ナポレオンの村 イノベーションに挑む麻生久美子

 

ナポレオンの村は、廃村に追い込まれた寂れた限界集落を、ある公務員が再生させていく物語です。
 

そして私が住んでいる「マンションA」と言うマンションも老朽化し、このままでは寂れて行くのを待つしかない限界マンションです。

この「ナポレオンの村」シリーズでは、そんな自分達の住環境を再生していく過程をブログに書いています。
特に社会に向けて何か訴える為に書いているわけではないので、お気軽に楽しんで頂ければと思います。

 

これまでのあらすじ

私が住んでいる「マンションA」と言うマンションは老朽化しており、耐震強度が弱いため、補強工事が必要であると診断されました。

市の福祉会館も老朽化しており、一緒に合同で立て直してしまえないだろうかと思い、
公民共同事業計画を立ててみることにしました。
 

近年、公民の共同事業で、民間マンションの一部に公立図書館を設けたり、実際栃木県ではビルの1階に「東武百貨店」2階に「市役所」が設けられたり、様々な実例が見受けられるようになりました。

 

しかし、市長は「マンションA」の東側に隣接する、今は駐車場になっている市の土地をすでに
「福祉会館建設の土地と行政決定をした」
と発表してしまいました。
理由は「急いで建てないといけないから」と言うものです。

行政に提案するには当然それなりの説得力のあるメリットを提示しなければなりません。
 

 

それらの内容を、現実可能な金額を算出し、検討してもらえないだろうかと市へ「陳情書」として提出しました。

 

 

市議会会議の傍聴

そしてついに2014.12.10市議会で共同事業を検討してみるかどうかの市議会会議が開かれる事になりました。
 

大人になって初めて市議会と言うものを傍聴しました。
 

広めの会議室に議長・市長・各政党の市議会議員がコの字型に着席しています。
 

その後ろに市役所職員が、議員からの質問に答えるために控えています。
 

管理組合の理事長がみんなの前で陳情書を簡単に述べ、質疑応答が始まります。
 

 

実は市議会での会議を前に、各政党の市議会議員さんと面談し、あらかじめ事業計画案を説明し、大体どこの政党の誰が賛成してくれるのか、誰が反対なのかある程度意見交換をしていたのです。
 

その感触としては「共同事業を検討してみる事に賛成」な議員の方が多いように思っていました。しかし、、、。
 

 

管理組合の理事長がみんなの前で陳情書を簡単に述べ、質疑応答が始まります。
 

 

陳述書の内容は次の2点です。
 

●財政面に関して 
市の財源は不足している。
「マンションA」と市が協力して福祉会館を建設して行く事の有益さは、市役所で発表した「公共施設マネジメントの構築に向けて」と題された将来の公共施設の運営指針を述べてある書類に適ったものであり、ぜひ検討して頂きたい。

※「公共施設マネジメント」とは、市が民間の研究機関に委託し、これからの小金井市の公共施設のあるべき姿を、某市の財政分析をした上で、取り組み方の指針を示したものです。

一言でその内容を説明すると、これからの公共施設は「民間活力の活用を検討すること」を基本理念とした全国的に見ても先見的なものとなっています。
某市では、今後の公共施設の維持管理だけで1千億円かかると予測されています。

市の方針として、公民共同事業を積極的に行うと、市自らが発表しているのです。

 

 

●災害対策に向けて 
災害時非常輸送道路に指定された連雀通りという大きな道路に面している「マンションA」は、国からの命令で「耐震診断」を行い、その結果「危険」とされた。

何らかの処置による耐震強度を求められているが、店舗部所有者の資金不足により、耐震工事が困難な状況にある。
 

また市が住居地区として認定した容積率の設定により、建替えると現在の部屋の面積の1/3程の面積の部屋しか作れず、事実上単独の建替えも困難な状況である。
 

市との共同事業を行う事により、全体の土地面積が広く取れ、住居地域から商業地区として容積率も変更出来ることから、これらの問題も解決する。
 

 

 

<共同で福祉会館を建設した場合>
 

共同

 



 

ところが、市では検討の余地も無く、新福祉会館の単独計画を行うと言うのです。
 

反対の理由
市長自身の答弁として

●「私の住んでるマンションも古いんだから。そんな古いマンションはいっぱいあるから」

と言うものでした。
 

「マンションA」だけ優遇することは出来ない、と言う意味なのだと解釈しました。

確かに、他の地域住民たちの心情として、自分達は特に優遇されるものはないのに、

ある特定の人達だけが優遇されるとしたら、

それは不公平だし、妬ましいし、許せない!

と言う印象を持っても無理もないかも知れません。

しかし、実際は何も「ズル」をして、市のお金で自分達だけが得をしようと目論んでいるわけでは無いのです。

 

前も書きましたが、市が定めた地域の区分として、「マンションA」は住居地区となっています。

法律として、容積率の関係で、

住居地区のままでは、土地(敷地)の面積が今のまま、今の各部屋の広さ(のべ面積)をそのままに保ったマンションを建てられない事になっています。

 

市長の考え(市長個人と言うより、トップに立つ人間の心理として)を勝手に想像してみると、

周りから依怙贔屓しているように見られたら、自分が損するから、見て見ぬふりをしてほおっておこうと思っているのかなと感じます。

良く事情も理解しようともしないで。

もしそうだとしても、一概に批判も出来ません。

集団にとって、最大多数を活かすために、少数派は切って捨てられてしまう事は良くある事です。

理不尽ですが、選挙もありますから、票を左右する最大多数を優先するのも仕方が無い事なのかも知れません。

しかし、本来市や市民にとっても有益になる話であるのに、検討もしないで、決めつけてしまう姿勢はいかがなものかと思います。

 

ちなみに、このように良く検討もしないで、第一印象のイメージだけで決めつけてしまう事を、

認知心理学では

ヒューリスティック

と言います。

太った選手が野球をしていると聞くと、勝手に「あぁキャッチャーだな」と思ってしまったり

血液型がB型だと聞くと、すぐに「マイぺースで自分勝手な人なんだろうな」と

決めつけてしまう様な認知の仕組みです。

情報を処理する負担が少なくて済むメリットがあるのですが、

当然精確な情報を得る事は出来ません。

 

重要な案件については、ぜひとも今までの既成概念や、思い込みを一度捨てて、きちんと精査して見る必要があるものです。

人との出会いなどでも、人は見た目が100% などとも言いますが、

第一印象が無愛想だったり、笑顔が無かったとしても、

それは単に緊張しているからで、慣れてくれば良い人だったりもするかも知れませんよ。

 

 

 

 

また、共産党議員の反対理由として、

●「再開発事業にはとにかく反対。
放置された空き屋が問題視される中、高層マンションも、住居の供給過多による弊害が生じる可能性がある」とのことでした。
 

また、その他の反対意見として、

●「民間との再開発事業で建設費用など捻出できるはずがない」
という頭から否定的で、可能か可能でないか検討する余地もないとするような意見。
 

●「50年後に再度老朽化して建て替える時に、市の土地建物の権利と、マンション側の持つ権利とでもめるかも知れない。面倒なことになる」
と言うような今現在困っていることなのに、50年先の心配までして検討することさえ放棄しようとするような意見。


結局決議の際には賛成と反対意見が拮抗し、保留となってしまいました。

 

それらの反対意見から受ける印象として、簡単に言うと、
「共同事業計画案はちゃんとよく読んでいないけど、そんなの無理だからやめましょう」
と言っているようにしか聞こえませんでした。
 

しかも、市自らの方針として「公共施設マネジメント」を積極的に推進して行くと言っているにもかかわらず、門前払いしようとしているのです。
 

検討さえせずに反対するのは、一体どのような目論見があってのことなのでしょうか?
 

結局、その日は決を出さず、それぞれ、一旦各会派に持ち帰り検討し、次回に採決を取ると、保留となりました。

 

相次いで市は単独での新福祉会館の構想を発表するため「市民への説明会」を開きました。
 

同時に「福祉会館建設計画(案)」に対し、広く市民に意見、情報、改善案などを求める「パブリックコメント(略してパブコメ)」を募集しました。
 

果たして、説明会やパブリックコメントでは、市民の方々からどのような意見が出るのか、興味深い所です。


続く

 

 

心理の話とは外れるかも知れませんが、ご興味のある方は、また続きにお付き合い下さい。

 

*投資家の方が、このブログをお読みになり、投資物件として部屋の購入を検討されたり、実際買われる現象があるようですで、追加記載しておきます。

2021年現在、未だ建替えや再開発は進んでおりません。念のため。

 

 

 


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