こんばんは。

堀江和博です。

 

 

 

今日は、午後から同志議員とともに、大津市にある「全国市町村国際文化研究所(JIAM)」にて議員研修でした!

 

 

 

今回のテーマは、

「地方自治体における森林政策の現状と課題」

 

 

 

ご存じのとおり、かつて栄えた我が国の林業ですが、外国材輸入や価格低下、国産材の利用低迷などにより、産業としての林業や森林そのものの管理自体が非常に難しくなり、厳しい局面に差し掛かっています。

 

 

 

そういった中、現状と先進地の例も踏まえ、今後の林業の在り方について考えようというのが今回の趣旨となります。

 

(講義前のガイダンス時の一枚。講義中は撮影禁止でした)

 

 

講義は、京大の諸富教授の概論的なお話からスタート。その後、その他専門家や先進自治体の幹部の方の講義とパネルディスカッションという流れでした。

 

 

 

私自身は、集落で山を所有していますが、森林や林業とのかかわりはほとんどなく、専門的な知識を持ち合わせていなかったので、講義全体を通して興味深く学ばせていただきました。

 

 

 

例えば、

みなさん林業について、「輸入材に圧倒されている」「自給率が低い」というイメージをお持ちだと思いますが、林野庁の「平成29年度 森林・林業白書(平成30年6月1日公表)」の資料で確認すると、、、、

 

 

 

 

 

 

 

なんと近年、「国産自給率が反転」し、加えて、「国産材の海外輸出」が増えているんです。国産自給率の理由として国産材の微増と輸入材の減少が、海外輸出の理由として東・東南アジア諸国(中国やフィリピン等)の需要増が主な理由となります。

 

 

 

こういった傾向から、「底」は脱したのではとの見立てでしたが、依然、林業を取り巻く状況は厳しいものがあります。

 

 

 

例えば、50年前に植林された木々が適切な管理がなされず放置されている例が全国で沢山ありますが、森林を適切に管理し、伐採し、販売していく産業的見通しやそれらを担う人材が明らかに不足しています。

 

 

 

また、林業を産業として再生させるために、林地を集約し大規模に経営することが進められていますが、そもそも林地の所有者が複雑で、境界が定かでなく、地籍調査が行われていないところが大半です。中には、完全に所有者不明林地も存在し、集約化を妨げています。

 

 

 

課題を挙げればきりがないですが、とにかく何らかの手を打たなければ日本全国の森林と林業の未来はありません。北欧やドイツ、オーストリアなどの先進国において、林業は十分に産業として成り立っているわけなので、手立てはあるはずです。

 

 

 

国では、平成31年度から新たに森林環境税(と森林譲与税)の導入がなされます。現在、我々国民の個人住民税均等割の中の1000円/年が東日本大震災の復興特別税として徴収されていますが、これが平成35年度をもって終了することから、平成36年度からその1000円分をそのまま森林環境税として徴収することになります。

 

 

 

国が徴収した後、基準に従ってそれぞれ県や市町村に按分されて交付され、市町村で間伐や、木材利用の促進、人材育成や担い手確保などの取組みに使用されることになります。基礎自治体が主役となり、森林・林業に取り組むための予算措置と言えます。

 

 

(森林の多面的機能)

 

 

 

講義の中で、まずすべきは「基盤整備」と「人材育成」であるとのことです。基盤整備とは、林業を産業として成り立つようにするための、間伐や林道整備、地籍調査などそもそもの前提となる基盤づくりのことです。

 

 

 

人材育成とは、担い手など林業に従事する人の確保はもちろんですが、特に自治体に林業の専門家を配置したり、生産からマーケティング、販売までコーディネートできる人材の発掘・育成を指します。

 

 

 

先進自治体のように目指すべき方向性は明らかで参考になりましたが、そのまま我が町に導入するとなると、かなりハードルが高そうです。前述のとおり、前提となる森林の境界を明らかにする作業に時間と労力がかかるとともに、それに対応できる職員が数・質ともにないのが、日野町含め多くの自治体の現状ではないでしょうか。

 

 

 

ただ、来年度からの森林環境税の件もあります。課題は多いですが、行政として対応していかなければならないテーマですので、今後の動向に注視しつつも、一層、林業について行政を質していきたいと思います。

 

 

 

堀江和博