頭の位置 | 堀 啓のブログ

頭の位置

キックボクシング、格闘技に限らずあらゆるスポーツにおいて、頭の位置というのはかなり重要な役割を持っています。

その理由は大きく分けて3つあります。


一つ目は情報収集、処理能力。
目があり耳があり鼻、口がある頭部には、味覚、聴覚、嗅覚、触覚、視覚の五感のうち、触覚以外の全てが集中しています。
(もちろん顔にも触覚はありますが、触覚は全身、というか手がメインだと思います。)
 そのため、頭の位置によって外から得られる情報の質が大きく変わってきます。
例えば視覚ですが、頭が高い位置にあるか低い位置にあるか、前にあるか後ろにあるか、顔の向きはどうか、などの状況によって視界に広がる光景はまるで違いますよね。
また、それらの得た情報を処理する脳があるのも頭です。
外部からの情報を適切に得て、適切に処理するために、頭の位置は非常に重要になってきます。


二つ目は呼吸。
頭部にある口と鼻は呼吸の窓口でもあります(皮膚呼吸もありますがここではちょっと無視します)
頭が体軸の上にまっすぐ乗っていれば気道も確保されて自然な呼吸が可能です。
しかし頭が体軸の上からズレてしまうと、猫背になったり身体が歪んだりして肺を圧迫し、呼吸が浅くなってしまいます。
呼吸が浅いと、脳や身体に酸素が行き渡らなくなるので集中力もなくなり、身体の動きも悪くなる、いわゆるスタミナ切れの「ガス欠状態」になりやすい状態す。
そのような状態に陥らないためにも、呼吸を妨げない頭の位置が大切になって来ます。


そして三つ目は重心とバランスです。
成人の頭の重さは、体重の約10%だと言われています(個人差はありますが)。
そんな重い部位が身体の一番高いところについているので、この頭の位置をしっかりコントロールして、バランスを取る必要があります。

鏡の前で足を肩幅に開いて背筋を伸ばして立ってみて下さい。
そしてどちらか片方の足をそっと地面から浮かしてみましょう。
このとき、片足で安定して立てていれば、その足の上に重心が来ているということになります。
その状態で、鏡で自分の姿を確認してみて下さい。
立っている方の足のほぼ真上に、頭が来ているのではないでしょうか。
確認のため、反対の足でも立ってみましょう。
やはり体重を支えている足の真上に、頭が来ると思います。
つまり、背筋を伸ばした状態でどちらかの足の垂直線上に頭がある時、身体の重心もその線上にある。ということになります。
それほど頭の位置は身体の重心位置に対して大きな影響力を持っています。
そして、この法則を上手く利用する事で、体重移動を伴なう様々なスポーツの動作をよりスムーズに行うことができるようになります。


格闘技に関して言えば、人体の最大の急所でもある頭部をどこに置くかというのは、ディフェンスの要にもなってきますね。


この様に頭の位置を意識することで、スポーツのパフォーマンスは大きく変わってきます。

次回から、この頭の位置について具体的に書いて行こうと思います。