる余計な筋肉や脂肪が削ぎ落とされた身体、という事になります。

そして継続的に走り続けていれば、自然とそのような身体に近づいていく、というのが僕の持論です。

もちろん、体重が重かったり、筋力が弱かったりすれば、身体がランニングの負担に耐えられずに怪我をしてしまう可能性もあります。

また、精神的にも「走る」という単調な作業を続けるのはつまらない、辛いという方もいるでしょう。

しかし諦めずに続けていけば必ず身体が変わってくる運動だと思います。


では、キックボクシングはどうでしょうか?

パンチやキックで手足を大きく、素早く動かす必要があるため、手足の付け根の筋肉、

腕で言えば肩や胸、背中の筋肉が、足で言えばお尻など股関節周りの筋肉や腹筋が必要になってきます。

同時にこの際に負荷となる手足そのものが軽ければ、より大きく、素早く動かすことが可能でしょう。

もちろん、パンチやキックが当たった時の衝撃に耐えるだけの筋力は必要なので、筋肉のついた引き締まった手足が理想ですね。

さらに腰の入ったパンチ、キックを打つためには
体幹がしっかりと安定した状態で回旋する必要があります。

その為には体幹を安定させる筋肉が必要ですし、速く回旋させるために余計な重り(お腹周りの脂肪)はない方がいいですよね?

なので体幹も、必要な筋肉がついていて、余計な脂肪は付いていない、引き締まった体幹が必要になります。

まとめると、

手足を振り回すのでその付け根である肩周り、股関節周りに必要な筋肉が付き、素早く動かす必要のある手足と体幹には、余計な脂肪がつかず引き締まった状態

というのがキックボクシングの動きをする上で適切な身体の状態になります。

こうやって見ると改めて全身運動ですね!

キックボクシングを続けていけば、身体が「キックボクシングをする」という環境に適応して、上記のような身体に自然と近づいていくのではないでしょうか。

(エクササイズ目的の女性の方で、あまり肩や背中が大きくなるのはちょっと。。。という方はパンチよりもキックを多く練習するといいでしょう。)

さらにここに、実践的な前後左右のフットワークを加えれば、体重移動の必要性が出てきます。

この場合ランニングと同じで、なるべく軽い方が負担は減るで、身体は重りとなる脂肪や付きすぎた筋肉を落とそうとするのではないでしょうか。

(僕はこのような考えから、女性の方を指導する場合もフットワークなど、体重移動を伴ったエクササイズを多く取り入れています。)


身体は生きていくために、置かれた環境に適応しようとします。

自分の身体を変えたいと思う方は、「なりたい身体」が必要とされる環境に身を置く事も、1つの手ではないでしょうか。