2016/11/01 | 堀 啓のブログ

2016/11/01

えー、書くと言ったまではいいものの、なかなかうまく記事がまとまらないので、まずはFacebookで一部の方にご好評いただいていたK-1レビュー記事を書きたいと思いますm(_ _)m

 
しかもブログ一発目なんで自分の試合について書いちゃいます(笑)
 
 
 
ピーターアーツ対堀啓
 
 
 
動画の中の解説でも触れられていますが、ピーターアーツは僕が格闘技を始めるきっかけになった選手の一人です。
 
なので色々感慨深い試合なんですが、そのへんは置いといて、淡々と解説させていただきます(笑)
 
 
この時の僕の対アーツの作戦は、とにかく「左の蹴りで攻める」こと。特に、左のミドルキックとローキックを練習してきていました。
 
アーツは過去に、サウスポースタイルのアンディフグや武蔵選手の左ローキックで、奥足にダメージを負って敗れた経験があります。
 
マイクベルナルドや、ジェロムレバンナのような強烈なパンチを持っていなかった僕は、サウスポーからのミドルキックでアーツの動きを止め、ローキックでダメージを与えてチャンスを作るつもりでした。
 
 
 
1R、試合開始から積極的に仕掛けました。アーツはどんどん前に出てプレッシャーをかけてくる選手。
 
そこで下がってしまうとアーツの思うつぼなので、先に前に出て自分から手を出すように心がけました。
 
そしてそこからの左ミドル、左ローは作戦通りで、それなりに有効だったと思います。パンチのコンビネーションもかなり当たっています。
 
ラウンド終盤に右ストレートをクリーンヒットでもらってしまいましたが、そこまではまずまずの試合内容だった、、、と思っていました。
 
しかし2Rになるとアーツの右フックで2度のダウンを奪われ、最後は左ハイキックで見るも無残なKO負けでした。。。
 

1Rで力を使い果たした結果の、2RKO負け。
 
この試合の結果をはじめは自分でもそんな風に解釈していました。
 
しかし、試合の映像を自分で何度も見返すと、違った見え方をしてきました。
 
この試合の後の記者会見で、アーツは私について「彼は勇敢だったが戦略的でなかった。何もせずにただ突っ立っていることもあった。」と話していたそうです。
 
映像を見返すと、確かに私が無防備に突っ立ってしまっている場面があります。しかも、毎回同じ場面で私は動きを止めてしまっています。
 

どの場面かというと、私が左のミドルキックを蹴った直後。左ミドルキックは私が自分で一番自信を持っていた技です。

しかしその左のミドルキックを蹴った後は必ず、何もせずにただアーツを見ています。全力で蹴り、力を出し切ってしまっているため、そのあと一瞬隙ができているんです。

得意技だから余計に、「蹴ったら相手が怯んでくれるだろう」と根拠のない自信がどこかにあってそれが蹴った後の隙につながっていたのかもしれません。
 
そして2Rの最初の2度のダウンは、左のミドルキックを蹴った直後にアーツに右フックを返されて倒れています。

おそらく1Rで、左ミドルを蹴った直後にできる隙を見抜いていて、そこを狙われたんじゃないかと思います。

そしてこの時のパンチが右フックだったというのもポイントで、この時の私のガードを見ると、前からの固めるあまり、サイドがガラ空きになっています。

1R終盤にまともにもらった右ストレートによって、私の中にストレートに対する恐怖が刷り込まれてしまっていたのでしょう。

そしてその意識の外からフックが飛んできたため、まともにもらい為すすべなく倒されてしまったのです。

最後のハイキックに関してはパンチに対するカウンターだったのと、それまで2度パンチで倒されていたために、これも意識の外から飛んできたハイキックだったんだと思います。

このハイキックは全く見えていなかったのと、最後失神して記憶がなかったのもあって、試合後セコンドに「僕は最後もフックでやられたんですか?」と質問した記憶があります(^_^;)



全体を通して見ると、私とアーツの視野の違い、この試合に対する捉え方の違いが見えてきます。

勝つことが大前提だったアーツと、この試合がひとつの目標になってしまっていた私。
左の蹴りで崩すというひとつの作戦に固執してしまった私と、こちらの動きを見て、攻め方を柔軟に変化させてきたアーツ。

1Rから、とにかく一発一発のパンチやキックを打ち込むことに必死だった私に対し、アーツは1Rは少し攻撃の手を緩めて、私の動きを分析していたのかもしれません。

経験の差、実力の差と行ってしまえばそれまでですが、試合に向けての準備、作戦の立て方、試合中の柔軟な対応力など、もともとの実力差以外の部分でも完敗だったと思います。


完敗でしたが、この時自分が持っていた力を出し切ってのこの結果だったので、そこからたくさんのことを学べた試合でもありました。